The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本運動器理学療法学会 » ポスター発表

[P-MT-11] ポスター(運動器)P11

Fri. May 12, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本運動器理学療法学会

[P-MT-11-3] 若年者におけるロコモ度テストの該当率とその要因についての検討
アンケート調査及び運動機能検査の分析

山本 陽平1, 阿部 彰浩2, 康 徳龍3,4, 小林 量作2 (1.総合リハビリテーションセンターみどり病院, 2.新潟医療福祉大学, 3.千葉・柏リハビリテーション学院, 4.新潟医療福大学院)

Keywords:若年者, ロコモティブシンドローム, ロコモ25

【はじめに,目的】

ロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)は,「運動器の障害によって日常生活に制限をきたし,介護・介助が必要な状態になる,もしくは,そのリスクが高い状態」をいう。ロコモの判定には,質問紙によるロコモ25,立ち上がりテスト,2ステップテストから成るロコモ度テストを用いる。ロコモ25による40歳以上のロコモ度2(ロコモ25が16点以上)該当率は10%,推定約650万人(Kimura.2014)とされる。また,ロコモ予備群も含めると4700万人と推定される(Yoshimura.2009)。一方,子どもにおいてもロコモは指摘されており(柴田。2014),ロコモが高齢者だけの問題ではないことが推察される。本研究の目的は,若年者のロコモ度1(ロコモ25が7~15点),ロコモ度2の該当率を明らかにして,ロコモ度1・2に関連する要因を明らかにすることである。


【方法】

大学生540名を対象に個人属性,ロコモ25,運動習慣,6ヵ月以上継続している慢性疼痛の有無と疼痛部位などをGoogleフォームによるアンケートを実施した。回答したロコモ度1・2該当者の内,同意の得られた17名,対照群32名に運動機能検査を行った。測定項目は立ち上がりテスト,2ステップテストおよび握力,膝関節伸展筋力,背筋力,閉眼片足起立時間,Timed Up & Go Testとした。統計解析はχ2検定および正規性の検定を用いた後,スチューデントのt検定およびマン・ホイットニ検定を行った。有意水準は5%未満とした。


【結果】

1.アンケートの回答者は540名中318名(58.9%)であった。ロコモ非該当者は318名中279名(87.7%),ロコモ度1該当者は38名(11.9%),ロコモ度2該当者は1名(0.3%)であった。

2.全対象者のロコモ25は平均2.8±3.1点,男性2.6±3.1点,女性3.0±3.0点となり,女性が男性よりも有意に高値だった(p<0.05)。ロコモ度1・2該当者は男性21名(11.8%),女性18名(12.9%)で有意差を認めなかった。

3.慢性疼痛有訴者は318名中72名(22.6%),非有訴者は246名(77.4%)であった。これらの内,ロコモ度1・2該当者は,有訴者で22名(30.6%),非有訴者で17名(6.9%)を占め,有意差を認めた(p<0.001)。ロコモ25は,有訴者4.3±3.5点,非有訴者2.3±2.7点となり,有訴者が非有訴者よりも有意に高値だった(p<0.001)。

4.運動機能検査項目のロコモ度1該当者と非該当者の比較は男女別に行った。男女ともにロコモ度1該当者と非該当者の運動機能検査結果に有意差は認めなかった。なお,「2ステップテスト」,「立ち上がりテスト」においてロコモ度1・2該当者はいなかった。


【結論】

本研究では,若年者におけるロコモ25のロコモ度1該当率は11.9%,ロコモ度2該当率は0.3%であった。また,慢性疼痛有訴者でロコモ25の得点と該当率が有意に高値を示した。若年者においても低率であるがロコモ度1に該当する者がおり,慢性疼痛の有無がロコモ25に関連していることが示唆された。