[P-MT-08-5] 橈骨遠位端骨折術後患者に対する腱振動振動による運動錯覚がADL(Activities of Daily Living)に与える効果
Keywords:腱振動振動, 運動錯覚, ADL
【はじめに,目的】理学療法の遂行において,術後患者の疼痛管理は重要である。この疼痛管理は,患者の日常生活動作(Activities of Daily Living;以下ADL)の向上を図るために必要とされる。我々は,橈骨遠位端骨折術後翌日より,腱振動刺激による運動錯覚を惹起させることが痛み強度や負の情動を改善させることを明らかにした(Imai, et al., Clin Rehabil 2016)。しかしながら,腱振動刺激による運動錯覚がADLの向上をもたらしたかどうかは不明である。そこで本研究は,腱振動刺激による運動錯覚が橈骨遠位端骨折術後患者の痛みとADLに与える影響を検証した。
【方法】対象者は橈骨遠位端骨折後に当院で手術を施行した22名であり,手術予定順に交互に運動錯覚群11名とコントロール群11名に振り分けた。振動刺激はコードレスハンドマッサージャー(YCM-20,70Hz)を用いた。運動錯覚はImaiらの手法(2016)を用いた。閉眼・安静座位姿勢で両手掌を合わせ,非罹患肢の手関節総指伸筋腱に振動刺激し,罹患側の手関節背屈の運動錯覚を30秒×3セット起こさせた。対象者に運動錯覚を経験した際の錯覚角度を非罹患側の手関節背屈運動で再現させ,その角度を画像解析ソフトimage jで分析した。また,安静時および運動時痛(Visual Analogue Scale:VAS)の評価に加えて,Pain Catastrophizing Scale(PCS)日本語版とPatient-Related Wrist Evaluation(PRWE)を用いて痛み情動とADLを評価した。評価は介入前,術後7日,1ヵ月,2ヵ月に行った。統計学的解析は各評価項目で二元配置分散分析を行った。下位検定はTukey法を用い多重比較検定を行った。有意水準は5%とした。なお,統計学的検討はSPSS v17.0を使用して行った。
【結果】運動錯覚群の全対象者に運動錯覚が有意に生じた(p<0.05)。二元配置分散分析では,安静時痛,PSC(反芻),PRWEに交互作用と主効果を認めた(p<0.05)。多重比較検定の結果,
【結論】腱振動刺激による運動錯覚は,術後痛への鎮痛効果だけではなくADLへの改善効果も認めた。さらに,2ヵ月後までも有意な改善効果を示した。術後痛から痛みが慢性化するにつれて,罹患肢の不使用の学習が生じる(Punt, 2010)。本臨床研究では,術後早期から運動錯覚を用いた介入によって痛みや負の情動を改善させることが,ADLの改善をもたら可能性があることを示した。
【方法】対象者は橈骨遠位端骨折後に当院で手術を施行した22名であり,手術予定順に交互に運動錯覚群11名とコントロール群11名に振り分けた。振動刺激はコードレスハンドマッサージャー(YCM-20,70Hz)を用いた。運動錯覚はImaiらの手法(2016)を用いた。閉眼・安静座位姿勢で両手掌を合わせ,非罹患肢の手関節総指伸筋腱に振動刺激し,罹患側の手関節背屈の運動錯覚を30秒×3セット起こさせた。対象者に運動錯覚を経験した際の錯覚角度を非罹患側の手関節背屈運動で再現させ,その角度を画像解析ソフトimage jで分析した。また,安静時および運動時痛(Visual Analogue Scale:VAS)の評価に加えて,Pain Catastrophizing Scale(PCS)日本語版とPatient-Related Wrist Evaluation(PRWE)を用いて痛み情動とADLを評価した。評価は介入前,術後7日,1ヵ月,2ヵ月に行った。統計学的解析は各評価項目で二元配置分散分析を行った。下位検定はTukey法を用い多重比較検定を行った。有意水準は5%とした。なお,統計学的検討はSPSS v17.0を使用して行った。
【結果】運動錯覚群の全対象者に運動錯覚が有意に生じた(p<0.05)。二元配置分散分析では,安静時痛,PSC(反芻),PRWEに交互作用と主効果を認めた(p<0.05)。多重比較検定の結果,
【結論】腱振動刺激による運動錯覚は,術後痛への鎮痛効果だけではなくADLへの改善効果も認めた。さらに,2ヵ月後までも有意な改善効果を示した。術後痛から痛みが慢性化するにつれて,罹患肢の不使用の学習が生じる(Punt, 2010)。本臨床研究では,術後早期から運動錯覚を用いた介入によって痛みや負の情動を改善させることが,ADLの改善をもたら可能性があることを示した。