The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本運動器理学療法学会 » ポスター発表

[P-MT-39] ポスター(運動器)P39

Sat. May 13, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本運動器理学療法学会

[P-MT-39-5] 大腿骨転子部骨折の荷重時痛とCT・超音波画像の経時的変化について~Evans分類Type1 group4症例に関して~

森 孝之 (市立伊勢総合病院リハビリテーション室)

Keywords:荷重時痛, CT所見, 超音波画像所見

【目的】

大腿骨転子部骨折のうち不安定型骨折である4Part骨折や後外側粉砕骨折に対するCompression Hip Screw(以下,CHS)の場合,術後の骨性支持が不十分な時期に荷重を行うと,過度なSlidingにより骨頭の短縮や内反股となる。今回,Evans分類Type1group4に対し,CHSを施行した症例の荷重時痛とCT,超音波画像所見(以下,エコー)の関連について報告する。


【症例提示】

89歳女性。自宅にて転倒し受傷。骨折分類はEvans分類Type1group4。CHS手術翌日から理学療法開始。術後6週時に憩室炎と診断され加療目的にて外科転科となった。外科加療中も理学療法は継続した。経過中の荷重時痛とCT,エコー所見ついて検討した。


【経過】

Tip-apex distance(以下,TAD)は17.2mm。術後2日目で(Visual Analog Scale(以下,VAS)で荷重時痛80mm。荷重は1/3荷重とした。術後24日目で荷重時痛VAS60mm,CT所見で後外側部に一部仮骨形成が確認でき1/2荷重に変更。術後35日目より2/3荷重としTAD11.3mmであった。術後42日目には荷重時痛VAS30mmとなり術後56日目に荷重時痛VAS20mmと軽減し術後8週時に全荷重とした。その後,荷重時痛は術後111日目までVAS20mmと残存していた。CTで確認すると大腿骨後外側部や大転子部,小転子部に仮骨形成を認めていたが,エコードプラでは骨折部の血流反応を認めた。そして術後126日目に荷重時痛は消失し,術後139日目のエコーでは後外側部のエコードプラ反応は消退した。


【考察】

本症例は,大腿骨の大転子や小転子骨折を含む4Part骨折であり,後外側粉砕骨折を呈したEvans分類のType1 group4である。治療はCHS術が行われた。一般的にCHSは,骨頭に力が加わるとsliding機構により頸部は短縮し安定するといわれている。しかし,不安定型骨折である4Part骨折や後外側粉砕骨折では過度な骨片間の圧着から荷重時痛を伴い,歩行獲得の阻害となる。本症例は術後111日目まで荷重時痛VAS20mmと残存し,CTにて仮骨形成が確認できたが,エコードプラでは粉砕骨折である後外側部に血流反応が確認できた。術後126日を経て荷重痛が消退し,荷重痛消退後にエコードプラによる血流反応が消失したことから,エコードプラの所見は骨折治癒過程の血流変化を反映していたものであると考えられる。荷重痛とCTおよびエコー所見の経時的変化を報告したが,理学療法への有用性について検証する必要がある。


【結語】

不安定型4Part骨折や後外側粉砕骨折を認めた症例の荷重時痛の消失には術後約18週,エコードプラ反応の消失は術後約20週を要した。