[P-MT-33-3] 片脚立位時の骨盤・体幹の姿勢変化が股関節屈筋群の筋活動に与える影響
姿勢変化に伴う腸腰筋の筋活動特性
Keywords:腸腰筋, 片脚立位, 筋活動
【はじめに,目的】
高齢者や股関節疾患をもつ患者では腸腰筋の筋力や断面積の低下が認められることが報告されている。また,腸腰筋の発揮する筋張力が低下すると,他の股関節屈筋の発揮する筋張力が代償的に増加し,股関節に過剰な負荷がかかる可能性が報告されている。静止立位の保持において,姿勢アライメントの変化は股関節と身体重心の位置関係に影響を与え,股関節屈筋群の筋活動の変化を引き起こすと考えられ,その変化の仕方は各筋によって異なる可能性がある。しかしこれまで,荷重位での股関節屈筋群の筋活動に関する報告はみられない。従って本研究の目的は,片脚立位時の骨盤・体幹の姿勢変化が股関節屈筋群の筋活動に与える影響について検討し,腸腰筋の筋活動の特徴を明らかにすることである。
【方法】
対象は健常男性15名とし,測定筋は利き脚の腸腰筋(IL),大腿直筋(RF),大腿筋膜張筋(TFL),縫工筋(SA),長内転筋(AL)の5筋とした。IL・SAは超音波画像診断装置(フクダ電子製)で筋腹の位置を確認し,筋活動は筋電図計測装置(Noraxon社製)で測定した。課題は利き脚での片脚立位姿勢とし,骨盤・体幹を正中位とした基本肢位(中間位)に加え,骨盤と体幹を10°前後傾した肢位(骨盤体幹前傾・後傾),骨盤と体幹を前額面で10°支持側・下肢挙上側に傾斜した肢位(骨盤体幹支持側傾斜・挙上側傾斜),骨盤と体幹を水平面で10°支持側・下肢挙上側に回旋した肢位(骨盤体幹支持側回旋・挙上側回旋),骨盤は中間位を保持したまま体幹のみ10°前後傾した肢位(体幹前傾・後傾),そして骨盤中間位で体幹のみ左右に10°傾斜した肢位(体幹支持側傾斜・体幹挙上側傾斜)の計11課題とした。各課題での肢位はゴニオメータを用いて規定し,足圧中心位置は中間位を基準とし,足圧分布・重心動揺計測器Winpod(Medicapteurs社製)を用いて一定とした。各筋の最大筋活動を測定した後,各課題での測定を無作為な順序で行い,3秒間の筋活動を3回測定した。各筋の3回の平均筋活動を最大筋活動で正規化した値(%MVC)を算出し,解析に用いた。統計分析はWilcoxonの符号順位検定及びHolm法による補正を行い,中間位とその他10課題間での5筋の筋活動を比較した(有意水準:p<0.05)。
【結果】
筋活動量は,ILでは中間位に比べ,骨盤体幹支持側回旋,体幹後傾,体幹挙上側傾斜で有意に増加した。SA,ALでは中間位に比べ,骨盤体幹後傾で有意に増加した。RFでは中間位に比べ,骨盤体幹後傾,体幹後傾で有意に増加した。TFLでは課題間に有意差がなかった。
【結論】
本研究の結果,姿勢変化が各筋の筋活動に影響を与えることが示唆された。特徴的な筋活動への影響として,骨盤体幹後傾では,ILの筋活動は変化せず,RF,SA,ALの筋活動が増加した。一方体幹後傾では,IL,RFの筋活動が増加し,SA,ALの筋活動は変化しなかった。この結果は姿勢変化による筋活動への影響が各筋で異なることを示唆するものである。
高齢者や股関節疾患をもつ患者では腸腰筋の筋力や断面積の低下が認められることが報告されている。また,腸腰筋の発揮する筋張力が低下すると,他の股関節屈筋の発揮する筋張力が代償的に増加し,股関節に過剰な負荷がかかる可能性が報告されている。静止立位の保持において,姿勢アライメントの変化は股関節と身体重心の位置関係に影響を与え,股関節屈筋群の筋活動の変化を引き起こすと考えられ,その変化の仕方は各筋によって異なる可能性がある。しかしこれまで,荷重位での股関節屈筋群の筋活動に関する報告はみられない。従って本研究の目的は,片脚立位時の骨盤・体幹の姿勢変化が股関節屈筋群の筋活動に与える影響について検討し,腸腰筋の筋活動の特徴を明らかにすることである。
【方法】
対象は健常男性15名とし,測定筋は利き脚の腸腰筋(IL),大腿直筋(RF),大腿筋膜張筋(TFL),縫工筋(SA),長内転筋(AL)の5筋とした。IL・SAは超音波画像診断装置(フクダ電子製)で筋腹の位置を確認し,筋活動は筋電図計測装置(Noraxon社製)で測定した。課題は利き脚での片脚立位姿勢とし,骨盤・体幹を正中位とした基本肢位(中間位)に加え,骨盤と体幹を10°前後傾した肢位(骨盤体幹前傾・後傾),骨盤と体幹を前額面で10°支持側・下肢挙上側に傾斜した肢位(骨盤体幹支持側傾斜・挙上側傾斜),骨盤と体幹を水平面で10°支持側・下肢挙上側に回旋した肢位(骨盤体幹支持側回旋・挙上側回旋),骨盤は中間位を保持したまま体幹のみ10°前後傾した肢位(体幹前傾・後傾),そして骨盤中間位で体幹のみ左右に10°傾斜した肢位(体幹支持側傾斜・体幹挙上側傾斜)の計11課題とした。各課題での肢位はゴニオメータを用いて規定し,足圧中心位置は中間位を基準とし,足圧分布・重心動揺計測器Winpod(Medicapteurs社製)を用いて一定とした。各筋の最大筋活動を測定した後,各課題での測定を無作為な順序で行い,3秒間の筋活動を3回測定した。各筋の3回の平均筋活動を最大筋活動で正規化した値(%MVC)を算出し,解析に用いた。統計分析はWilcoxonの符号順位検定及びHolm法による補正を行い,中間位とその他10課題間での5筋の筋活動を比較した(有意水準:p<0.05)。
【結果】
筋活動量は,ILでは中間位に比べ,骨盤体幹支持側回旋,体幹後傾,体幹挙上側傾斜で有意に増加した。SA,ALでは中間位に比べ,骨盤体幹後傾で有意に増加した。RFでは中間位に比べ,骨盤体幹後傾,体幹後傾で有意に増加した。TFLでは課題間に有意差がなかった。
【結論】
本研究の結果,姿勢変化が各筋の筋活動に影響を与えることが示唆された。特徴的な筋活動への影響として,骨盤体幹後傾では,ILの筋活動は変化せず,RF,SA,ALの筋活動が増加した。一方体幹後傾では,IL,RFの筋活動が増加し,SA,ALの筋活動は変化しなかった。この結果は姿勢変化による筋活動への影響が各筋で異なることを示唆するものである。