The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本運動器理学療法学会 » ポスター発表

[P-MT-34] ポスター(運動器)P34

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本運動器理学療法学会

[P-MT-34-5] 大腿骨転子部骨折術後の在院日数に影響を与える要因

三木 裕介 (徳島県立三好病院)

Keywords:大腿骨転子部骨折, 在院日数, 歩行器歩行開始日数

【はじめに,目的】

本邦において大腿骨転子部骨折は高齢者に発生することが多く今後,増加することが考えられる疾患の1つである。当院は第3次救急病院であり,術後早期から日常生活動作獲得のためにリハビリテーション(以下,リハ)が開始される。近年,急性期病院では在院日数の短縮が図られており術後早期から在院日数に影響を与える要因を把握して介入することでより効率の良いリハが提供できると考える。今回,当院での現状を把握し在院日数に影響を与える要因を検討した。

【方法】

対象は平成27年3月から平成28年9月の期間に大腿骨転子部骨折で当院に入院し,観血的骨接合術を施行した49名のうち除外基準を除いた29名(男性5名,女性24名,平均年齢86.9±4.1)である。除外基準は,荷重制限がある者,既往歴に整形外科の手術を施行した者,調査項目の記載漏れがある者とした。調査項目はカルテより後方視的に調査し,年齢,性別,骨折型,既往歴の有無(認知症,脳血管疾患,呼吸器疾患,循環器疾患,代謝疾患),同居家族の有無,介護認定の有無,受傷から手術までの日数,手術から動作練習開始までの日数(以下,端座位開始日数,離床開始日数,平行棒内起立開始日数,平行棒内歩行開始日数,歩行器歩行開始日数,ロフストランド杖歩行開始日数,T-cane歩行開始日数),退院時歩行レベル,在院日数である。在院日数に関連する項目を検討するためスピアマンの順位相関係数を用いて在院日数と各調査項目との相関係数の検定を行った。そして,在院日数を従属変数とし在院日数と相関を認めた項目を独立変数としてステップワイズ法にて重回帰分析を行った。統計学的有意水準は5%未満とした。

【結果】

在院日数は16.3±4.3,端座位開始日数は1.0±0.2,離床開始日数は3.0±0.3,平行棒内起立開始日数は4.0±0.3,平行棒内歩行開始日数は4.0±0.4,歩行器歩行開始日数は5.0±0.7である。ロフストランド杖歩行を実施したのは1名であり開始日数は11である。T-cane歩行を実施したのは2名であり開始日数は12と13である。在院日数と関連を認めたのは脳血管疾患の有無(r=-0.50),歩行器歩行開始日数(r=0.49),端座位開始日数(r=-0.47),受傷から手術までの日数(r=0.42),介護認定の有無(r=-0.41),骨折型(r=0.40)である。重回帰分析の結果,在院日数に影響を与える要因は歩行器歩行開始日数(β=0.44),介護認定の有無(β=-0.25),端座位開始日数(β=-0.31),脳血管疾患の有無(β=-0.35)である。(R2=0.62,R2´=0.55,P<0.01)

【結論】

大腿骨転子部骨折術後の在院日数に影響を与える要因は歩行器歩行開始日数,介護認定の有無,端座位開始日数,脳血管疾患の有無であり,歩行器歩行開始日数の影響が最も大きかった。急性期では早期から端座位を開始し,特に歩行器歩行を開始する時期が重要であることが示唆された。また,脳血管疾患の有無と介護認定の有無は日常生活動作や転帰先に影響することが推察されるので患者背景も十分に考慮して介入する必要がある。