[P-MT-27-3] 変形性膝関節症に対する間葉系幹細胞治療におけるリハビリテーション
システマティックレビュー
Keywords:変形性膝関節症, 間葉系幹細胞, リハビリテーション
【はじめに,目的】近年,変形性膝関節症(Knee Osteoarthritis:膝OA)に対する間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell:MSC)を中心とした多能性幹細胞を用いた臨床試験結果が世界各国から報告され始めている。再生医療の急速な発展に伴い,関連するリハビリテーションの重要性は認識されつつあるが,現段階では,再生医療における適切なリハビリテーションを展開するための基礎的知見に欠けており,その理論構築へ向けた体系的な取り組みはこれまで成されてこなかった。そこで,本研究では,ヒト膝OA患者に対するMSC治療の効果を報告した論文を系統的かつ網羅的に収集し,MSC治療におけるリハビリテーションプログラムについて検討することで,今後,我々理学療法士が取り組むべき方向性についての指針を得ることを目的とした。
【方法】研究デザインはシステマティックレビューとした。本レビューはPRISMA声明に準じて実施された。英語で記載された,無作為化比較試験,比較臨床試験,クロスオーバー試験,前後比較試験,コホート研究,症例報告を対象として,2016年9月19日までの系統的検索を行った。データベースには,PubMed,PEDro,CINAHL,Cochrane libraryを使用した。これらの論文検索は,独立した2名の評価者によって行われた。
【結果】データベース検索から計672編が抽出され,本研究の適格基準に合致する29編を最終的に採用した。MSC治療の方法としてはMSC関節内注射が17編(58.6%)と最も多かったが,他にも関節鏡下でのMSC移植,高位脛骨骨切り術+MSC移植等の方法で実施されていた。リハビリテーションプログラムについては,術後荷重プロトコールの記載は13編(44.8%),関節可動域運動の記載は9編(31.0%)で報告されていたが,筋力増強運動,物理療法の使用,術前リハビリテーションの有無等についての記載については皆無であった。
【結論】ヒト膝OA患者に対するMSC治療において,リハビリテーションプログラムに関する詳細な報告は存在しなかった。近年,物理刺激によるMSCの軟骨細胞への分化促進や細胞外基質産生増大等の効果が報告されているが,ヒト膝OAの臨床試験に反映されておらず,基礎研究で得られた知見と臨床試験の間には乖離が存在することが明らかとなった。今後,我々理学療法士は,基礎研究で既に明らかになっている知見を臨床研究へ橋渡しすることでMSCの治療効果を最大限に高め,膝OA疾患修飾型治療の実現に向けて取り組む必要性がある。
【方法】研究デザインはシステマティックレビューとした。本レビューはPRISMA声明に準じて実施された。英語で記載された,無作為化比較試験,比較臨床試験,クロスオーバー試験,前後比較試験,コホート研究,症例報告を対象として,2016年9月19日までの系統的検索を行った。データベースには,PubMed,PEDro,CINAHL,Cochrane libraryを使用した。これらの論文検索は,独立した2名の評価者によって行われた。
【結果】データベース検索から計672編が抽出され,本研究の適格基準に合致する29編を最終的に採用した。MSC治療の方法としてはMSC関節内注射が17編(58.6%)と最も多かったが,他にも関節鏡下でのMSC移植,高位脛骨骨切り術+MSC移植等の方法で実施されていた。リハビリテーションプログラムについては,術後荷重プロトコールの記載は13編(44.8%),関節可動域運動の記載は9編(31.0%)で報告されていたが,筋力増強運動,物理療法の使用,術前リハビリテーションの有無等についての記載については皆無であった。
【結論】ヒト膝OA患者に対するMSC治療において,リハビリテーションプログラムに関する詳細な報告は存在しなかった。近年,物理刺激によるMSCの軟骨細胞への分化促進や細胞外基質産生増大等の効果が報告されているが,ヒト膝OAの臨床試験に反映されておらず,基礎研究で得られた知見と臨床試験の間には乖離が存在することが明らかとなった。今後,我々理学療法士は,基礎研究で既に明らかになっている知見を臨床研究へ橋渡しすることでMSCの治療効果を最大限に高め,膝OA疾患修飾型治療の実現に向けて取り組む必要性がある。