[P-KS-18-1] 不安定性腰椎圧迫骨折に対する垂直型レッグプレスの使用経験と表面筋電図を用いた検討
Keywords:腰椎圧迫骨折, 表面筋電図, レッグプレス
【はじめに,目的】
疼痛や医学的な理由により長期間の臥床を余儀なくされた患者の下肢筋力をいかに維持するかは臨床上の課題である。今回,約8週間の臥床を強いられた不安定性腰椎圧迫骨折患者に対し,背臥位で行う垂直型レッグプレス(以下,レッグプレス)を導入し,骨折前のADL,下肢筋力を維持することができた1症例を経験した。症例報告ならびにレッグプレスと他の臥位で行う運動を表面筋電図で比較検討したので報告する。
【方法】
症例は70歳代,女性。既往に脳梗塞左片麻痺。骨折前のADLはFIM運動機能項目(以下,FIM-M)78点,FIM認知機能項目(以下,FIM-C)35点でシルバーカーにて歩行自立。某日,第1腰椎圧迫骨折を受傷し入院。椎体の不安定性を認め,疼痛はNumerical Rating Scaleで背臥位時6/10,座位時10/10。入院時のADLは,FIM-M24点(歩行1点),FIM-C35点。主治医より終日臥床の指示があり,ストレッチャー移動で排泄もおむつ内となった。入院翌日より,レッグプレスを開始し,負荷量は疼痛が増悪しない体重の25%から徐々に増やして最終的には体重の50%とし,椎体が安定するまでの8週間,400回/日・週7日実施した。8週間後の非麻痺側の膝関節伸展筋筋力(Isoforce GT330:OG技研)は61.7kg(骨折前58.0kg)で,FIM-M78点(歩行6点),FIM-C35点と,ADL,筋力ともに維持できた。
表面筋電図測定は,TeleMyo G2(Noraxon社製)を使用。サンプリング周波数は1000Hzとし,生波形を全波整流した後,積分筋電図を算出した。被検筋は非麻痺側の大腿直筋・半腱様筋・前脛骨筋・腓腹筋の4筋とした。被検筋上の皮膚を十分に前処理(皮膚インピーダンス5kΩ以下)し測定した。下肢伸展挙上運動(以下,SLR),patella setting,レッグプレス(負荷量は体重の50%)の各動作を一動作5秒間,3回施行した平均積分値を,高さ40cmの座面からの起立動作(一動作5秒間,3回施行)による平均積分値で除して百分率で表した。
【結果】
起立動作の筋活動に対して,SLRは大腿直筋52.5%,半腱様筋9.8%,前脛骨筋8.0%,腓腹筋6.7%。patella settingは大腿直筋62.9%,半腱様筋8.8%,前脛骨筋5.7%,腓腹筋3.6%。レッグプレスは大腿直筋108.6%,半腱様筋132.7%,前脛骨筋100.0%,腓腹筋114.0%であった。
【結論】
約8週間の臥床を強いられたにも関わらず,レッグプレスを用いた臥位での運動で下肢筋力やADLを維持できた症例を経験した。表面筋電図測定の結果から,レッグプレスはSLRやpatella settingと比較してすべての測定筋において高い筋活動を示し,離床困難な患者に対してより効果的な運動になり得ることが示唆された。レッグプレスは背臥位で行なえ負荷量を重錘で容易に調節できるため,病態や身体能力に応じた幅広い活用の可能性がある.
疼痛や医学的な理由により長期間の臥床を余儀なくされた患者の下肢筋力をいかに維持するかは臨床上の課題である。今回,約8週間の臥床を強いられた不安定性腰椎圧迫骨折患者に対し,背臥位で行う垂直型レッグプレス(以下,レッグプレス)を導入し,骨折前のADL,下肢筋力を維持することができた1症例を経験した。症例報告ならびにレッグプレスと他の臥位で行う運動を表面筋電図で比較検討したので報告する。
【方法】
症例は70歳代,女性。既往に脳梗塞左片麻痺。骨折前のADLはFIM運動機能項目(以下,FIM-M)78点,FIM認知機能項目(以下,FIM-C)35点でシルバーカーにて歩行自立。某日,第1腰椎圧迫骨折を受傷し入院。椎体の不安定性を認め,疼痛はNumerical Rating Scaleで背臥位時6/10,座位時10/10。入院時のADLは,FIM-M24点(歩行1点),FIM-C35点。主治医より終日臥床の指示があり,ストレッチャー移動で排泄もおむつ内となった。入院翌日より,レッグプレスを開始し,負荷量は疼痛が増悪しない体重の25%から徐々に増やして最終的には体重の50%とし,椎体が安定するまでの8週間,400回/日・週7日実施した。8週間後の非麻痺側の膝関節伸展筋筋力(Isoforce GT330:OG技研)は61.7kg(骨折前58.0kg)で,FIM-M78点(歩行6点),FIM-C35点と,ADL,筋力ともに維持できた。
表面筋電図測定は,TeleMyo G2(Noraxon社製)を使用。サンプリング周波数は1000Hzとし,生波形を全波整流した後,積分筋電図を算出した。被検筋は非麻痺側の大腿直筋・半腱様筋・前脛骨筋・腓腹筋の4筋とした。被検筋上の皮膚を十分に前処理(皮膚インピーダンス5kΩ以下)し測定した。下肢伸展挙上運動(以下,SLR),patella setting,レッグプレス(負荷量は体重の50%)の各動作を一動作5秒間,3回施行した平均積分値を,高さ40cmの座面からの起立動作(一動作5秒間,3回施行)による平均積分値で除して百分率で表した。
【結果】
起立動作の筋活動に対して,SLRは大腿直筋52.5%,半腱様筋9.8%,前脛骨筋8.0%,腓腹筋6.7%。patella settingは大腿直筋62.9%,半腱様筋8.8%,前脛骨筋5.7%,腓腹筋3.6%。レッグプレスは大腿直筋108.6%,半腱様筋132.7%,前脛骨筋100.0%,腓腹筋114.0%であった。
【結論】
約8週間の臥床を強いられたにも関わらず,レッグプレスを用いた臥位での運動で下肢筋力やADLを維持できた症例を経験した。表面筋電図測定の結果から,レッグプレスはSLRやpatella settingと比較してすべての測定筋において高い筋活動を示し,離床困難な患者に対してより効果的な運動になり得ることが示唆された。レッグプレスは背臥位で行なえ負荷量を重錘で容易に調節できるため,病態や身体能力に応じた幅広い活用の可能性がある.