The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本運動器理学療法学会 » ポスター発表

[P-MT-08] ポスター(運動器)P08

Fri. May 12, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本運動器理学療法学会

[P-MT-08-1] 生物学的製剤使用中の関節リウマチ患者の自己効力感に関する予備的研究
―疼痛症状,機能障害,精神心理的問題の関係性に関する検討―

上甲 雄太郎, 島原 範芳, 内山 裕貴, 赤松 和紀 (道後温泉病院)

Keywords:関節リウマチ, 生物学製剤, 自己効力感

【はじめに】生物学的製剤(以下Bio)の登場は関節リウマチ(以下RA)の治療に臨床的寛解という治療目標の大きな変革をもたらしたが,加療後も残存する疼痛と破局的思考は大きな課題である。ペインリハビリテーションの分野では破局的思考に対する自己効力感の存在が注目されているがRAの分野では散見される程度である。そこで今回,Bio使用中のRA患者の疼痛症状,機能障害,精神心理的問題について自己効力感の状態による比較検討を行うとともに,それらの関係性について検討したので若干の知見を交えて報告する。

【方法】対象は研究の趣旨を説明し,同意を得られたBio使用中のRA患者14名(平均年齢59.71±4.61歳,平均罹病期間14.5±2.83年)とし,Pain Self-Efficacy Questionnaire(PSEQ)とGeneralSelf-Efficacy Scale(GSES)の2項目から自己効力感が中途度以上の群(以下高SE群)と低い群(以下低SE群)の2群に分けた。評価項目は,疼痛強度をvisual analogue scale(VAS),疾患活動性をsimplified disease activity index(SDAI),機能障害をpain disability assessment scale(PDAS)とhealth assessment questionnaire(HAQ)とロコモ25,精神心理状態をpain catastrophizing scale(PCS:反芻,拡大視,無力感)とhospital anxiety and depressionscale(HADS:抑うつ,不安)とtampa scale for kinesiophobia(TSK)と自己効力感をPSEQとGSES,その他の項目としてeuroqol 5 dimension(EQ-5D)とし,各項目を比較検討するとともに各項目間の関係について調べた。統計学的解析は,群間比較にMann-WhitneyのU検定,各項目間の相関関係検討にSpearmanの順位相関係数を用い,有意水準を5%未満とした。【結果】SDAIは高SE群が低値を示したが,VAS,HAQに差はなかった。PDAS,ロコモ25は高SE群が有意に低値を示した。精神心理状態は反芻,拡大視,不安,TSKに差はなかったが,無力感,HADS,抑うつは高SE群が有意に低値を示した。各項目の相関関係については,PSEQはSDAIと高い負の相関を示し,PDASとロコモ25,GSESとは中等度の負の相関を示した。GSESは,PDASとロコモ25,反芻,無力感,拡大視,抑うつと中等度の負の相関を示した。PSEQ,GSESともにVASとは相関を示さなかった。

【考察】RA患者の自己効力感は,疾患活動性や主症状である疼痛よりも生活活動全般における機能障害に影響されている可能性が示唆された。