[P-HT-03-4] 心血管術後患者に対する高強度インターバルトレーニングの試み
―外来心臓リハビリテーションで経験した2症例―
Keywords:高強度インターバルトレーニング, 心大血管疾患, 運動耐容能
【はじめに,目的】
高強度の運動と低強度の運動もしくは安静を交互に繰り返す高強度インターバルトレーニング(High-intensity interval training;HIT)が心大血管疾患患者の運動療法のトレーニング方法として注目されるようになった。しかしながら,心大血管疾患患者を対象にしたインターバルトレーニングの研究報告は散見するが,症例数,追跡期間ともまだ十分とは言えず,心大血管疾患に対しての安全性や効果を含む方法としては今後さらなるエビデンスの蓄積が必要とされている。今回,筋力低下および骨格筋量減少により運動耐容能が低下した心大血管術後患者に対し,外来心臓リハビリテーション(以下,心リハ)にてHITを施行し,筋力や骨格筋量,運動耐容能が改善した症例を経験したので報告する。
【方法】
症例①腹部大動脈瘤に対しステントグラフト内挿術を施行された74歳男性。初回評価にて,AT:10.6ml/kg/min,peakVO2:15.5ml/kg/min,膝伸展筋力:112.8N・m/kg,%(体重比),骨格筋量:39.1%(体重比)であった。症例②狭心症に対して人工心肺使用心拍動下冠動脈バイパス手術を施行された55歳女性。初回評価にて,AT:11.3ml/kg/min,peakVO2:19ml/kg/min,膝伸展筋力:154.4 N・m/kg,%(体重比),骨格筋量:34.2%(体重比)であった。2症例とも2015年より外来心リハに2-3回/週で定期的に参加していた。外来心リハ開始時に心肺運動負荷試験(CPX)を実施し,運動処方を行った。運動処方はエルゴメータを使用し,高強度(peak WR 80-90%,4分)と低強度(peak WR 40%,3分)を交互に3セットと設定した。またCPXが施行されるたびに運動処方を更新した。運動中止基準は,心拍数がpeak HRを越えること,Borg scaleによる自覚的運動強度が16-17(とても強い)に達すること,エルゴメータの回転数が1分間に50回転を下回ることとした。初回時と中間時(外来心リハ3ヵ月後)および最終時(外来心リハ5ヵ月後)に身体機能(膝伸展筋力,片脚立位保持時間,FRT,6分間歩行距離),CPX結果(AT,peakVO2),呼吸機能(%VC,FEV1.0%,PEmax,PImax),体組成(骨格筋量,体脂肪率)の変化について検討した。
【結果】
HITを実施した2症例において再入院など心事故の発生はなかった。初回時と中間時および最終時の各指標の変化として,2症例とも身体機能(膝伸展筋力,片脚立位保持時間,FRT,6分間歩行距離),CPX結果(AT,peakVO2),呼吸機能の呼吸筋力(PEmax,PImax),体組成(骨格筋量,体脂肪率)で改善を認めた。
【結論】
自己管理が可能な心大血管疾患患者において,HITを施行した結果,安全に筋力,骨格筋量,運動耐容能が改善した。一定時間連続した有酸素運動が困難な低体力症例に対するトレーニング方法の一つとして,HITが有効であると示唆された。
高強度の運動と低強度の運動もしくは安静を交互に繰り返す高強度インターバルトレーニング(High-intensity interval training;HIT)が心大血管疾患患者の運動療法のトレーニング方法として注目されるようになった。しかしながら,心大血管疾患患者を対象にしたインターバルトレーニングの研究報告は散見するが,症例数,追跡期間ともまだ十分とは言えず,心大血管疾患に対しての安全性や効果を含む方法としては今後さらなるエビデンスの蓄積が必要とされている。今回,筋力低下および骨格筋量減少により運動耐容能が低下した心大血管術後患者に対し,外来心臓リハビリテーション(以下,心リハ)にてHITを施行し,筋力や骨格筋量,運動耐容能が改善した症例を経験したので報告する。
【方法】
症例①腹部大動脈瘤に対しステントグラフト内挿術を施行された74歳男性。初回評価にて,AT:10.6ml/kg/min,peakVO2:15.5ml/kg/min,膝伸展筋力:112.8N・m/kg,%(体重比),骨格筋量:39.1%(体重比)であった。症例②狭心症に対して人工心肺使用心拍動下冠動脈バイパス手術を施行された55歳女性。初回評価にて,AT:11.3ml/kg/min,peakVO2:19ml/kg/min,膝伸展筋力:154.4 N・m/kg,%(体重比),骨格筋量:34.2%(体重比)であった。2症例とも2015年より外来心リハに2-3回/週で定期的に参加していた。外来心リハ開始時に心肺運動負荷試験(CPX)を実施し,運動処方を行った。運動処方はエルゴメータを使用し,高強度(peak WR 80-90%,4分)と低強度(peak WR 40%,3分)を交互に3セットと設定した。またCPXが施行されるたびに運動処方を更新した。運動中止基準は,心拍数がpeak HRを越えること,Borg scaleによる自覚的運動強度が16-17(とても強い)に達すること,エルゴメータの回転数が1分間に50回転を下回ることとした。初回時と中間時(外来心リハ3ヵ月後)および最終時(外来心リハ5ヵ月後)に身体機能(膝伸展筋力,片脚立位保持時間,FRT,6分間歩行距離),CPX結果(AT,peakVO2),呼吸機能(%VC,FEV1.0%,PEmax,PImax),体組成(骨格筋量,体脂肪率)の変化について検討した。
【結果】
HITを実施した2症例において再入院など心事故の発生はなかった。初回時と中間時および最終時の各指標の変化として,2症例とも身体機能(膝伸展筋力,片脚立位保持時間,FRT,6分間歩行距離),CPX結果(AT,peakVO2),呼吸機能の呼吸筋力(PEmax,PImax),体組成(骨格筋量,体脂肪率)で改善を認めた。
【結論】
自己管理が可能な心大血管疾患患者において,HITを施行した結果,安全に筋力,骨格筋量,運動耐容能が改善した。一定時間連続した有酸素運動が困難な低体力症例に対するトレーニング方法の一つとして,HITが有効であると示唆された。