[P-KS-08-4] Mirror Therapyにおける運動機能の習得に与える影響―運動する手の左右の違いに着目して―
Keywords:ミラーセラピー, 半球優位性, 利き手
【はじめに,目的】ミラーセラピー(Mirror Therapy:MT)では,健側肢の随意運動を鏡に映し,その鏡像を患側肢に投影させ観察させる。これにより,運動同側の一次運度野を含む皮質脊髄路が活性化され,患側肢に運動覚を誘発させると考えられている。MTに関して多くの研究が行われているが,MTの効果と半球優位性に関する研究は見当たらない。そこで,本実験では,MT介入中に用いる運動する手の違いが運動機能の習得に与える影響について検討した。
【方法】対象者は右利きの健常成人32名(男性18名,女性14名,平均年齢21.1歳(19-22歳))とし,介入課題としてMTを行うMT介入群と,行わないコントロール群とに無作為に分けた。さらにMT介入群は,MT介入時にボール回転運動を実施する手の側により,左手MT群と右手MT群とに分け,コントロール群は,運動課題を実施する手の側により,右手コントロール群と左手コントロール群とに分けた。運動課題は一側手掌上で2つのゴルフボールを可能な限り速く回すボール回転運動とした。左手MT群は右手で,右手MT群は左手で運動課題を行った。すべての群に対して,運動課題実施側の手にて30秒間の運動課題を1セットとし3セット実施し,各セットのボールの回転数を測定した。その後,MT介入群では運動側の手によるボール回転運動の鏡像によって非運動側の手の運動として錯覚させる方法により,運動課題の学習を行った。MTの介入は30秒間のボール回転運動を10セット実施した。コントロール群ではMT介入の代わりに音読を行った。両群とも,MT介入ならびに音読終了後,運動課題を再び行った。被験者ごとに,介入前・後それぞれについて,3セットのボール回転数の平均値を求め各群の平均値を算出した。介入前・後におけるボールの回転数について,群内ならびに群間の比較を行った。また,被験者ごとに介入後のボールの回転数の増加率を算出し,各群の平均増加率を算出した。増加率についてはMT介入群間,コントロール群間,左手MT群と右手コントロール群間,右手MT群と左手コントロール群間で比較した。
【結果】全ての群において介入後のボール回転運動は有意に増加した。また,介入前・後のボールの回転数は群間には有意差は認められなかった。増加率について,群間の比較では,右手MT群が左手コントロール群より有意に大きく(p<0.02)。右手コントロール群が左手コントロール群より有意に大きかった(p<0.001)。その他の2群間には有意差は認められなかった。
【結論】MT介入により,左手および右手の錯覚を生じさせても,どちらも同等の運動課題遂行能力の改善が得られた。しかし,対象者の非利き手である左手で運動課題を実施する場合は運動課題を反復するよりも,MT介入の方が運動遂行能力は改善することがわかった。
【方法】対象者は右利きの健常成人32名(男性18名,女性14名,平均年齢21.1歳(19-22歳))とし,介入課題としてMTを行うMT介入群と,行わないコントロール群とに無作為に分けた。さらにMT介入群は,MT介入時にボール回転運動を実施する手の側により,左手MT群と右手MT群とに分け,コントロール群は,運動課題を実施する手の側により,右手コントロール群と左手コントロール群とに分けた。運動課題は一側手掌上で2つのゴルフボールを可能な限り速く回すボール回転運動とした。左手MT群は右手で,右手MT群は左手で運動課題を行った。すべての群に対して,運動課題実施側の手にて30秒間の運動課題を1セットとし3セット実施し,各セットのボールの回転数を測定した。その後,MT介入群では運動側の手によるボール回転運動の鏡像によって非運動側の手の運動として錯覚させる方法により,運動課題の学習を行った。MTの介入は30秒間のボール回転運動を10セット実施した。コントロール群ではMT介入の代わりに音読を行った。両群とも,MT介入ならびに音読終了後,運動課題を再び行った。被験者ごとに,介入前・後それぞれについて,3セットのボール回転数の平均値を求め各群の平均値を算出した。介入前・後におけるボールの回転数について,群内ならびに群間の比較を行った。また,被験者ごとに介入後のボールの回転数の増加率を算出し,各群の平均増加率を算出した。増加率についてはMT介入群間,コントロール群間,左手MT群と右手コントロール群間,右手MT群と左手コントロール群間で比較した。
【結果】全ての群において介入後のボール回転運動は有意に増加した。また,介入前・後のボールの回転数は群間には有意差は認められなかった。増加率について,群間の比較では,右手MT群が左手コントロール群より有意に大きく(p<0.02)。右手コントロール群が左手コントロール群より有意に大きかった(p<0.001)。その他の2群間には有意差は認められなかった。
【結論】MT介入により,左手および右手の錯覚を生じさせても,どちらも同等の運動課題遂行能力の改善が得られた。しかし,対象者の非利き手である左手で運動課題を実施する場合は運動課題を反復するよりも,MT介入の方が運動遂行能力は改善することがわかった。