[P-MT-26-2] 大腿骨近位部骨折患者における術後早期での歩行自立を予測する因子の検討
Keywords:大腿骨近位部骨折, 術後早期, 歩行自立
【はじめに,目的】
急性期病院における在院日数の短縮が進む中,自宅退院の可否や回復期病院転院の適応など退院調整に向け,理学療法介入早期より予測することが求められている。そこで,本研究では,術後早期のデータから急性期病院退院時の歩行自立を予測する因子について検討した。
【方法】
2015年9月~2016年4月に当院に入院した患者のうち,入院前より歩行が自立しており,脳血管疾患の既往がない例,入院中に容態の悪化した例を除外した35例(男性11例,女性24例),平均年齢81.1±11.7歳とした。データの収集は,後方視的に診療記録,データベースをもとに行った。退院時に歩行が自立した歩行自立群,歩行が自立しなかった歩行非自立群の2群に分類した。歩行自立の定義は,Functional Independence Measure(以下FIM)が6点以上の場合とした。歩行自立群と非自立群の2群間で,性別,年齢,BMI,術式,リハビリ開始時認知機能(HDS-R点数),リハビリ開始時FIM運動項目(以下M-FIM)合計点,術後1日目および術後1週の血清アルブミン(以下Alb)値,術後1日目および術後1週のC反応性蛋白(以下CRP)値,術後1週の歩行能力(歩行補助具および自立度)を比較検討した。2群間の比較にはMann-Whitney U検定またはカイ二乗検定を用いた。次に歩行自立の可否を従属変数,2群間で有意差を認めた因子を独立変数としてロジスティック回帰分析を実施した。有意水準は5%とした。
【結果】
歩行自立群は13例(平均年齢72.0±11.9歳),歩行非自立群は22例(平均年齢86.5±7.7歳)であった。2群間比較では,年齢,術式,認知機能,M-FIM合計点,術後1日目Alb値,術後1週の歩行能力について有意差を認めた(P<0.05)。また,ロジスティック回帰分析の結果,退院時歩行能力に影響する因子として,術後1週の歩行能力(P=0.029,オッズ比48.0)が有意に関連した。術後1週の歩行能力について,歩行自立群ではT字杖歩行3例(23.0%),歩行器10例(76.9%),歩行非自立群では歩行器2例(9.0%),平行棒9例(40.9%),平行棒介助・不可11例(50.0%)であった。
【結論】
退院時歩行自立群全例で術後1週の歩行能力が杖または歩行器で歩行可能なレベルであった。本研究の結果より,退院時の歩行自立の可否に術後1週の歩行能力が影響することが明らかになり,術後早期において,退院時の歩行能力が予測し得る可能性が示唆された。術後早期より退院時の歩行能力を予測することで,自宅退院か回復期病院への転院などの判断の一助となり,速やかに退院調整を開始することが可能となると考える。
急性期病院における在院日数の短縮が進む中,自宅退院の可否や回復期病院転院の適応など退院調整に向け,理学療法介入早期より予測することが求められている。そこで,本研究では,術後早期のデータから急性期病院退院時の歩行自立を予測する因子について検討した。
【方法】
2015年9月~2016年4月に当院に入院した患者のうち,入院前より歩行が自立しており,脳血管疾患の既往がない例,入院中に容態の悪化した例を除外した35例(男性11例,女性24例),平均年齢81.1±11.7歳とした。データの収集は,後方視的に診療記録,データベースをもとに行った。退院時に歩行が自立した歩行自立群,歩行が自立しなかった歩行非自立群の2群に分類した。歩行自立の定義は,Functional Independence Measure(以下FIM)が6点以上の場合とした。歩行自立群と非自立群の2群間で,性別,年齢,BMI,術式,リハビリ開始時認知機能(HDS-R点数),リハビリ開始時FIM運動項目(以下M-FIM)合計点,術後1日目および術後1週の血清アルブミン(以下Alb)値,術後1日目および術後1週のC反応性蛋白(以下CRP)値,術後1週の歩行能力(歩行補助具および自立度)を比較検討した。2群間の比較にはMann-Whitney U検定またはカイ二乗検定を用いた。次に歩行自立の可否を従属変数,2群間で有意差を認めた因子を独立変数としてロジスティック回帰分析を実施した。有意水準は5%とした。
【結果】
歩行自立群は13例(平均年齢72.0±11.9歳),歩行非自立群は22例(平均年齢86.5±7.7歳)であった。2群間比較では,年齢,術式,認知機能,M-FIM合計点,術後1日目Alb値,術後1週の歩行能力について有意差を認めた(P<0.05)。また,ロジスティック回帰分析の結果,退院時歩行能力に影響する因子として,術後1週の歩行能力(P=0.029,オッズ比48.0)が有意に関連した。術後1週の歩行能力について,歩行自立群ではT字杖歩行3例(23.0%),歩行器10例(76.9%),歩行非自立群では歩行器2例(9.0%),平行棒9例(40.9%),平行棒介助・不可11例(50.0%)であった。
【結論】
退院時歩行自立群全例で術後1週の歩行能力が杖または歩行器で歩行可能なレベルであった。本研究の結果より,退院時の歩行自立の可否に術後1週の歩行能力が影響することが明らかになり,術後早期において,退院時の歩行能力が予測し得る可能性が示唆された。術後早期より退院時の歩行能力を予測することで,自宅退院か回復期病院への転院などの判断の一助となり,速やかに退院調整を開始することが可能となると考える。