[P-KS-20-2] 観察によるClinical Assessment Test of 180-degree Standing Turn Strategy(CAT-STS)の信頼性の検討
Keywords:立位回転動作, 動作戦略, 信頼性
【はじめに,目的】
立位回転動作の動作戦略を評価する指標にClinical Assessment Test of 180-degree Standing Turn Strategy(CAT-STS)がある。ビデオを用いた検討では信頼性が報告されているが,観察によるCAT-STSの信頼性は報告されていない。したがって,本研究は観察によるCAT-STSの信頼性を検討することとした。
【方法】
回復期リハビリテーション病棟入院患者10名(脳血管疾患5名,整形外科疾患5名)を対象とした。取り込み基準は,歩行と立位回転動作が見守りまたは自立レベル,動作の指示理解が良好なこととした。対象の平均年齢,身長,体重,FIM合計得点,歩行速度はそれぞれ,66.6±12.4歳,157.9±6.9cm,55.1±10.1kg,103.5±16.5点,0.68±0.35m/s(平均値±標準偏差)であった。立位回転動作の動作戦略の評価はCAT-STSを用いた。CAT-STSは,進行方向,運動の範囲,足の運び,開始,停止,不安定性,非流動性の7項目から成り,進行方向を除く6項目から合計得点(6~13点)を算出する。検者Aと検者BがCAT-STSを用い,右回転と左回転の立位回転動作を評価した。翌日に検名Aが再評価を実施した。同時に動画の撮影を行い,所要時間と歩数を測定した。課題は快適速度で行った。統計学的分析は,SPSS 23.0 J for windowsを用いた。CAT-STSの各項目の検者内および検者間信頼性は一致率とカッパ係数を算出し,立位回転動動作の所要時間と歩数,合計得点はIntraclass correlation coefficients(ICC)の(1.1)および(2.1)を用いた。ICCを算出する際,右回転と左回転を合わせて解析を行った。
【結果】
立位回転動作の平均所要時間と歩数は,左回転が5.2±3.1秒,7.1±4.2歩,右回転が6.5±5.4秒,9.0±8.8歩,再テストでは,左回転が5.4±3.2秒,6.6±2.9歩,右回転が,5.5±3.1秒,7.0±3.5歩であった。立位回転動作の所要時間と歩数のICC(1.1)は,0.770と0.677であった。CAT-STSの合計得点は,検者Aが左回転と右回転,それぞれ,11.1±1.4点,10.6±1.8点,検者Bはそれぞれ,10.5±2.0点,10.7±1.8点であり,再テストでは,それぞれ10.7±1.7点,10.6±1.7点であった。検者内信頼性は,進行方向,運動の範囲,足の運び,開始,停止,不安定性,非流動性において,それぞれ,一致率が100%,95%,90%,100%,85%,90%,90%,カッパ係数が1.000,0.876,0.000,1.000,0.571,0.737,0.800であり,検者間信頼性はそれぞれ,一致率が100%,85%,80%,80%,65%,95%,90%,カッパ係数は1.000,0.568,-0.111,-0.081,0.146,0.875,0.800であった。CAT-STSの合計得点のICC(1.1)と(2.1)は0.847,0.577であった。
【結論】
観察によるCAT-STS各項目の一致率は概ね高い一致率が得られた。CAT-STSの合計得点の検者内信頼性は高かったが,検者間信頼性は乏しかった。しかし,観察によるCAT-STSは臨床場面で簡単に用いることができるため,臨床上での活用も十分可能と考えられる。
立位回転動作の動作戦略を評価する指標にClinical Assessment Test of 180-degree Standing Turn Strategy(CAT-STS)がある。ビデオを用いた検討では信頼性が報告されているが,観察によるCAT-STSの信頼性は報告されていない。したがって,本研究は観察によるCAT-STSの信頼性を検討することとした。
【方法】
回復期リハビリテーション病棟入院患者10名(脳血管疾患5名,整形外科疾患5名)を対象とした。取り込み基準は,歩行と立位回転動作が見守りまたは自立レベル,動作の指示理解が良好なこととした。対象の平均年齢,身長,体重,FIM合計得点,歩行速度はそれぞれ,66.6±12.4歳,157.9±6.9cm,55.1±10.1kg,103.5±16.5点,0.68±0.35m/s(平均値±標準偏差)であった。立位回転動作の動作戦略の評価はCAT-STSを用いた。CAT-STSは,進行方向,運動の範囲,足の運び,開始,停止,不安定性,非流動性の7項目から成り,進行方向を除く6項目から合計得点(6~13点)を算出する。検者Aと検者BがCAT-STSを用い,右回転と左回転の立位回転動作を評価した。翌日に検名Aが再評価を実施した。同時に動画の撮影を行い,所要時間と歩数を測定した。課題は快適速度で行った。統計学的分析は,SPSS 23.0 J for windowsを用いた。CAT-STSの各項目の検者内および検者間信頼性は一致率とカッパ係数を算出し,立位回転動動作の所要時間と歩数,合計得点はIntraclass correlation coefficients(ICC)の(1.1)および(2.1)を用いた。ICCを算出する際,右回転と左回転を合わせて解析を行った。
【結果】
立位回転動作の平均所要時間と歩数は,左回転が5.2±3.1秒,7.1±4.2歩,右回転が6.5±5.4秒,9.0±8.8歩,再テストでは,左回転が5.4±3.2秒,6.6±2.9歩,右回転が,5.5±3.1秒,7.0±3.5歩であった。立位回転動作の所要時間と歩数のICC(1.1)は,0.770と0.677であった。CAT-STSの合計得点は,検者Aが左回転と右回転,それぞれ,11.1±1.4点,10.6±1.8点,検者Bはそれぞれ,10.5±2.0点,10.7±1.8点であり,再テストでは,それぞれ10.7±1.7点,10.6±1.7点であった。検者内信頼性は,進行方向,運動の範囲,足の運び,開始,停止,不安定性,非流動性において,それぞれ,一致率が100%,95%,90%,100%,85%,90%,90%,カッパ係数が1.000,0.876,0.000,1.000,0.571,0.737,0.800であり,検者間信頼性はそれぞれ,一致率が100%,85%,80%,80%,65%,95%,90%,カッパ係数は1.000,0.568,-0.111,-0.081,0.146,0.875,0.800であった。CAT-STSの合計得点のICC(1.1)と(2.1)は0.847,0.577であった。
【結論】
観察によるCAT-STS各項目の一致率は概ね高い一致率が得られた。CAT-STSの合計得点の検者内信頼性は高かったが,検者間信頼性は乏しかった。しかし,観察によるCAT-STSは臨床場面で簡単に用いることができるため,臨床上での活用も十分可能と考えられる。