The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本運動器理学療法学会 » ポスター発表

[P-MT-05] ポスター(運動器)P05

Fri. May 12, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本運動器理学療法学会

[P-MT-05-5] 頸椎変性疾患に対するMcKenzie法および頸部深層筋エクササイズを用いた運動療法の短期的効果

葉 清規1,2, 対馬 栄輝2, 大石 陽介3, 村瀬 正昭3, 伊藤 創1 (1.医療法人社団おると会浜脇整形外科リハビリセンターリハビリテーション科, 2.弘前大学大学院保健学研究科, 3.医療法人社団おると会浜脇整形外科病院整形外科)

Keywords:頸椎変性疾患, McKenzie法, 頸部深層筋

【はじめに】

頸椎変性疾患は,頸椎の退行性変化により,頸部痛,肩甲骨周囲痛,頸部可動域制限などの頸部障害や神経障害をきたす疾患であり,臨床で遭遇する機会は多い。

本邦では,一般的に頸椎変性疾患に対する治療として薬物療法,装具療法,物理療法,運動療法等が行われているが,運動療法の効果について検証された報告はわずかである。

本研究の目的は,頸椎変性疾患に対して,McKenzie法および頸部深層筋エクササイズを用いた運動療法の短期的効果を調査することである。

【方法】

対象は,2013年7月より2016年8月の期間で,頸部及び上肢帯の疼痛・痺れ等の症状で来院し,画像上で頸椎の退行性変化を認め,理学療法(主に運動療法,物理療法等)を施行した症例のうち,包含基準,除外基準より選択され,評価に不備がなかった頸椎変性疾患保存治療例106例である。包含基準は,薬物療法を併用,現在就労していること等,除外基準は,原因が明らかな急性発症例,他の整形外科疾患合併例等とした。診断名の内訳は,頸椎症性神経根症53例,頸椎椎間板ヘルニア34例,変形性頸椎症15例,頸椎症性脊髄症4例であった。

運動療法は,McKenzie法を実施した群(76例),McKenzie法と頸部深層筋エクササイズを併用した群(30例)とした。

McKenzie法による運動療法は,頸部の反復運動,姿勢保持等の評価から症状緩解が得られる運動方向を確認し,その方向への反復運動によるセルフエクササイズ(5-6回/2時間おき)とした。頸部深層筋エクササイズは,頸部深層屈筋運動を10秒×10回程度(2-3セット/日),頸部深層伸筋運動を10秒×5回程度(2-3セット/日)とした。

評価項目は,頸部自動関節可動域(以下ROM),VAS(頸部,上肢症状),Neck Disability Index(以下NDI)のサブスケールおよび障害度,日本整形外科学会頸部脊髄症評価質問票の頸椎機能スコア(以下JOACMEQ),SF-8(下位尺度およびサマリースコア)をリハ初回時,1週間後,1ヶ月後に評価した。

統計解析は,両群の治療経過の差の分析に線形混合モデルを適用した。主効果が有意な水準間に対しては多重比較法として,対応のあるt検定を適用し,Bonfferoni法で修正した。有意水準は5%とした。

【結果】

両群ともにROM(屈曲,伸展,側屈,回旋),VAS,NDIのサブスケールおよび障害度,JOACMEQにおいてリハ初回時および1週間後と比較して,1ヶ月後に有意な改善がみられた。またSF-8のRP,BP,GH,RE,MH,PCS,MCSにおいて初回と比較して,1ヶ月後に有意な改善がみられた。群間での有意な差はみられなかった。

【結論】

頸椎変性疾患に対する運動療法開始1ヶ月後の効果として,McKenzie法に基づく運動療法とMcKenzie法に頸部深層筋エクササイズを併用した運動療法では,1週間後以降に症状面,所見面,心理面に改善が得られるが,両群における明らかな効果の差はみられない。