第52回日本理学療法学術大会

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日本運動器理学療法学会 » ポスター発表

[P-MT-28] ポスター(運動器)P28

2017年5月13日(土) 12:50 〜 13:50 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本運動器理学療法学会

[P-MT-28-2] 大腿骨頭壊死症に対する細胞治療後のリハビリテーションに関するナラティブレビュー

青山 朋樹 (京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻)

キーワード:大腿骨頭壊死, 細胞治療, リハビリテーション

【はじめに,目的】細胞移植,組織移植などの再生医療が臨床応用される際に,移植治療後に的確なリハビリテーションプログラムに基づいてリハビリテーションが行われる事は極めて重要である。大腿骨頭壊死症に対する細胞治療は1990年代から臨床研究がはじまり,再生医療の中でも,最も臨床応用が進んでいる治療方法の一つである。そこで本研究は大腿骨頭壊死症に対する細胞治療におけるリハビリテーションプログラムを検証することを目的に論文査読を行った。


【方法】PubMedデータベースを用いて<osteonecrosis femoral head>,<cell therapy>をキーワードに,1995年1月1日~2015年12月31日に発表された英語論文を対象にした。包含基準をヒトの大腿骨頭壊死症に対する細胞治療に関する臨床研究,細胞治療,患者対象年齢が18歳以上,リハビリテーションプログラムについての記載があるものとして抽出を行い,査読対象とした。査読は一名の査読者により実施した。


【結果】データベース検索の結果,121編の論文が抽出され,これらのうち包含基準を満たしていない104編を除外し,17編について査読を行った。用いている細胞は骨髄単核球が14編,間葉系幹細胞が3編であった。移植時に併用している手術術式は骨頭減圧術が15編,壊死部掻爬術が2編であった。リハビリテーションプログラムについては,荷重時期,筋力強化エクササイズ,可動域エクササイズ,スポーツ復帰,職業復帰の観点から査読を行い,まとめを行った。この結果,荷重開始時期に関してはすべての論文に記載されていたが,筋力強化エクササイズについては4編,可動域エクササイズについては3編,スポーツ復帰,職業復帰については4編しか記載されていなかった。またそれらの開始時期や強度についての詳細な記載は少なく,その根拠について記されているものもなかった。


【結論】本研究の結果から,世界的にも大腿骨頭壊死症に対する細胞治療におけるリハビリテーションについて十分検証されていないことが明らかになった。基礎研究領域においては再生治療実施時のリハビリテーションについての研究報告が散見されるが,探索研究,臨床研究においてはまだ不十分であり,今後の検証が必要であることが示唆された。