The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本心血管理学療法学会 » ポスター発表

[P-HT-03] ポスター(心血管)P03

Fri. May 12, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本心血管理学療法学会

[P-HT-03-1] CABG術後患者に対しICUから理学療法を開始した効果

井出 篤嗣1, 江井 佐知恵1, 前野 里恵1, 山下 明日香1, 高橋 素彦2 (1.横浜市立市民病院リハビリテーション部, 2.横浜市立市民病院リハビリテーション科)

Keywords:CABG, ICU, ICU専任PT

【はじめに】

当院リハビリテーション部では,2015年8月よりPT2名のICU専任配置を開始した(以下2015年8月以前を配置前,8月以降を配置後とする)。専任PTは朝のミーティングに出席し,医師や看護師らとその日のPT内容を決定している。配置前は心臓血管外科患者に対し,ICUから理学療法が介入することはほとんどなかった。配置後は全例翌日より理学療法を開始できている。我々は第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会にてICUの心臓血管外科患者を対象に専任配置の効果を発表した。今回は冠動脈バイパス術(以下CABG)後患者に対象を絞り,ICUから理学療法を開始する効果を後方視的に検討した。

【目的】

CABG術後患者におけるICU在室日数・在院日数・座位開始までの日数・歩行開始までの日数をICUの専任配置前後で比較し,ICUから理学療法を開始した効果を明らかにする。

【対象】

CABG術後で,配置前後でそれぞれ順に20例を対象とした。重篤な既往や合併症がある患者,入院前の歩行でのADLが自立していない患者等は除外した。各20例はそれぞれ年齢・性別・左室駆出率(以下LVEF)・Canadian Cardiovascular Society重症度分類・手術時間・手術時の出血量・人工心肺使用の有無などにおいて,有意差はなかった。

【方法】

評価項目はICU在室日数・在院日数・座位開始までの日数・歩行開始までの日数・退院時のBarthel Index(以下BI)とした。統計はJSTATを用いて,配置前後の各項目においてMann-WhitneyのU検定を実施し,それぞれ有意水準は5%とした。

【結果】

配置前後の比較でICU在室期間(中央値:4/3.5日)や在院日数(中央値:19/19日)において有意な差は見られなかった。座位開始までの日数(中央値3.5/1日,p<0.01)と歩行開始までの日数(中央値6/3日,p<0.01)には有意な差が見られた。BIは有意な差は見られなかった。

【考察】

先行文献によれば,ICU専任配置によりICU在室日数や在院日数が短縮するとあるが,今回は有意差がなかった。これは今回対象がCABG術後の限定された比較であり,重篤な合併症などの逸脱要素がない限り,ある一定期間での退室や退院が予定されたためと思われる。座位開始や歩行開始までの日数に有意差があったことは,ICUの開始時から医師や看護師らと情報共有をし,リスク管理をしながら早期離床を促したことで,座位開始や歩行開始までの日数の短縮へとつながったと考え,これらはICU専任配置の効果を示しているものと思われる。専任配置後に座位開始や歩行開始までの日数が短縮したことで,それらはガイドラインとほぼ同等の日数になってきており,ICUから理学療法が開始できることの重要性を示唆していると考える。