The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

Presentation information

日本理学療法教育学会 » ポスター発表

[P-ED-16] ポスター(教育)P16

Sat. May 13, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本理学療法教育学会

[P-ED-16-4] 回復期リハビリテーション病棟における,80歳以上の患者に対して6単位を超える介入は過剰なのか?
~アウトカム評価である実績指数を用いた比較検討~

楠 正和, 百武 大志, 田中 芳征 (医療法人社団シマダ嶋田病院)

Keywords:実績指数, レセプト査定, 回復期リハビリテーション病棟

【はじめに】

近年リハビリテーションにおけるレセプト減額査定が増加している。平成27年度,福岡県理学療法士会の減点査定調査結果によると,年齢により一律に減額査定されている傾向があり,特に80歳以上が6単位を超える単位数を「過剰」という理由で減額査定されている。また平成28年より,回復期リハビリテーション病棟(以下回復期病棟)では,アウトカム評価を実績指数で表し27未満の場合に,6単位を超える介入が入院料に包括される事となった。

そこで本研究は,80歳以上の患者に対する6単位を超える介入が,80歳未満の患者と同等の効果があるのか,アウトカム評価である実績指数を用いて比較検討をおこなった。


【方法】

対象は当院回復期病棟を2013年4月1日~2014年3月31日までに退棟した351名のうち,算定区分が脳血管疾患のもの113名と運動器疾患のもの160名とした。除外基準は在棟中の死亡患者,回復期病棟対象外患者とした。

後方視的に診療録から,年齢,1日あたりの単位数,FIM(入棟・退棟・利得),在棟日数を収集した。また,実績指数と,その計算式の分子に当たる運動項目FIM利得(以下m-FIM利得),分母にあたる算定上限日数比(在棟日数を回復期病棟入院料の算定上限日数で除した値)を患者あたりにて算出した。

疾患別の対象を80歳以上と80歳未満の2群にわけ,各項目の比較検討をおこなった。統計解析にはSPSS ver16を使用し,Mann-Whitney U検定とχ2検定にて検討した。有意水準は5%未満とした。


【結果】

脳血管疾患:80歳以上/80歳未満(対象:50/63名,年齢:85.6/70.9歳(p<0.05),1日あたりの単位数:7.10/7.25単位,入棟FIM:58.1/78.9点(p<0.05),退棟FIM:75.5/104.4点(p<0.05),FIM利得:18.7/25.1点,在棟日数:43.2/49.4日,m-FIM利得:14.4/20.9点(p<0.05),算定上限日数比:0.27/0.31,実績指数:65.4/94.1)

運動器疾患:80歳以上/80歳未満(対象:104/56名,年齢:87.4/65.6歳(p<0.05),1日あたりの単位数:6.51/6.85単位(p<0.05),入棟FIM:71.8/96.5点(p<0.05),退棟FIM:89.9/111.6点(p<0.05),FIM利得:18.1/15.2点,在棟日数:34.6/28.5日(p<0.05),m-FIM利得:16.6/13.4点,算定上限日数比:0.38/0.32(p<0.05),実績指数:56.6/54.4)


【結論】

脳血管疾患と運動器疾患は共に,実績指数に有意差はみられなかったことから,80歳以上の患者であっても,80歳未満の患者と同等の改善効果があることが示唆された。

80歳以上の患者は実績指数が27を大きく超えており,平成28年の回復期病棟連絡協議会における全国平均データ(脳血管:FIM利得17.7,在棟日数88.2,運動器:FIM利得17.2,在棟日数56.7)においても,上回る成績であった。これらのことから,80歳以上の患者の6単位を超える介入は過剰ではなく,年齢で一律に減額査定されるべきではないと考える。