The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本心血管理学療法学会 » ポスター発表

[P-HT-03] ポスター(心血管)P03

Fri. May 12, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本心血管理学療法学会

[P-HT-03-3] 心臓外科術後患者の栄養状態が在院日数や離床進行に及ぼす影響

中尾 周平, 柳 賀文, 長谷場 純仁, 吉田 輝 (鹿児島大学病院リハビリテーション部)

Keywords:心臓外科術後, 栄養, 離床進行

【はじめに,目的】

心臓外科術後患者の理学療法は機能改善だけでなく,運動耐容能やADLの改善,さらにはQOLの改善に寄与することが広く知られている。一方で,周術期においては侵襲による食欲低下や経口摂取の中止を余儀なくされることも多く,先行研究においては入院患者の30~50%に低栄養を認めるとの報告もある。当院においても,栄養状態悪化が離床進行の妨げとなり,長期入院となる患者を経験する。そこで,心臓外科手術を受けた患者の在院日数の違いによって,周術期の経口摂取量や栄養状態,さらには離床進行がどのような変化を示したか検討することにした。

【方法】

2014年1月から12月に当院心臓血管外科で冠動脈,弁膜症,大血管疾患の手術を受け,術後にリハビリテーションを実施した患者131名を対象に,患者を入院日数30日以内の短期群(n=73)と30日以上の長期群(n=58)に分け,周術期の経口摂取量(術後摂取開始後・退院前それぞれ1週間の摂取量),体重の推移,BMI,術後および退院前の採血データ(Hb,TP,Alb,CRP)とGNRI(Geriatric Nutritional Risk Index),また離床進行(手術からヘッドアップ,座位,立位,歩行開始までの日数)を診療録から後方視的に調査し,分析した。

統計学的解析はSPSS ver.22を使用し,2群間の比較にはMann-WhitneyのU検定,群内の比較にはWilcoxonの符号付き順位検定を用い,P<0.05を統計学的有意とした。

【結果】

平均在院日数は,短期群23.3日,長期群56.0日であった。入院時のBMIは短期群23.1kg/m2,長期群22.7kg/m2であった。入-退院時で体重は両群とも有意に減少しており,体重減少率は短期群5.2%,長期群7.5%であった。術後TPの全体平均は5.2g/dL,またAlbは3.1g/dLとそれぞれ低下を認めた。術後-退院時の採血データの比較では,TPとCRPは両群で,HbとAlbは短期群のみ有意に改善した。手術後のGNRIは短期群が84.9,長期群が84.1と両群に差はなく,短期群のみ退院前に有意に改善を認めた。短期群の術後摂取開始1週間の摂取量が長期群と比べて有意に多かった。離床進行については,ヘッドアップの開始時期は両群に有意差はなかったが,座位は短期群および長期群それぞれ4.6日と6.7日,また立位は5.3日と9.2日,そして歩行は5.9日と13.1日と有意差を認めた。

【結論】

心臓血管外科患者は術後の栄養状態悪化や入院中の体重減少,BMI低下さらにGNRI低下を来たしていた。入院期間が短い患者は,AlbやGNRIなどが有意に改善していた。術後摂取開始1週間の摂取量が,在院日数や離床進行に影響する可能性があると思われた。