第52回日本理学療法学術大会

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[P-ED-16] ポスター(教育)P16

2017年5月13日(土) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本理学療法教育学会

[P-ED-16-5] 実績指数を満たすためにはFIM利得と在院日数のどちらの影響が大きいのか?
~診療報酬改定に伴う回復期リハビリテーションのアウトカム評価に向けて~

原 泰裕1, 西郡 亨1, 久住 治彦1, 半沢 嘉基1, 藤木 玲1, 加藤 研太郎2, 平林 弦大3 (1.津田沼中央総合病院, 2.上尾中央医療専門学校, 3.新潟保健医療専門学校)

キーワード:回復期リハビリテーション, アウトカム評価, 実績指数

【はじめに,目的】

平成28年度の診療報酬改定に伴い,実績指数27未満の場合が3ヶ月毎の報告で2回連続した場合,6単位までの出来高払い算定になることが定められた。実績指数を満たす為には,ADLスコアに用いられているFunctional Independence Measure(以下,FIM)運動項目の利得向上と疾患別の算定上限日数に対する在院日数の短縮が重要である。FIM利得や在院日数に関する報告は多数あるが,実績指数を基準として分析した報告はなく,FIM利得と在院日数のどちらの重要性が高いかを検証した報告もされていない。

そこで今回,実績指数を満たす要因として,FIM利得と在院日数のどちらの影響が大きいかを検証することを目的とする。


【方法】

対象はA病院の回復期病棟を平成28年4月~7月に退院された患者102名(脳血管疾患46名・整形外科疾患56名)とする。

後方視的に診療録等から各患者のFIM運動項目の利得と在院日数を収集し,実績指数を算出する。算出したデータを脳血管疾患と整形外科疾患に分けて単純集計し,割合を求める。また,実績指数が27以上であった者(以下,クリア群)と26未満であった者(以下,非クリア群)の2群に分け,2群間のFIM利得と在院日数の差を各々Mann-WhiteneyのU検定を使用し,比較する。統計処理は統計ソフトR2.8.1を使用し,有意水準は5%とする。


【結果】

対象の全患者102名の内,クリア群は45名(脳血管疾患19名・整形外科疾患26名),非クリア群は57名(脳血管疾患27名・整形外科疾患30名)であった。

疾患別の比較では,Mann-WhiteneyのU検定にて,脳血管疾患・整形外科疾患ともにFIM利得でp<0.01と有意差がみられた。一方,在院日数では脳血管疾患・整形外科疾患ともに有意差がみられなかった(n.s)。

脳血管疾患の実績指数の平均がクリア群で53.1,非クリア群で12.1。FIM利得はクリア群の中央値が23点。非クリア群の中央値が7点。在院日数はクリア群の中央値が62日,非クリア群の中央値が95日であった。

整形外科疾患の実績指数の平均がクリア群で51.8,非クリア群で13。FIM利得はクリア群の中央値が24.5点,非クリア群の中央値が6.5点。在院日数はクリア群の中央値が46日,非クリア群の中央値が55.5日であった。


【結論】

実績指数を基準にFIM利得と在院日数を比較したところ,疾患を問わず実績指数を満たす要因としてFIM利得向上の重要性が高いことが示唆される結果となった。セラピストにはADL能力向上のためにFIMの予測を含めた質の高い治療の提供が求められると考える。また,今回の結果を踏まえ,実績指数に影響を与える因子を明確にすることが今後の課題となった。