[P-MT-14-1] 変形性膝関節症患者の遊脚期膝屈曲角度に関連する因子の検討
Keywords:角速度, 遊脚期, 膝屈曲角度
【はじめに,目的】
健常高齢者と比較すると変形性膝関節症患者は歩行時の遊脚期における膝屈曲角度が減少すると報告されている。遊脚期膝屈曲角度の減少はクリアランスが低下し躓きやすく,転倒の危険性が増加するため非常に重要な問題である。また,遊脚期膝屈曲角度の減少は関節可動域制限,疼痛,変形などの要因で起こりうると考えられるが,臨床ではそれらの要因がなくても,歩行時の遊脚期で膝屈曲角度が減少する患者を経験する事がある。そこで今回,変形性膝関節症患者の遊脚期膝屈曲角度に関連する因子を検討することを目的とした。
【方法】
対象は当院で変形性膝関節症と診断しリハビリテーションを実施している17名(男性3名 女性14名 平均年齢73.4±5.1歳)とし,歩行条件を統一するため独歩可能な患者のみとした。また,両側変形性膝関節症と診断されている患者は,現在リハビリテーション対象側を患側とし計測した。
歩行時の膝屈曲角度はマイオモーションⓇ(Noraxon社)を使用し5m快適歩行時の遊脚期膝屈曲角度を測定し最大値を代表値とした。また歩行時のVASも計測した。膝関節可動域はゴニオメーターを使用し屈曲,伸展を測定した。膝伸展角速度は座位で膝伸展運動をできるだけ速くさせた際の角速度をジャイロセンサー(MicroStone社 MVP-RF-HC)を使用して5回計測し,最速値を代表値とした。下肢筋力は膝関節伸展筋力をHand Held Dynamometer(ANIMA社 μTas F-1)を使用し2回の計測における最大値を代表値とした。基本情報として年齢,身長,体重,BMI,FTAをカルテから抽出した。統計処理は遊脚期膝屈曲角度と測定項目,基本情報をPearsonの相関係数を用いて検討し有意水準は5%未満とした。
【結果】
遊脚期膝屈曲角度の平均は49.7±18.0°であった。遊脚期膝屈曲角度との相関係数は膝伸展角速度(r=0.73,p<0.01)で有意な相関を認めた。一方膝伸展筋力,屈曲可動域,伸展可動域,VAS,基本情報とは有意な相関は認められなかった。
【結論】
健常者の遊脚期膝屈曲角度は60°程度とされているのに対し,本研究では平均49.7°であっため,先行研究と同様に,変形性膝関節症患者の遊脚期膝屈曲角度が減少しているという結果が得られた。この遊脚期膝屈曲角度は膝伸展角速度とのみ有意な相関が認められた。遊脚期膝屈曲角度は,歩行中の下肢の角速度や加速度と関連することから,遊脚期に速い角速度で下肢を動かすことができれば,遊脚期膝屈曲角度が大きくなると考えられ,この両者に関連が認められたことが推察される。本研究の結果から,変形性膝関節症患者の遊脚期膝屈曲角度にとって,下肢をできるだけ速く動かす能力に着目することの重要性が示された。
健常高齢者と比較すると変形性膝関節症患者は歩行時の遊脚期における膝屈曲角度が減少すると報告されている。遊脚期膝屈曲角度の減少はクリアランスが低下し躓きやすく,転倒の危険性が増加するため非常に重要な問題である。また,遊脚期膝屈曲角度の減少は関節可動域制限,疼痛,変形などの要因で起こりうると考えられるが,臨床ではそれらの要因がなくても,歩行時の遊脚期で膝屈曲角度が減少する患者を経験する事がある。そこで今回,変形性膝関節症患者の遊脚期膝屈曲角度に関連する因子を検討することを目的とした。
【方法】
対象は当院で変形性膝関節症と診断しリハビリテーションを実施している17名(男性3名 女性14名 平均年齢73.4±5.1歳)とし,歩行条件を統一するため独歩可能な患者のみとした。また,両側変形性膝関節症と診断されている患者は,現在リハビリテーション対象側を患側とし計測した。
歩行時の膝屈曲角度はマイオモーションⓇ(Noraxon社)を使用し5m快適歩行時の遊脚期膝屈曲角度を測定し最大値を代表値とした。また歩行時のVASも計測した。膝関節可動域はゴニオメーターを使用し屈曲,伸展を測定した。膝伸展角速度は座位で膝伸展運動をできるだけ速くさせた際の角速度をジャイロセンサー(MicroStone社 MVP-RF-HC)を使用して5回計測し,最速値を代表値とした。下肢筋力は膝関節伸展筋力をHand Held Dynamometer(ANIMA社 μTas F-1)を使用し2回の計測における最大値を代表値とした。基本情報として年齢,身長,体重,BMI,FTAをカルテから抽出した。統計処理は遊脚期膝屈曲角度と測定項目,基本情報をPearsonの相関係数を用いて検討し有意水準は5%未満とした。
【結果】
遊脚期膝屈曲角度の平均は49.7±18.0°であった。遊脚期膝屈曲角度との相関係数は膝伸展角速度(r=0.73,p<0.01)で有意な相関を認めた。一方膝伸展筋力,屈曲可動域,伸展可動域,VAS,基本情報とは有意な相関は認められなかった。
【結論】
健常者の遊脚期膝屈曲角度は60°程度とされているのに対し,本研究では平均49.7°であっため,先行研究と同様に,変形性膝関節症患者の遊脚期膝屈曲角度が減少しているという結果が得られた。この遊脚期膝屈曲角度は膝伸展角速度とのみ有意な相関が認められた。遊脚期膝屈曲角度は,歩行中の下肢の角速度や加速度と関連することから,遊脚期に速い角速度で下肢を動かすことができれば,遊脚期膝屈曲角度が大きくなると考えられ,この両者に関連が認められたことが推察される。本研究の結果から,変形性膝関節症患者の遊脚期膝屈曲角度にとって,下肢をできるだけ速く動かす能力に着目することの重要性が示された。