[P-KS-02-5] ホットパックとストレッチングの同時施行の介入効果に関する検討
Keywords:ホットパック, ストレッチング, 同時施行
【はじめに,目的】
表在性温熱療法であるホットパック(HP)とストレッチングの同時施行(HP同時施行)では,皮膚温がピークとなるHP適用5分後(Behrens,1996)という短時間で門制御に基づく筋伸張痛の軽減が得られ,その結果として筋伸張性も即時的に向上することが既に報告されている(一戸,2014,嶋田,2016)。その一方で,HP同時施行の介入効果の優位性については未だ検討されていない。以上から本研究では,以上から本研究では,HP同時施行に介入効果の観点からも優位性が認められるか検討することを目的とした。
【方法】
対象は健常者15名とし,ストレッチングの標的筋は左右の下腿三頭筋とした。対象をくじ引きにてHP同時施行群,従来通りHPをストレッチングの前処置として実施する群(従来HP群),HPを適用せずにストレッチングのみ行う群(コントロール群)の3群に5名ずつ振り分けた。HPは電熱式HP(乾熱)を使用し,安静仰臥位の対象者の左右の下腿三頭筋筋腹中央部の皮膚に適用した。下腿三頭筋のストレッチングについては,HP同時施行群ではHP開始5分後からHPを装着したまま実施し,通常HP群ではHP開始20分後にHPを取り外した上でストレッチングを実施した。コントロール群では20分間の安静仰臥位の後に実施した。下腿三頭筋のストレッチングは,先行研究の方法(Draper,1998)に準じ,立位での足関節自動最大背屈運動(足背屈運動)にて実施した。具体的には,膝関節完全伸展位,次いで膝関節15度屈曲位での足背屈運動を左右交互に20秒実施するのを1セットとし,1日4セット,4日間連続で実施した。測定では,ストレッチング開始前とストレッチング開始5日目での左右の足関節最大他動背屈角度(最大背屈角)を腓骨頭,外果,第5中足骨頭および底を指標としたデジタル画像解析により求めた。また,日々の1セット目のストレッチング時の左右の筋伸張痛の程度(筋伸張痛)をNRSにて聴取した。その上で,3群間でのストレッチング開始前と開始5日目での最大背屈角の変化量と筋伸張痛の程度を多重比較検定にて検討した。
【結果】
最大背屈角の変化量については,コントロール群と比較してHP同時施行群でのみ有意な増加(平均値で5.4度)を認めた。筋伸張痛の程度については,コントロール群と比較してHP同時施行群と従来HP群の両群で有意な減少を認めた(いずれも中央値で-3)が,HP同時施行群と従来HP群との間には明らかな違いを認めなかった。
【結論】
本結果は,HP同時施行群では従来HP群よりも確実性の高い介入効果が得られること,さらにストレッチングに伴う筋伸張痛を大幅に短時間で軽減できることを示している。表在性温熱療法であるHPの筋加温効果や筋伸張性改善効果については賛否両論が存在し,未だ統一見解が得られない状況にあるが,本結果からHP同時施行を用いることでより強力なストレッチングを効率よく実施できる可能性が示唆され,今後積極的に活用すべき手法であると考える。
表在性温熱療法であるホットパック(HP)とストレッチングの同時施行(HP同時施行)では,皮膚温がピークとなるHP適用5分後(Behrens,1996)という短時間で門制御に基づく筋伸張痛の軽減が得られ,その結果として筋伸張性も即時的に向上することが既に報告されている(一戸,2014,嶋田,2016)。その一方で,HP同時施行の介入効果の優位性については未だ検討されていない。以上から本研究では,以上から本研究では,HP同時施行に介入効果の観点からも優位性が認められるか検討することを目的とした。
【方法】
対象は健常者15名とし,ストレッチングの標的筋は左右の下腿三頭筋とした。対象をくじ引きにてHP同時施行群,従来通りHPをストレッチングの前処置として実施する群(従来HP群),HPを適用せずにストレッチングのみ行う群(コントロール群)の3群に5名ずつ振り分けた。HPは電熱式HP(乾熱)を使用し,安静仰臥位の対象者の左右の下腿三頭筋筋腹中央部の皮膚に適用した。下腿三頭筋のストレッチングについては,HP同時施行群ではHP開始5分後からHPを装着したまま実施し,通常HP群ではHP開始20分後にHPを取り外した上でストレッチングを実施した。コントロール群では20分間の安静仰臥位の後に実施した。下腿三頭筋のストレッチングは,先行研究の方法(Draper,1998)に準じ,立位での足関節自動最大背屈運動(足背屈運動)にて実施した。具体的には,膝関節完全伸展位,次いで膝関節15度屈曲位での足背屈運動を左右交互に20秒実施するのを1セットとし,1日4セット,4日間連続で実施した。測定では,ストレッチング開始前とストレッチング開始5日目での左右の足関節最大他動背屈角度(最大背屈角)を腓骨頭,外果,第5中足骨頭および底を指標としたデジタル画像解析により求めた。また,日々の1セット目のストレッチング時の左右の筋伸張痛の程度(筋伸張痛)をNRSにて聴取した。その上で,3群間でのストレッチング開始前と開始5日目での最大背屈角の変化量と筋伸張痛の程度を多重比較検定にて検討した。
【結果】
最大背屈角の変化量については,コントロール群と比較してHP同時施行群でのみ有意な増加(平均値で5.4度)を認めた。筋伸張痛の程度については,コントロール群と比較してHP同時施行群と従来HP群の両群で有意な減少を認めた(いずれも中央値で-3)が,HP同時施行群と従来HP群との間には明らかな違いを認めなかった。
【結論】
本結果は,HP同時施行群では従来HP群よりも確実性の高い介入効果が得られること,さらにストレッチングに伴う筋伸張痛を大幅に短時間で軽減できることを示している。表在性温熱療法であるHPの筋加温効果や筋伸張性改善効果については賛否両論が存在し,未だ統一見解が得られない状況にあるが,本結果からHP同時施行を用いることでより強力なストレッチングを効率よく実施できる可能性が示唆され,今後積極的に活用すべき手法であると考える。