[P-MT-20-2] 腰痛の分類における初回暫定分類の見直しの必要性の調査
Keywords:Directional Preference, 腰痛, 分類
【はじめに,目的】
近年,腰痛を診断名ではなく運動の反応や対象者特性などで分類化した介入方法が多く見られる。その腰痛分類方法の一つがMechanical Diagnosis and Therapy(以下MDT)であり,腰痛のセルフマネージメントに重きを置いた分類体系である。MDTでは主観的評価と客観的評価に基づいて運動方向を決定するDirectional Preference(以下DP)の発見が重要であり,セルフマネージメントには必要不可欠な指標が存在する。DPの判断において,臨床上初回で発見できる群(以下DP群)と発見できない群(以下No-DP群)が存在する。しかし,No-DP群において複数回評価を継続するとDPが明確になる場合が存在するとされているが,実際どの程度DP群となるかの報告は見られない。そのため,初回評価でNo-DP群と判定された対象者はどの程度DP群に変化するかを調査すること及び最終的なDPの有無及びその対象者特性を調査した。
【方法】
非特異的腰痛を呈する腰痛患者68名のうち,初回評価でNo-DPと判断された26名を対象とした。初回評価はCred.MDTを持つDr.またはPTがMDT評価を実施しDPを確認した。また身体的要因および心理的要因の調査として初回評価時にOswestry Disability Index(以下ODI),Pain Self Efficacy Questionaire(以下PSEQ),Tampa scale for kinesiophobia(TSK)を使用した。最終判定として,DP群とNo-DP群の各項目を両群間で比較検討した。統計解析はEZRのMann-WhitenyのU検定およびt検定を用い有意水準は5%未満とした。
【結果】
最終判定においてDP群18名,No-DP群8名であり,69%がNo-DP群からDP群に変化した。その変化までに要した評価回数は平均3.8回であった。両群比較において,年齢はDP群57.4±11.1歳,No-DP群52.6±15.4歳,性別(男性)はDP群61.1%,No-DP群13.0%,ODIはDP群29.1±19.1%,No-DP群は25.9±6.5%,PSEQはDP群30.6±13.2点,No-DP群は31.6±7.3点,TSKはDP群42.3±4.9点,No-DP群は42.4±5.1点でありいずれも有意差は認められなかった。
【結論】
初回でNo-DPと判定されても最終判定では69%がDPを有することが今回の調査で明らかになった。これはWerneke MらのDP判定率に近いため先行研究に類似すると考えられる。またDP群に変化するまでの評価回数は平均3.8回であった。この評価回数に関しても,国際マッケンジー協会が発行しているマニュアルでは3-5回で判定することを推奨しているため妥当であると考える。最終判定でのDP群,No-DP群における初回対象者特性に有意な差が認められなかった。そのため,DPを予測する因子に関してはさらなる調査が必要になると考えられる。
近年,腰痛を診断名ではなく運動の反応や対象者特性などで分類化した介入方法が多く見られる。その腰痛分類方法の一つがMechanical Diagnosis and Therapy(以下MDT)であり,腰痛のセルフマネージメントに重きを置いた分類体系である。MDTでは主観的評価と客観的評価に基づいて運動方向を決定するDirectional Preference(以下DP)の発見が重要であり,セルフマネージメントには必要不可欠な指標が存在する。DPの判断において,臨床上初回で発見できる群(以下DP群)と発見できない群(以下No-DP群)が存在する。しかし,No-DP群において複数回評価を継続するとDPが明確になる場合が存在するとされているが,実際どの程度DP群となるかの報告は見られない。そのため,初回評価でNo-DP群と判定された対象者はどの程度DP群に変化するかを調査すること及び最終的なDPの有無及びその対象者特性を調査した。
【方法】
非特異的腰痛を呈する腰痛患者68名のうち,初回評価でNo-DPと判断された26名を対象とした。初回評価はCred.MDTを持つDr.またはPTがMDT評価を実施しDPを確認した。また身体的要因および心理的要因の調査として初回評価時にOswestry Disability Index(以下ODI),Pain Self Efficacy Questionaire(以下PSEQ),Tampa scale for kinesiophobia(TSK)を使用した。最終判定として,DP群とNo-DP群の各項目を両群間で比較検討した。統計解析はEZRのMann-WhitenyのU検定およびt検定を用い有意水準は5%未満とした。
【結果】
最終判定においてDP群18名,No-DP群8名であり,69%がNo-DP群からDP群に変化した。その変化までに要した評価回数は平均3.8回であった。両群比較において,年齢はDP群57.4±11.1歳,No-DP群52.6±15.4歳,性別(男性)はDP群61.1%,No-DP群13.0%,ODIはDP群29.1±19.1%,No-DP群は25.9±6.5%,PSEQはDP群30.6±13.2点,No-DP群は31.6±7.3点,TSKはDP群42.3±4.9点,No-DP群は42.4±5.1点でありいずれも有意差は認められなかった。
【結論】
初回でNo-DPと判定されても最終判定では69%がDPを有することが今回の調査で明らかになった。これはWerneke MらのDP判定率に近いため先行研究に類似すると考えられる。またDP群に変化するまでの評価回数は平均3.8回であった。この評価回数に関しても,国際マッケンジー協会が発行しているマニュアルでは3-5回で判定することを推奨しているため妥当であると考える。最終判定でのDP群,No-DP群における初回対象者特性に有意な差が認められなかった。そのため,DPを予測する因子に関してはさらなる調査が必要になると考えられる。