[P-KS-41-3] 体幹・下肢筋機能の基準値と歩行能力の関連について
Keywords:筋機能, 基準値, 歩行能力
【はじめに,目的】
我々の徒手筋力計(hand held dynamometer:HHD)を使用した筋機能(筋力,筋の均衡値:伸展筋力/屈曲筋力比,E/F比)に関する研究の課題として,筋機能の年代ごとの推移と男女別の基準値は未確立であること,筋機能と歩行能力との関連は不明確なことが挙げられた。本研究の目的は,HHDを使用した体幹・下肢の筋力測定と歩行能力測定を実施し,①20歳代,60歳代,70歳代の健常者の筋機能の男女別基準値とその特性,②筋機能と歩行能力との関連を検討することである。
【方法】
対象は,下肢および体幹機能に影響をおよぼす運動器障害や脳血管障害の既往のない健常若年者39名(男性19名,女性20名,平均年齢22.4±0.9歳),60歳以上の健常高齢者35名(男性6名,女性29名,平均年齢70.1±4.4歳)とした。
測定項目は,①身体計測:身長,体重,②筋力測定:測定機器には徒手筋力計(HHD:酒井医療製モービィMT-100),固定・牽引用ベルト(同プルセンサー)を使用した。被験筋は体幹伸展筋群,体幹屈曲筋群,右側の膝関節伸展筋群,膝関節屈曲筋群の4筋群とした。測定肢位は,いずれの測定も端座位で体幹中間位,股関節,膝関節屈曲90°とした。測定は等尺性最大収縮にて各3回実施した。データ解析には,得られた3回のうち最大値を体重で除した値(N/kg),E/F比を求めた。③歩行能力測定:10m最大歩行速度試験を実施した。測定は前後に3mの助走路を設けた10mの歩行路をできるだけ速く歩く課題を実施し,歩行速度を求めた。
本研究にて得られた数値は,平均値±標準偏差で表した。体幹・下肢筋力,E/Fの年代別の差の検定に一元配置分散分析,筋機能と歩行能力の関連の検定には,Peasonの相関係数を求めた。いずれも有意水準を5%未満とした。
【結果】
(1)男女別の体幹・下肢筋力と筋の均衡値
参考までに20歳代の健常者の体幹筋機能(体幹伸展筋力・体幹屈曲筋力・E/F比),右下肢筋機能(膝関節伸展筋力・膝関節屈曲筋力・E/F比)を以下に示す。なお,前年度までに得られたデータに今回のデータを追加した。
20歳代男性(n=55):4.2±1.1・3.9±0.7・1.3±0.3,9.5±2.7・5.2±1.1,1.9±0.5,20歳代女性(n=76):3.2±0.9・3.9±1.2,1.4±0.3,5.7±1.4・4.0±0.7・1.4±0.3
(2)年代間の筋力特性
体幹屈曲筋力・下肢伸展筋力では,20歳代と60歳代,70歳代間に有意差を認めた(p<.01)。下肢屈曲筋力では,各群間に有意差を認めた(p<.01)。体幹E/Fでは,20歳代と60歳代間,60歳代と70歳代間に有意差を認めた(p<.01)。
(3)体幹・下肢筋力と歩行能力との関連
平均歩行速度は(m/s),若年者2.9±0.4,高齢者2.1±0.3であった。筋力と歩行能力との関連は,若年者の体幹屈曲筋力を除き,若年者,高齢者ともに各筋力と歩行能力の間に有意な相関を認めた。
【結論】
本研究による知見は,徒手筋力計を使用した下肢・体幹筋力測定の一指標となることが示唆された。
我々の徒手筋力計(hand held dynamometer:HHD)を使用した筋機能(筋力,筋の均衡値:伸展筋力/屈曲筋力比,E/F比)に関する研究の課題として,筋機能の年代ごとの推移と男女別の基準値は未確立であること,筋機能と歩行能力との関連は不明確なことが挙げられた。本研究の目的は,HHDを使用した体幹・下肢の筋力測定と歩行能力測定を実施し,①20歳代,60歳代,70歳代の健常者の筋機能の男女別基準値とその特性,②筋機能と歩行能力との関連を検討することである。
【方法】
対象は,下肢および体幹機能に影響をおよぼす運動器障害や脳血管障害の既往のない健常若年者39名(男性19名,女性20名,平均年齢22.4±0.9歳),60歳以上の健常高齢者35名(男性6名,女性29名,平均年齢70.1±4.4歳)とした。
測定項目は,①身体計測:身長,体重,②筋力測定:測定機器には徒手筋力計(HHD:酒井医療製モービィMT-100),固定・牽引用ベルト(同プルセンサー)を使用した。被験筋は体幹伸展筋群,体幹屈曲筋群,右側の膝関節伸展筋群,膝関節屈曲筋群の4筋群とした。測定肢位は,いずれの測定も端座位で体幹中間位,股関節,膝関節屈曲90°とした。測定は等尺性最大収縮にて各3回実施した。データ解析には,得られた3回のうち最大値を体重で除した値(N/kg),E/F比を求めた。③歩行能力測定:10m最大歩行速度試験を実施した。測定は前後に3mの助走路を設けた10mの歩行路をできるだけ速く歩く課題を実施し,歩行速度を求めた。
本研究にて得られた数値は,平均値±標準偏差で表した。体幹・下肢筋力,E/Fの年代別の差の検定に一元配置分散分析,筋機能と歩行能力の関連の検定には,Peasonの相関係数を求めた。いずれも有意水準を5%未満とした。
【結果】
(1)男女別の体幹・下肢筋力と筋の均衡値
参考までに20歳代の健常者の体幹筋機能(体幹伸展筋力・体幹屈曲筋力・E/F比),右下肢筋機能(膝関節伸展筋力・膝関節屈曲筋力・E/F比)を以下に示す。なお,前年度までに得られたデータに今回のデータを追加した。
20歳代男性(n=55):4.2±1.1・3.9±0.7・1.3±0.3,9.5±2.7・5.2±1.1,1.9±0.5,20歳代女性(n=76):3.2±0.9・3.9±1.2,1.4±0.3,5.7±1.4・4.0±0.7・1.4±0.3
(2)年代間の筋力特性
体幹屈曲筋力・下肢伸展筋力では,20歳代と60歳代,70歳代間に有意差を認めた(p<.01)。下肢屈曲筋力では,各群間に有意差を認めた(p<.01)。体幹E/Fでは,20歳代と60歳代間,60歳代と70歳代間に有意差を認めた(p<.01)。
(3)体幹・下肢筋力と歩行能力との関連
平均歩行速度は(m/s),若年者2.9±0.4,高齢者2.1±0.3であった。筋力と歩行能力との関連は,若年者の体幹屈曲筋力を除き,若年者,高齢者ともに各筋力と歩行能力の間に有意な相関を認めた。
【結論】
本研究による知見は,徒手筋力計を使用した下肢・体幹筋力測定の一指標となることが示唆された。