[P-MT-37-3] 座位での骨盤傾斜運動と10メートル歩行テストの関係性
Keywords:座位バランス, 後期高齢者, 骨盤
【はじめに,目的】近年,座位の評価に関する研究は多く報告されているが,そのほとんどが支持基底面を越えた肢位で行っているものや骨盤の前後傾で行う評価である(木下ら,春山ら2015年)。筆者らは,後期高齢者において,可動域を有しているにも関わらず自動的にも他動的にも骨盤が側方に傾斜させることが困難な症例を数多く経験している。骨盤の側方傾斜運動が検者の視覚的に改善すると,歩行スピードにも改善がみられる時がある。この骨盤側方傾斜を主観的ではなく客観的に評価する方法の必要性を感じているがあまり見当たらない。筆者らは傾斜台を使用することにより強制的に骨盤傾斜でき,この作用を利用して評価に応用できないかと考えた。
【方法】対象は,老人保健施設に入所中の女性後期高齢者7名とし,身体に麻痺の無い利用者とした。基本情報は,平均年齢87.2±3.5歳,体重44.0±5.1Kgであった。測定項目は,骨盤傾斜運動回数,骨盤傾斜角度,10メートル歩行テストとした。骨盤傾斜運動の測定には,最大傾斜角度が10度の傾斜台を使用した。前方にティルテーブルを設置し手をついてもらった。また,股関節,膝関節が90°になるように座面の高さを調節した。対象に,30秒で傾斜運動を行うよう指示した。骨盤の傾斜角度の測定には,傾斜角度計を用い両手を離した状態で測定した。骨盤傾斜角度は左右の角度総和を測定値とした。10メートル歩行テストでは,普段使用している歩行器で歩行スピードを測定した。対象には普段使用している歩行器を使用してもらった。
【結果】骨盤側方傾斜運動は,平均回数19.2±6.5回となった。骨盤傾斜角度は平均角度11.8±3.7°となった。10メートル歩行速度は,平均秒数19.6±1.3秒となった。骨盤側方傾斜運動と10メートル歩行スピードとの間には,強い相関関係が認められた(r=0.72,p<0.05)。骨盤側方傾斜角度と10メートル歩行スピードの間には相関関係が認められなかった(r=-0.52,p=0.24)。
【結論】骨盤を側方に傾斜する際には,移動側に腰椎が側屈しなければ左右の重心移動は行いにくくなる。測定動作中の対象の様子を観察すると,腰椎の側屈がスムーズに行えず,屈曲方向に運動している者も観察された。よって骨盤傾斜運動回数の測定では,上肢機能も連動した骨盤の傾斜運動が反映された結果となったと考えられる。また対象は,全員歩行器歩行を行っており,上肢と体幹の機能が反映されたため相関関係が認められたと考えた。一方で,骨盤傾斜角度は10メートル歩行スピードとは相関関係を認めなかった。今回の対象は後期高齢者であり,円背を呈しているものがほとんどで,測定中様々な脊柱の代替方法によって角度が増減した可能性も考えられる。今後,脊柱の3軸方向の運動にも着目し,測定方法の妥当性,再現性を検討していきたい。
【方法】対象は,老人保健施設に入所中の女性後期高齢者7名とし,身体に麻痺の無い利用者とした。基本情報は,平均年齢87.2±3.5歳,体重44.0±5.1Kgであった。測定項目は,骨盤傾斜運動回数,骨盤傾斜角度,10メートル歩行テストとした。骨盤傾斜運動の測定には,最大傾斜角度が10度の傾斜台を使用した。前方にティルテーブルを設置し手をついてもらった。また,股関節,膝関節が90°になるように座面の高さを調節した。対象に,30秒で傾斜運動を行うよう指示した。骨盤の傾斜角度の測定には,傾斜角度計を用い両手を離した状態で測定した。骨盤傾斜角度は左右の角度総和を測定値とした。10メートル歩行テストでは,普段使用している歩行器で歩行スピードを測定した。対象には普段使用している歩行器を使用してもらった。
【結果】骨盤側方傾斜運動は,平均回数19.2±6.5回となった。骨盤傾斜角度は平均角度11.8±3.7°となった。10メートル歩行速度は,平均秒数19.6±1.3秒となった。骨盤側方傾斜運動と10メートル歩行スピードとの間には,強い相関関係が認められた(r=0.72,p<0.05)。骨盤側方傾斜角度と10メートル歩行スピードの間には相関関係が認められなかった(r=-0.52,p=0.24)。
【結論】骨盤を側方に傾斜する際には,移動側に腰椎が側屈しなければ左右の重心移動は行いにくくなる。測定動作中の対象の様子を観察すると,腰椎の側屈がスムーズに行えず,屈曲方向に運動している者も観察された。よって骨盤傾斜運動回数の測定では,上肢機能も連動した骨盤の傾斜運動が反映された結果となったと考えられる。また対象は,全員歩行器歩行を行っており,上肢と体幹の機能が反映されたため相関関係が認められたと考えた。一方で,骨盤傾斜角度は10メートル歩行スピードとは相関関係を認めなかった。今回の対象は後期高齢者であり,円背を呈しているものがほとんどで,測定中様々な脊柱の代替方法によって角度が増減した可能性も考えられる。今後,脊柱の3軸方向の運動にも着目し,測定方法の妥当性,再現性を検討していきたい。