[P-KS-03-2] 肩外転および水平屈曲角度が肩外旋可動域に与える影響
Keywords:肩外旋可動域, 肩外転角度, 肩水平屈曲角度
【はじめに,目的】
肩外旋可動域に影響を及ぼす要因として,肩外転および水平屈曲角度が挙げられる。しかし,肩外転および水平屈曲角度が,肩外旋可動域にどのような影響を与えるかを横断的に検討した報告は少ない。そこで,肩外転および水平屈曲角度の角度変化が肩外旋可動域に与える影響を明らかにすることを目的として本研究を行った。
【方法】
対象は健常男子大学生12名とした。体表のランドマーク上に,反射マーカーを貼付したのち,肩外転および水平屈曲角度を変化させた他動肩外旋可動域を4台のカメラで撮影,測定した。可動域の測定肢位は,肩水平屈曲0度での外転70,90,110度および肩外転角度90度での水平屈曲20,0,-20度とした。撮影した画像から,各反射マーカーの三次元座標値を得たのち,宮下らの方法に準じて,肩複合体全体の外旋角度(肩外旋角度),肩甲上腕関節外旋角度,肩甲骨後傾角度を算出した。肩外転角度および水平屈曲角度の変化による各関節角度の差について,それぞれ一元配置分散分析および多重比較検定としてTukey-Kramer法を用いて,比較検討した。
【結果】
水平屈曲0度での肩外旋角度は,外転70度で94.3±13.0度,90度で104.6±12.7度,110度で111.6±21.5度であり,外転70度と比較して外転110度で有意に大きい値となった(p<0.05)。外転90度での肩外旋角度は,水平屈曲20度で103.7±11.6度,0度で104.6±12.7度,-20度で86.1±12.6度であり,水平屈曲20度,0度と比較して水平屈曲-20度位で有意に小さい値となった(p<0.01)。
次に,水平屈曲0度での肩甲上腕関節外旋角度は,外転70度で71.9±11.5度,90度で74.1±16.6度,110度で75.6±18.3度であった。外転90度での肩甲上腕関節外旋角度は,水平屈曲20度で74.1±15.2度,0度で74.1±16.6度,-20度で63.8±15.8度であった。いずれの項目も有意な差はみられなかった。
また,水平屈曲0度での肩甲骨後傾角度は,外転70度で9.7±4.9度,90度で18.6±6.7度,110度で21.4±10.9度であり,外転70度と比較して外転90度(p<0.05),110度(p<0.01)で有意に大きい値となった。外転90度での肩甲骨後傾角度は,水平屈曲20度で14.9±9.2度,0度で18.6±6.7度,-20度で14.1±7.9度であり,有意な差はみられなかった。
【結論】
本研究の結果,外転,水平屈曲角度とも,肩外旋可動域に影響を与えていることが明らかとなった。外転角度の増加は肩甲骨後傾角度を増加させ,それにより肩外旋可動域の拡大に貢献していた。また,水平伸展位では,有意な差はみられなかったものの,肩甲上腕関節外旋角度が小さい傾向を示していたことから,肩甲上腕関節外旋角度が制限されることにより,肩外旋可動域が減少している可能性が考えられた。以上より,外転角度は肩甲骨後傾角度に,水平屈曲角度は肩甲上腕関節外旋角度に影響を及ぼすことで,結果として肩外旋可動域に影響を与えていると考えられた。
肩外旋可動域に影響を及ぼす要因として,肩外転および水平屈曲角度が挙げられる。しかし,肩外転および水平屈曲角度が,肩外旋可動域にどのような影響を与えるかを横断的に検討した報告は少ない。そこで,肩外転および水平屈曲角度の角度変化が肩外旋可動域に与える影響を明らかにすることを目的として本研究を行った。
【方法】
対象は健常男子大学生12名とした。体表のランドマーク上に,反射マーカーを貼付したのち,肩外転および水平屈曲角度を変化させた他動肩外旋可動域を4台のカメラで撮影,測定した。可動域の測定肢位は,肩水平屈曲0度での外転70,90,110度および肩外転角度90度での水平屈曲20,0,-20度とした。撮影した画像から,各反射マーカーの三次元座標値を得たのち,宮下らの方法に準じて,肩複合体全体の外旋角度(肩外旋角度),肩甲上腕関節外旋角度,肩甲骨後傾角度を算出した。肩外転角度および水平屈曲角度の変化による各関節角度の差について,それぞれ一元配置分散分析および多重比較検定としてTukey-Kramer法を用いて,比較検討した。
【結果】
水平屈曲0度での肩外旋角度は,外転70度で94.3±13.0度,90度で104.6±12.7度,110度で111.6±21.5度であり,外転70度と比較して外転110度で有意に大きい値となった(p<0.05)。外転90度での肩外旋角度は,水平屈曲20度で103.7±11.6度,0度で104.6±12.7度,-20度で86.1±12.6度であり,水平屈曲20度,0度と比較して水平屈曲-20度位で有意に小さい値となった(p<0.01)。
次に,水平屈曲0度での肩甲上腕関節外旋角度は,外転70度で71.9±11.5度,90度で74.1±16.6度,110度で75.6±18.3度であった。外転90度での肩甲上腕関節外旋角度は,水平屈曲20度で74.1±15.2度,0度で74.1±16.6度,-20度で63.8±15.8度であった。いずれの項目も有意な差はみられなかった。
また,水平屈曲0度での肩甲骨後傾角度は,外転70度で9.7±4.9度,90度で18.6±6.7度,110度で21.4±10.9度であり,外転70度と比較して外転90度(p<0.05),110度(p<0.01)で有意に大きい値となった。外転90度での肩甲骨後傾角度は,水平屈曲20度で14.9±9.2度,0度で18.6±6.7度,-20度で14.1±7.9度であり,有意な差はみられなかった。
【結論】
本研究の結果,外転,水平屈曲角度とも,肩外旋可動域に影響を与えていることが明らかとなった。外転角度の増加は肩甲骨後傾角度を増加させ,それにより肩外旋可動域の拡大に貢献していた。また,水平伸展位では,有意な差はみられなかったものの,肩甲上腕関節外旋角度が小さい傾向を示していたことから,肩甲上腕関節外旋角度が制限されることにより,肩外旋可動域が減少している可能性が考えられた。以上より,外転角度は肩甲骨後傾角度に,水平屈曲角度は肩甲上腕関節外旋角度に影響を及ぼすことで,結果として肩外旋可動域に影響を与えていると考えられた。