[P-MT-31-2] 異なる姿勢における腰部多裂筋・脊柱起立筋の筋厚変化
超音波画像診断装置を使用して
Keywords:多裂筋, 脊柱起立筋, 姿勢
【はじめに,目的】
腰部多裂筋は5つの筋束から構成され,それぞれの筋束が別々の神経支配を受けることから,腰椎の微細なコントロールを可能にし,姿勢保持に関わるという報告がある。しかしながら,腰部多裂筋を研究した報告は第4~5腰椎棘突起周囲の多裂筋の筋活動を見たものが多く,その他の腰椎レベルの腰部多裂筋の筋活動を比較・検討したものは少ない。また,体幹深層筋である腰部多裂筋は脊柱起立筋と共に胸腰筋膜で1つのコンパートメントを形成している。これは腰部多裂筋と脊柱起立筋が共同して働いていることを示唆している。このことから,腰部多裂筋と脊柱起立筋の関係性をはかる必要があるといえる。
よって,本研究では異なる姿勢における,第2・第5腰椎レベルの腰部多裂筋(以下,LM(L2),LM(L5)),脊柱起立筋(以下,ES)の筋厚について超音波画像診断装置を用いて検証することを目的とした。
【方法】
対象は,若年健常男性25名とした。年齢:22.1±1.6歳,身長:170.4±5.8cm,体重:60.4±8.8kg,BMI:20.8±2.6kg/m2(平均±標準偏差)であった。各筋厚の測定は超音波診断装置(sonosite180plus:sonosite社製)を用いた。測定部位は,右側のLM(L2),LM(L5),ESとした。測定肢位は,腹臥位・座位・立位で腰椎前後弯中間位にて測定した。測定は安静呼気時を2回測定した。得られた画像を画像解析ソフトImage Jを用いて各筋厚を算出した。2回測定した各筋厚の平均を代表値とした。
各筋厚の1回目と2回目で算出された値で級内相関係数(以下,ICC)を求め,再現性について検討した。各筋厚の各肢位での変化をみるために,反復測定一元配置分散分析を行い,その後Bonfferoniの多重比較検定を行った。統計解析にはSPSS statistic 19.0を使用し,有意水準は5%とした。
【結果】
ICCは,すべての項目において,0.95以上の数値を示した。
LM(L2)の筋厚は腹臥位で27.3±4.6mm,座位で30.4±4.0mm,立位で33.3±4.6mmとなった。同様の順でLM(L5)では30.8±4.0mm,30.1±4.5mm,34.2±4.3mm,ESでは35.8±6.1mm,40.4±6.9mm,42.1±6.6mmとなった。
LM(L2),LM(L5),ESの各筋厚は,各姿勢間で主効果が認められた。LM(L2)は腹臥位,座位,立位の順で有意に筋厚が増大した。LM(L5)は,腹臥位より立位で,座位より立位で有意に筋厚が増大した。腹臥位と座位の間では有意差が認められなかった。ESは,腹臥位より座位で,腹臥位より立位で有意に筋厚が増大した。座位と立位の間では有意差が認められなかった。
【結論】
LM(L2)とLM(L5)とESは姿勢保持の際に作用が異なることが示唆された。LM(L2)は腹臥位,座位,立位の順で筋厚が増大することが示唆された。LM(L5)は腹臥位と座位に比べ,立位で筋厚が増大するが,腹臥位と座位の間では筋厚の変化がないことが示唆された。ESは腹臥位と比べ,座位と立位で筋厚を増大するが,座位と立位では変化がないことが示唆された。
腰部多裂筋は5つの筋束から構成され,それぞれの筋束が別々の神経支配を受けることから,腰椎の微細なコントロールを可能にし,姿勢保持に関わるという報告がある。しかしながら,腰部多裂筋を研究した報告は第4~5腰椎棘突起周囲の多裂筋の筋活動を見たものが多く,その他の腰椎レベルの腰部多裂筋の筋活動を比較・検討したものは少ない。また,体幹深層筋である腰部多裂筋は脊柱起立筋と共に胸腰筋膜で1つのコンパートメントを形成している。これは腰部多裂筋と脊柱起立筋が共同して働いていることを示唆している。このことから,腰部多裂筋と脊柱起立筋の関係性をはかる必要があるといえる。
よって,本研究では異なる姿勢における,第2・第5腰椎レベルの腰部多裂筋(以下,LM(L2),LM(L5)),脊柱起立筋(以下,ES)の筋厚について超音波画像診断装置を用いて検証することを目的とした。
【方法】
対象は,若年健常男性25名とした。年齢:22.1±1.6歳,身長:170.4±5.8cm,体重:60.4±8.8kg,BMI:20.8±2.6kg/m2(平均±標準偏差)であった。各筋厚の測定は超音波診断装置(sonosite180plus:sonosite社製)を用いた。測定部位は,右側のLM(L2),LM(L5),ESとした。測定肢位は,腹臥位・座位・立位で腰椎前後弯中間位にて測定した。測定は安静呼気時を2回測定した。得られた画像を画像解析ソフトImage Jを用いて各筋厚を算出した。2回測定した各筋厚の平均を代表値とした。
各筋厚の1回目と2回目で算出された値で級内相関係数(以下,ICC)を求め,再現性について検討した。各筋厚の各肢位での変化をみるために,反復測定一元配置分散分析を行い,その後Bonfferoniの多重比較検定を行った。統計解析にはSPSS statistic 19.0を使用し,有意水準は5%とした。
【結果】
ICCは,すべての項目において,0.95以上の数値を示した。
LM(L2)の筋厚は腹臥位で27.3±4.6mm,座位で30.4±4.0mm,立位で33.3±4.6mmとなった。同様の順でLM(L5)では30.8±4.0mm,30.1±4.5mm,34.2±4.3mm,ESでは35.8±6.1mm,40.4±6.9mm,42.1±6.6mmとなった。
LM(L2),LM(L5),ESの各筋厚は,各姿勢間で主効果が認められた。LM(L2)は腹臥位,座位,立位の順で有意に筋厚が増大した。LM(L5)は,腹臥位より立位で,座位より立位で有意に筋厚が増大した。腹臥位と座位の間では有意差が認められなかった。ESは,腹臥位より座位で,腹臥位より立位で有意に筋厚が増大した。座位と立位の間では有意差が認められなかった。
【結論】
LM(L2)とLM(L5)とESは姿勢保持の際に作用が異なることが示唆された。LM(L2)は腹臥位,座位,立位の順で筋厚が増大することが示唆された。LM(L5)は腹臥位と座位に比べ,立位で筋厚が増大するが,腹臥位と座位の間では筋厚の変化がないことが示唆された。ESは腹臥位と比べ,座位と立位で筋厚を増大するが,座位と立位では変化がないことが示唆された。