[P-KS-13-3] 炭酸泉の筋疲労回復効果の検討
~筋電図周波数解析と自律神経活動評価から~
Keywords:炭酸泉, 筋疲労, 自律神経
【はじめに,目的】
炭酸泉は皮膚血管拡張,筋血流量増加が起こることが知られており,末梢循環障害,褥瘡,糖尿病性潰瘍などの有効な治療として利用されている。また筋血流量増加により,老廃物や発痛物質が除去され,運動後の筋疲労回復効果があることがわかっている。また,炭酸泉には,交感神経活性を抑え,副交感神経活動を賦活する作用があることも分かっている。筋疲労の評価の一つに,筋電図の周波数解析を用いた方法があり,筋放電スペクトルが疲労に伴い低周波数領域に移行するとされている。本研究では,表面筋電図の周波数解析を用いて,筋疲労に対する炭酸泉の回復効果を自律神経活動の評価とともに明らかにすることを目的とする。
【方法】
対象は若年健常男性8名とした。対象筋である右腓腹筋に対して最大随意収縮(maximum voluntary contraction,MVC)を行わせ,50%MVCによる筋出力の基準値を測定した。筋疲労課題として,片脚立位での足関節底背屈運動を毎分45回持続できなくなるまで実施した。その後,38℃の炭酸泉浴に10分間浸漬させた。比較条件として,淡水浴についても1週間の間隔をあけ実施した。筋疲労の筋電図学的評価は表面筋電図を用いて50%MVCでの足関節底屈運動時の中間周波数(median power frequency,MF)を算出した。測定は,筋疲労課題前,筋疲労課題後,足浴直後,5分後,10分後,30分後の計6回測定した。同時に自律神経活動の評価として,心電図RR間隔の周波数解析から算出したHF(high frequency)を副交感神経活動,LF(low frequency)/HFを交感神経活動の指標とした。炭酸泉の効果を,淡水浴との比較として対応のあるt検定,そして測定した時間経過の比較として二元配置分散分析にて検討した。
【結果】
筋疲労課題直後MFを基準とした変化量の比較において,炭酸泉は淡水と比較し足浴後10分の時点で有意にMFの上昇が認められた(p<0.05)。また,炭酸泉の時間経過の比較において,筋疲労後と比較し,10分後において有意なMFの上昇が認められた(P<0.05)。自律神経活動に関しては,足浴中のHF,LF/HF値を基準とした変化量において,足浴後から10分後の炭酸泉においてHFの有意な上昇とLF/HFの有意な低下が認められた(p<0.05)。
【結論】
炭酸泉は淡水と比較し,MFの有意な上昇を認めたことから筋電図学上の評価において筋疲労の改善効果が高いと推察される。また,MFの有意な改善が認めた同時期の自律神経活動として,副交感神経活動の働きが高まっており,末梢の血管拡張による血流改善効果がその機序に関与していると考えられる。
炭酸泉は皮膚血管拡張,筋血流量増加が起こることが知られており,末梢循環障害,褥瘡,糖尿病性潰瘍などの有効な治療として利用されている。また筋血流量増加により,老廃物や発痛物質が除去され,運動後の筋疲労回復効果があることがわかっている。また,炭酸泉には,交感神経活性を抑え,副交感神経活動を賦活する作用があることも分かっている。筋疲労の評価の一つに,筋電図の周波数解析を用いた方法があり,筋放電スペクトルが疲労に伴い低周波数領域に移行するとされている。本研究では,表面筋電図の周波数解析を用いて,筋疲労に対する炭酸泉の回復効果を自律神経活動の評価とともに明らかにすることを目的とする。
【方法】
対象は若年健常男性8名とした。対象筋である右腓腹筋に対して最大随意収縮(maximum voluntary contraction,MVC)を行わせ,50%MVCによる筋出力の基準値を測定した。筋疲労課題として,片脚立位での足関節底背屈運動を毎分45回持続できなくなるまで実施した。その後,38℃の炭酸泉浴に10分間浸漬させた。比較条件として,淡水浴についても1週間の間隔をあけ実施した。筋疲労の筋電図学的評価は表面筋電図を用いて50%MVCでの足関節底屈運動時の中間周波数(median power frequency,MF)を算出した。測定は,筋疲労課題前,筋疲労課題後,足浴直後,5分後,10分後,30分後の計6回測定した。同時に自律神経活動の評価として,心電図RR間隔の周波数解析から算出したHF(high frequency)を副交感神経活動,LF(low frequency)/HFを交感神経活動の指標とした。炭酸泉の効果を,淡水浴との比較として対応のあるt検定,そして測定した時間経過の比較として二元配置分散分析にて検討した。
【結果】
筋疲労課題直後MFを基準とした変化量の比較において,炭酸泉は淡水と比較し足浴後10分の時点で有意にMFの上昇が認められた(p<0.05)。また,炭酸泉の時間経過の比較において,筋疲労後と比較し,10分後において有意なMFの上昇が認められた(P<0.05)。自律神経活動に関しては,足浴中のHF,LF/HF値を基準とした変化量において,足浴後から10分後の炭酸泉においてHFの有意な上昇とLF/HFの有意な低下が認められた(p<0.05)。
【結論】
炭酸泉は淡水と比較し,MFの有意な上昇を認めたことから筋電図学上の評価において筋疲労の改善効果が高いと推察される。また,MFの有意な改善が認めた同時期の自律神経活動として,副交感神経活動の働きが高まっており,末梢の血管拡張による血流改善効果がその機序に関与していると考えられる。