The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本運動器理学療法学会 » ポスター発表

[P-MT-19] ポスター(運動器)P19

Fri. May 12, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本運動器理学療法学会

[P-MT-19-2] 女性末期変形性股関節症患者の自己効力感に関する調査
―歩行に対する自信の程度と影響する因子―

都留 貴志, 菊田 瑞樹, 松本 浩希 (地方独立行政法人市立吹田市民病院リハビリテーション科)

Keywords:変形性股関節症, 歩行, 自己効力感

【はじめに,目的】

歩行能力が高くても歩行に対する自信が低ければ,日常生活における身体活動量(以下,PA)は低いことが推察される。Hammerらは,変形性股関節症(以下,股OA)患者において,自己効力感がPAに影響することを示唆している。股OA患者におけるPAは,同年代の健常者より低いことが既に報告されているが,本邦における股OA患者の歩行に対する自信の程度や影響因子について調査したものは,我々が渉猟する限りない。

本研究の目的は,女性末期股OA患者の歩行に対する自己効力感(以下,歩行SE)の程度と影響する因子を明らかにすることである。

【方法】

本研究は,2015年6月~2016年10月までに当院整形外科から初回手術目的に術前リハビリテーションの依頼にて,当科を受診した女性末期股OA患者109例109股(平均年齢68.0±9.3歳)を対象とした横断的研究である。4例が調査項目の不備,25例が対側も含め既に人工股・膝関節全置換術のいずれかを行っており,19例が対側も含め下肢・脊柱に骨関節疾患ならびに神経疾患を有していたため対象より除外した。よって,61例61股(平均年齢67.1±9.8歳)を本研究の解析対象とした。調査項目は,年齢,BMI,JHEQ下位項目(疼痛・動作・メンタル),10m歩行速度(至適・最大),日本語版-改訂Gait Efficacy Scale(以下,mGES)とし,動作に関連する因子の股関節可動域(屈曲・外転・外旋及びその総和),股関節外転筋力(Nm/kg)も合わせて調査した。そして,mGESを従属変数,各調査項目を独立変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を行い,歩行SEに影響する因子について検討した。ソフトウェアはStatViewJ 5.0(SAS)を使用し,統計学的有意水準は5%とした。

【結果】

本研究の対象者におけるmGESは45.8±19.7点であり,重回帰分析の結果,歩行SEに影響する因子として,JHEQ下位項目の動作(β=0.338)とメンタル(β=0.337)が抽出された(R2=0.23,p<0.01)。

【結論】

本研究の結果から股OA患者の歩行SEは,地域在住高齢者(平均年齢73.5±5.7歳)を対象とした先行研究の80.2±20.7点よりも低いことが明らかとなった。また,股OA患者の歩行SEには動作面や精神面の低下が影響している可能性が示唆された。動作面の低下は,家庭内外での活動が制限されている事を反映しており,精神面の低下は生活に対する不安や気分による外出制限が示唆され,外出頻度の低下や生活空間の狭小化が自己効力感の低下に繋がったのではないかと考える。