[P-MT-29-5] 運動器疾患患者における身体活動量と身体機能の関連要因の検討
Keywords:運動器疾患, 身体活動量, 身体機能
【はじめに,目的】
高齢の運動器疾患患者は身体機能の低下や疼痛により,身体活動量(Physical Activity:PA)が低下しやすい。PAが低下する疾患としては脊椎疾患や下肢の変形性関節症(OA)罹患患者が多い。PAの低下は,加齢に伴う体力の低下を助長し,筋力や骨量が低下すると言われている。また下肢筋力が低いと転倒しやすく,転倒恐怖感によって,さらに活動が制限されると身体機能の低下につながるとの報告がみられる。先行研究では健常高齢者におけるものや質問紙票を用いた評価,海外における研究があるが,疾患による影響や信頼性の問題,生活習慣の違いなどが先行研究の限界として挙げられる。運動器疾患患者のPAは健常高齢者に比べると低いとの報告もあり,現状を把握し要因が分かれば,障害の予防・改善に役立つと思われる。本研究では,地域高齢者の運動器疾患患者のPAの現状を明らかにし,PAに関わる要因を明らかにすることとする。
【方法】
平成27年10月~平成28年10月までの間,整形外科医院に通院した脊椎・下肢変形性関節症のうち,本研究に同意のあった34名(年齢:76.7±7.8歳)。疾患の内訳は脊椎疾患(18名),股関節・膝関節OA(16名)患者であり,対象者に1週間活動量計(テルモ製メディウォーク)を携帯してもらい,配布・回収日を除く6日間の平均活動量(歩数/日)を算出した。また,疾患別にPAの割合を調べた。PAの群分けは先行研究に基づき3群(低活動群:<5000,中等度活動群:5000-7499,高活動群:≧7500歩/日)とした。PAに関わる要因として,簡便かつ患者への負担を最小限にバランス・歩行速度・下肢筋力の身体機能を評価するため,Short Physical Performance Battery(SPPB)の測定を行った。その他にも年齢,BMI,および疼痛の評価にVisual Analog Scale(VAS)を計測した。統計処理はR2.8.1を使用し,危険率は5%未満とした。
【結果】
PAは脊椎疾患群が4279歩/日,OA群が4223歩/日で,両群間で有意な差は認められなかった。PA別の割合は,低活動群の脊椎疾患群が12名(35%),OA群が11名(32%),中等度活動群の脊椎疾患群が4名(11%),OA群が4名(11%),高活動群の脊椎疾患群が2名(5%),OA群1名(2%)であり,両群間で有意な差は認められなかった。脊椎疾患群とOA群の2群間の比較では各項目(年齢,BMI,SPPB,VAS)で群間差は認められなかった。脊椎疾患のPAとBMI(r=0.46),年齢(r=-0.50),4m歩行時間(r=-0.42)の間で相関がみられた。OA群のPAと各項目の間には相関はみられなかった。
【結論】
運動器疾患患者のPAは,厚生労働省の健康日本21で示されているPAの基準値である4604歩よりも下回り,全体の67%に当たる23名が低活動群(3036歩/日)に該当する結果となった。関連する要因としては,脊椎疾患群では年齢,BMI,4m歩行時間が関連し,加齢に伴う身体機能の低下によるものと考えられる。OA群はどの項目にも関連はなかった。OAの重症度など別の要因が関連することも考えられる。
高齢の運動器疾患患者は身体機能の低下や疼痛により,身体活動量(Physical Activity:PA)が低下しやすい。PAが低下する疾患としては脊椎疾患や下肢の変形性関節症(OA)罹患患者が多い。PAの低下は,加齢に伴う体力の低下を助長し,筋力や骨量が低下すると言われている。また下肢筋力が低いと転倒しやすく,転倒恐怖感によって,さらに活動が制限されると身体機能の低下につながるとの報告がみられる。先行研究では健常高齢者におけるものや質問紙票を用いた評価,海外における研究があるが,疾患による影響や信頼性の問題,生活習慣の違いなどが先行研究の限界として挙げられる。運動器疾患患者のPAは健常高齢者に比べると低いとの報告もあり,現状を把握し要因が分かれば,障害の予防・改善に役立つと思われる。本研究では,地域高齢者の運動器疾患患者のPAの現状を明らかにし,PAに関わる要因を明らかにすることとする。
【方法】
平成27年10月~平成28年10月までの間,整形外科医院に通院した脊椎・下肢変形性関節症のうち,本研究に同意のあった34名(年齢:76.7±7.8歳)。疾患の内訳は脊椎疾患(18名),股関節・膝関節OA(16名)患者であり,対象者に1週間活動量計(テルモ製メディウォーク)を携帯してもらい,配布・回収日を除く6日間の平均活動量(歩数/日)を算出した。また,疾患別にPAの割合を調べた。PAの群分けは先行研究に基づき3群(低活動群:<5000,中等度活動群:5000-7499,高活動群:≧7500歩/日)とした。PAに関わる要因として,簡便かつ患者への負担を最小限にバランス・歩行速度・下肢筋力の身体機能を評価するため,Short Physical Performance Battery(SPPB)の測定を行った。その他にも年齢,BMI,および疼痛の評価にVisual Analog Scale(VAS)を計測した。統計処理はR2.8.1を使用し,危険率は5%未満とした。
【結果】
PAは脊椎疾患群が4279歩/日,OA群が4223歩/日で,両群間で有意な差は認められなかった。PA別の割合は,低活動群の脊椎疾患群が12名(35%),OA群が11名(32%),中等度活動群の脊椎疾患群が4名(11%),OA群が4名(11%),高活動群の脊椎疾患群が2名(5%),OA群1名(2%)であり,両群間で有意な差は認められなかった。脊椎疾患群とOA群の2群間の比較では各項目(年齢,BMI,SPPB,VAS)で群間差は認められなかった。脊椎疾患のPAとBMI(r=0.46),年齢(r=-0.50),4m歩行時間(r=-0.42)の間で相関がみられた。OA群のPAと各項目の間には相関はみられなかった。
【結論】
運動器疾患患者のPAは,厚生労働省の健康日本21で示されているPAの基準値である4604歩よりも下回り,全体の67%に当たる23名が低活動群(3036歩/日)に該当する結果となった。関連する要因としては,脊椎疾患群では年齢,BMI,4m歩行時間が関連し,加齢に伴う身体機能の低下によるものと考えられる。OA群はどの項目にも関連はなかった。OAの重症度など別の要因が関連することも考えられる。