[P-KS-52-4] C2C12筋管細胞を用いたエンドトキシン誘発性筋萎縮に対するω-3系多価不飽和脂肪酸の予防効果
Keywords:ω-3系多価不飽和脂肪酸, LPS, 筋萎縮
【はじめに,目的】
敗血症などの基礎疾患に関連して生じる全身性炎症状態では,NF-κBの活性化によりTNF-αやその他炎症性サイトカインの産生が亢進し,それにより骨格筋でのタンパク質合成が抑制され,同時にタンパク質分解が促進される。その結果,脂肪量減少の有無に関わらず骨格筋量が減少し,活動性やQOLの低下をもたらす。DHAやEPAに代表されるω-3系多価不飽和脂肪酸は,NF-κBの活性を抑制する核内受容体であるPPARγのリガンドとして作用することが報告されている。一方,EPAやDHAの作用に関して,生理学的な筋タンパク合成促進効果やII型糖尿病モデルにおけるタンパク質分解系の抑制効果等が報告されているが,全身的炎症により惹起される筋萎縮に対する予防効果は明らかでない。そこで,エンドトキシン誘発性筋萎縮モデルに対して抗炎症作用を有するω-3系多価不飽和脂肪酸を添加することで筋萎縮を予防できると考えた。本研究では,培養筋管細胞にリポポリサッカライド(LPS)を添加することで惹起される炎症性筋萎縮に対し,DHAおよびEPAの予防効果の検証を行った。
【方法】
マウス筋芽細胞株C2C12細胞を12 well plateに播種し,10% fetal bovine serumを含むDulbecco's modified Eagle mediumで増殖させた。90~100%コンフルエント時に血清を2% horse serumに変更し5~6日間の培養にて筋管細胞に分化させた。DHAまたはEPAを25,50,100μMの濃度で添加し,1時間後にLPSを1μg/mlの濃度で添加した。1回目のLPS添加の24時間後に2回目のLPS添加を行い,48時間後の筋管細胞径を測定した。結果の統計処理には,一元配置分散分析とTukeyの多重比較検定を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
LPS添加群は対照群と比較して筋管細胞径が有意に減少した。DHAに関しては,25μMおよび50μM添加群でLPS添加群に対して有意に高値を示し,対照群レベルに維持された。EPAに関しては,25μM添加群でLPS添加群に対して有意に高値を示し,対照群レベルに維持された。一方,DHAの100μM添加群は対照群と比較して低値を示す傾向にあり,EPAの100μM添加群では対照群および25μM添加群に対して有意に低値を示した。
【結論】
本研究では,エンドトキシン誘発性筋萎縮に対するDHAおよびEPAの予防効果が示され,さらに高濃度のDHA,EPAでは予防効果が減少することが明らかになった。これらによって,炎症性筋萎縮に対するω-3系多価不飽和脂肪酸の用量依存的効果が示唆された。
敗血症などの基礎疾患に関連して生じる全身性炎症状態では,NF-κBの活性化によりTNF-αやその他炎症性サイトカインの産生が亢進し,それにより骨格筋でのタンパク質合成が抑制され,同時にタンパク質分解が促進される。その結果,脂肪量減少の有無に関わらず骨格筋量が減少し,活動性やQOLの低下をもたらす。DHAやEPAに代表されるω-3系多価不飽和脂肪酸は,NF-κBの活性を抑制する核内受容体であるPPARγのリガンドとして作用することが報告されている。一方,EPAやDHAの作用に関して,生理学的な筋タンパク合成促進効果やII型糖尿病モデルにおけるタンパク質分解系の抑制効果等が報告されているが,全身的炎症により惹起される筋萎縮に対する予防効果は明らかでない。そこで,エンドトキシン誘発性筋萎縮モデルに対して抗炎症作用を有するω-3系多価不飽和脂肪酸を添加することで筋萎縮を予防できると考えた。本研究では,培養筋管細胞にリポポリサッカライド(LPS)を添加することで惹起される炎症性筋萎縮に対し,DHAおよびEPAの予防効果の検証を行った。
【方法】
マウス筋芽細胞株C2C12細胞を12 well plateに播種し,10% fetal bovine serumを含むDulbecco's modified Eagle mediumで増殖させた。90~100%コンフルエント時に血清を2% horse serumに変更し5~6日間の培養にて筋管細胞に分化させた。DHAまたはEPAを25,50,100μMの濃度で添加し,1時間後にLPSを1μg/mlの濃度で添加した。1回目のLPS添加の24時間後に2回目のLPS添加を行い,48時間後の筋管細胞径を測定した。結果の統計処理には,一元配置分散分析とTukeyの多重比較検定を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
LPS添加群は対照群と比較して筋管細胞径が有意に減少した。DHAに関しては,25μMおよび50μM添加群でLPS添加群に対して有意に高値を示し,対照群レベルに維持された。EPAに関しては,25μM添加群でLPS添加群に対して有意に高値を示し,対照群レベルに維持された。一方,DHAの100μM添加群は対照群と比較して低値を示す傾向にあり,EPAの100μM添加群では対照群および25μM添加群に対して有意に低値を示した。
【結論】
本研究では,エンドトキシン誘発性筋萎縮に対するDHAおよびEPAの予防効果が示され,さらに高濃度のDHA,EPAでは予防効果が減少することが明らかになった。これらによって,炎症性筋萎縮に対するω-3系多価不飽和脂肪酸の用量依存的効果が示唆された。