The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本運動器理学療法学会 » ポスター発表

[P-MT-19] ポスター(運動器)P19

Fri. May 12, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本運動器理学療法学会

[P-MT-19-1] 運動器不安定症を呈した精神障がい者に対する理学療法の有効性
個別療法と集団療法の効果と課題

関川 拓自, 上村 沙希, 蟇目 瀨里, 田川 暁人, 小岩 大次郎 (社会福祉法人黎明会南台病院)

Keywords:精神障がい, 運動器不安定症, 理学療法

【はじめに】

精神障がい者においても高齢化が進んでおり,精神疾患を呈した当院の同法人内施設入所者も同様に,加齢や活動性低下により,歩行や移動に支障をきたしている者が多くみられる。そこで今回,理学療法を実施した精神障がい者とDVD体操を実施した精神障がい者,それぞれの結果を比較し,効果と課題を検討していく。


【方法】

対象は同法人内の施設に入所しており,平成24年1月1日から平成28年8月31日の期間(実施期間は平均91.9日間)において運動器不安定症を呈し,当院にて週2日から3日間,40分間の理学療法を実施した精神障がい者(以下,A群)と,平成28年6月1日から平成28年8月31日の期間において運動器不安定症の範囲に入り,週2日40分間のDVD体操を実施した精神障がい者(以下,B群)とした。A群は40代から70代の平均年齢64.6歳であり,男性2名,女性8名の計10名であった。精神疾患は統合失調症9名,薬物性精神病1名であった。B群は40代から80代の平均年齢65.5歳であり,男性6名,女性4名の計10名であった。精神疾患は統合失調症9名,精神発達遅滞1名であった。両群の運動機能の評価としては10m歩行,Timed Up and Go test(以下,TUG),左右片脚起立を実施し,A群の測定は理学療法開始時と終了時に実施し,B群はDVD体操開始時と終了時に実施した。検定は対応のあるt検定を用いて行った。また,B群ではDVD体操前と終了後にアンケートを実施し,体操に対して期待することと体操終了後に変化したことを記入してもらった。


【結果】

A群の10m歩行時間(19.437秒→14.473秒),TUG(17.389秒→14.985秒)は有意(p<0.05)に短縮し,左右片脚起立時間(左:5.851秒→8.288秒,右:3.766秒→8.039秒)は有意に延長した(p<0.05)。一方,B群は10m歩行時間(12.773秒→11.164秒),TUG(15.56秒→12.918秒),左右片脚立位時間(左:4.012秒→8.676秒,右:7.372秒→9.061秒)であり,有意差はみられなかった。一方,実施前アンケートでは「歩きやすくなりたい」が3名,「階段昇降を楽にしたい」「移動を楽にしたい」「腰や膝の痛みを減らしたい」「外出の機会を増やしたい」「生活を楽しみたい」「特になし」が各2名であった。また,終了後アンケートでは「膝や腰の痛みが減った」が4名,「特になし」が3名,「歩きやすくなった」「生活していて楽しくなった」が各2名,「階段昇降が楽になった」が1名であった。


【結論】

A群では評価結果から全ての項目で有意に改善が認められ,精神障がい者に対しても理学療法は効果があることが示唆されたが,B群では数値上では若干の改善が認められたものの有意差はみられなかった。しかしアンケート上ではADLやQOLに改善みられ,今後も継続してくことが重要であると考えられる。また,両群ともに依然として運動器不安定症の範囲内であることから,今後理学療法内容の検討とDVD体操の長期間実施の追跡調査を行う必要がある。