[P-KS-43-4] めまい患者における身体活動量が,めまいと身体機能へ及ぼす影響
Keywords:めまい, 身体活動量, 前庭代償
【はじめに,目的】
我々は2011年より慢性めまい患者に対する理学療法を施行し,その効果を示してきた。しかし,めまいに関するアンケートDizziness Handicap Inventory(以下DHI)の中で外出に関する項目においては改善が認められていない傾向を示しており,めまいの改善と外出を含めた身体活動に一定した見解がみられていない。またDHIは主観的な評価であり,身体活動量を客観的に分析されておらず,実際の身体活動量は明らかにされていない。そこで本研究では,めまい患者の実際の身体活動量を計測し,めまいと身体機能との関連性について検討した。
【方法】
対象は3か月以上めまいを訴えている前庭機能低下症15名(平均年齢:64.5±17.5歳)とした。身体活動量の計測は腕時計型計測装置ActiSleep+Monitor(ActiGraph社製)を用いて,入浴時以外の1週間装着した。解析方法はFreedsonらの方法を用いて身体活動量の程度を,Sedentary(SB)とModerate-to-Vigorous physical activity(MVPA)に分類した。めまいの評価はDHIを使用し,7項目の身体的(Physical),9項目の情緒的(Emotional),9項目の機能的(Functional)の計25項目に加えPhysicalとFunctionalに含まれる外出に関する項目から8項目抽出した。身体機能評価としては,片脚立位時間,8の字歩行時間,Balancemaster(Neurocom社製)にて姿勢安定性(4条件)を測定した。統計解析はSPSSを用いてPearsonの相関係数にて身体活動量とDHIのTotal,Physical,Emotional,Functional,外出の項目,片脚立位時間,8の字歩行時間,姿勢安定性の相関を求めた。
【結果】
身体活動量は,Sedentary:405.9±75.1min/day,MVPA:228.3±85.4min/dayであった。DHIはTotal:44.9±21.2点,Physical:16.8±12.2点,Functional:16.8±8.4点,Emotional:14.0±8.6点,外出に関する項目:17.1±7.9点であった。身体機能評価は,片脚立位時間:24.0±25.7秒,8の字歩行時間:51.4±11.1秒,姿勢安定性の条件1:0.3±0.1deg/sec,条件2:0.5±0.2deg/sec,条件3:0.9±0.3deg/sec,条件4:4.2±1.7deg/secであった。MVPAと外出に関する項目,姿勢安定性の条件4において有意な負の相関が認められた。その他の身体活動量と他の項目との間に相関は認められなかった。
【結論】
今回,めまい患者における身体活動量のMVPAと外出に関する項目に負の相関が認められた。これは,活動量計による身体活動量はDHIに反映することが示された。さらにMVPAと姿勢安定性の条件4において負の相関が認められた。これは身体活動量が高いことにより頭部運動が増加し前庭代償を促進したことが示唆された。しかし,今回の活動量の計測に際して装着した部位が手関節であり,めまい患者が苦手とする頭部運動を計測していない。今後は頭部運動の計測などを行い,より前庭機能を反映させた日常生活での活動量を検討していく必要がある。
我々は2011年より慢性めまい患者に対する理学療法を施行し,その効果を示してきた。しかし,めまいに関するアンケートDizziness Handicap Inventory(以下DHI)の中で外出に関する項目においては改善が認められていない傾向を示しており,めまいの改善と外出を含めた身体活動に一定した見解がみられていない。またDHIは主観的な評価であり,身体活動量を客観的に分析されておらず,実際の身体活動量は明らかにされていない。そこで本研究では,めまい患者の実際の身体活動量を計測し,めまいと身体機能との関連性について検討した。
【方法】
対象は3か月以上めまいを訴えている前庭機能低下症15名(平均年齢:64.5±17.5歳)とした。身体活動量の計測は腕時計型計測装置ActiSleep+Monitor(ActiGraph社製)を用いて,入浴時以外の1週間装着した。解析方法はFreedsonらの方法を用いて身体活動量の程度を,Sedentary(SB)とModerate-to-Vigorous physical activity(MVPA)に分類した。めまいの評価はDHIを使用し,7項目の身体的(Physical),9項目の情緒的(Emotional),9項目の機能的(Functional)の計25項目に加えPhysicalとFunctionalに含まれる外出に関する項目から8項目抽出した。身体機能評価としては,片脚立位時間,8の字歩行時間,Balancemaster(Neurocom社製)にて姿勢安定性(4条件)を測定した。統計解析はSPSSを用いてPearsonの相関係数にて身体活動量とDHIのTotal,Physical,Emotional,Functional,外出の項目,片脚立位時間,8の字歩行時間,姿勢安定性の相関を求めた。
【結果】
身体活動量は,Sedentary:405.9±75.1min/day,MVPA:228.3±85.4min/dayであった。DHIはTotal:44.9±21.2点,Physical:16.8±12.2点,Functional:16.8±8.4点,Emotional:14.0±8.6点,外出に関する項目:17.1±7.9点であった。身体機能評価は,片脚立位時間:24.0±25.7秒,8の字歩行時間:51.4±11.1秒,姿勢安定性の条件1:0.3±0.1deg/sec,条件2:0.5±0.2deg/sec,条件3:0.9±0.3deg/sec,条件4:4.2±1.7deg/secであった。MVPAと外出に関する項目,姿勢安定性の条件4において有意な負の相関が認められた。その他の身体活動量と他の項目との間に相関は認められなかった。
【結論】
今回,めまい患者における身体活動量のMVPAと外出に関する項目に負の相関が認められた。これは,活動量計による身体活動量はDHIに反映することが示された。さらにMVPAと姿勢安定性の条件4において負の相関が認められた。これは身体活動量が高いことにより頭部運動が増加し前庭代償を促進したことが示唆された。しかし,今回の活動量の計測に際して装着した部位が手関節であり,めまい患者が苦手とする頭部運動を計測していない。今後は頭部運動の計測などを行い,より前庭機能を反映させた日常生活での活動量を検討していく必要がある。