第52回日本理学療法学術大会

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[P-ED-18] ポスター(教育)P18

2017年5月13日(土) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本理学療法教育学会

[P-ED-18-4] 育児休暇から復職する女性療法士の復職支援について

比屋根 友恵, 仲西 孝之, 比嘉 淳 (沖縄リハビリテーションセンター病院)

キーワード:女性療法士, 復職支援, 仕事と子育ての両立

【はじめに,目的】

女性療法士の増加に伴い,就労環境やワークライフバランスに関する研究が報告されている。我々は回復期リハビリテーション病棟協会第21回研究大会in金沢において,当院で勤務するママ療法士を対象に働きやすさの調査を行った際,当院は働きやすいという調査結果を報告した。今回我々は,当院で勤務する産前産後休暇・育児休暇(以下:育休)から復職した女性療法士に対して,復職する際の不安や復職後の課題や要望などについて把握し,必要な復職支援を行うため,育休時,復職時,復職後の状況調査を行ったので,考察を加えて報告する。

【方法】

対象は平成25年4月~平成28年6月の期間,育休から復帰した当院で勤務する女性療法士20名(PT8名OT9名ST2名。平均年齢33.1歳,お子さんの人数1.9人)とした。方法は質問紙法(無記名)とし,調査内容の大項目は1)育休中の状況,2)復職する際の不安内容(複数回答),3)必要と感じたサポート,4)復職後の状況や課題,5)子育てをしながら仕事をするために必要な設備や制度などとした。

【結果】

調査票の回収率は95%(19通)であった。育休中は上司や同僚など相談できる人がおり,サポートは必要ないと答えた者は74%であったが,必要・欲しい情報として,手続きなどに関する情報,復帰先や職種の状況,勉強会などの情報が欲しい答えた者は53%(10名)あった。復職時の不安として最も多かったのは,仕事と子育ての両立であり,89%が上位(1~3位)の回答であった。続いて体力・知識・残業の順であった。復職直後は,勤務時間の考慮や人数などの体制についてサポートを望む者が63%(12名)であった。また復職時の手続きは63%(12名)がわかりやすいとの回答であったが,いつ,どう動いていいかわからず困った者や面談をしたいという声もあった。復職後は,95%(18名)が子供の体調不良による年休消化,仕事と子育ての両立,保育園の送迎,勤務時間外の勉強会への参加困難など,何らかの不安や課題を抱えながら仕事をしていた。子育てをしながら仕事を継続できそうかという質問に対しては,できそうが37%,どちらともいえないという回答が53%(10名)であった。今後,当院に取り入れてほしい制度やサポートについては,年休制度の変更や看護休暇や時短正社員制度,保育施設の導入,勤務時間内の勉強会開催などであった。

【結論】

本調査から当院における女性療法士の復職時は,適宜状況や意思の確認をするとともに,復職マニュアルを作成することでスムーズな復職につながると考えられた。復職後は“仕事と子育ての両立”に不安や課題を抱えながらも,専門職として働く意義を感じている状況のため,個々の状況を考慮しながら,サポートする必要性を感じた。