第52回日本理学療法学術大会

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日本運動器理学療法学会 » ポスター発表

[P-MT-38] ポスター(運動器)P38

2017年5月13日(土) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本運動器理学療法学会

[P-MT-38-3] 腰椎一椎間固定術前後における身体機能の変化について

谷本 海渡 (高松赤十字病院)

キーワード:腰椎一椎間固定術, SVA, FFD

【はじめに,目的】社会の高齢化が進み,腰痛を訴える患者は増加している。当院でも脊椎手術は年々増加しており,平成27年には400件の脊椎手術が行われた。今回,腰椎一椎間固定術を受けられた症例の,手術前と退院時の全脊柱矢状面アライメントと体幹柔軟性を比較検討した。

【方法】

対象は平成27年9月1日から平成28年8月31日に当院で脊椎一椎間固定術を受け,評価可能であった,腰椎変性疾患30例(男性:18名,女性:12例,平均年齢70.1±10.48歳,平均術後在院日数19.7±6.21日)とした。固定椎間関節レベルは,L1-2:1例,L3-4:2例,L4-5:16例,L5-S:11例であった。検討項目は,立位脊柱レントゲンによる脊椎矢状面アライメント(以下,SVA)と体幹柔軟性(以下,FFD),日本整形外科学会腰痛治療成績判定基準合計点(以下,JOA合計点),腰痛(以下,腰VAS)・下肢痛(以下,下肢VAS)の手術前と術後早期を比較した。またSVA,FFD,JOA合計点,腰VAS,下肢VASの関連性を求めるため,それぞれの相関関係を求めた。統計学的解析はR2.8.1を使用し,術前術後のSVA,FFD,JOA合計点,腰及び下肢VASをウィルコクソンの符号付順位和検定で比較し,SVA,FFD,JOA合計点,腰VAS,下肢VASの関係をそれぞれspearmanの順位相関係数検定を用いて検討した。各有意水準を5%未満とした。



【結果】結果を中央値(第1四分位数[1]第3四分位数)で示す。SVAの中央値は術前64.81(29.69/100.89)cm術後43.7(27.13/88.03)cmであり,統計学的に有意な差は認められなかった。FFDの中央値は術前6.75(3.18/14.43)cm術後12.55(5.6/30.23)cm,JOA合計点の中央値は術前12(6.25/16)点術後18(15.25/20.75)点,腰VASの中央値は術前55(20.75/73.75)mm術後27.5(0/47.5)mmであり,下肢VASの中央値は術前70(30/80)mm,術後0(0/40)mmであり,統計学的に有意差があった(p<0.01)。また下肢VASとJOA合計点において相関を認めた(r=-0.43。p<0.01)。



【結論】

腰椎一椎間固定術前後で脊柱矢状面アライメントの有意な改善は見られなかった。腰痛,下肢痛,治療成績,体幹柔軟性に有意な変化が見られた。

入院中より,腰痛の悪化や慢性化予防,再発予防を目的とし体幹筋の筋力強化,ストレッチング,持久力強化また,動作練習や自主練習指導,退院後のリハビリの継続と長期的なフォローすることで再発,二次障害の予防に有効と考える。