[P-MT-42-2] 変形性膝関節症の重症度と転帰の関係
―手術回避に関わる因子の検討―
Keywords:膝関節, 変形性膝関節症, 手術
【はじめに,目的】
自由が丘整形外科はセカンドオピニオン目的で来院される変形性膝関節症(以下,膝OA)の患者が多い。前医にて手術を勧められたが保存療法を希望し来院される方である。
OARSIのガイドラインでは,非薬物療法と薬物療法の併用によって十分な疼痛緩和と機能改善が得られない膝OAの場合手術を考慮するとされている。このように手術適応には明確な定義がある訳ではなく,当院においては膝OAの重症度が高い例,保存療法(ステロイド注射,理学療法,生活指導)無効例,年齢に対し機能障害が高度な例を手術適応としている。
そこで当院を受診し,手術を回避できた例と手術適応にて他院紹介となった例における割合と,保存療法が有効な膝OAの画像診断学的特徴の検討を行うことで膝OAの保存療法が有効である因子を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は2014年1月から2016年8月までの間に当院にて,膝OAまたは骨壊死の診断がついた例のうち,自己免疫疾患を合併している例を除き,医師より手術(人工関節置換術,高位脛骨骨切り術)目的で他院へ紹介した88人122膝(男:女=17:61,年齢67.51±9.83歳,身長1.58±0.08m,体重61.51±12.24kg,BMI24.21±4.43)(手術適応群)と当院にて保存療法を実施し手術を回避できている人のうち,無作為に148人202膝(男:女=23:125,年齢63.97±10.24歳,身長1.58±0.08m,体重56.84±9.59kg,BMI22.83±3.05)(手術回避群)を対象とした。
画像所見にて,レントゲン上より重症度として,kellgren-lawrenceの分類(以下KL分類),大腿脛骨角,MRI上より骨髄浮腫・骨壊死・ACL損傷・リハ実施の有無を抽出し,手術適応群と手術回避群で比較することで保存療法が有効である因子の検討をした。統計学的解析はそれぞれ対応のないt検定,χ2検定にて処理し,有意水準は5%とした。
【結果】
膝OAまたは骨壊死の診断がついた全例(関節リウマチなどの自己免疫疾患を合併している例除外)のうち,手術を回避した例の割合は62.7%であった。
骨壊死の有無では有意差がなかったが,KL分類,大腿脛骨角,骨髄浮腫・ACL損傷・リハ実施の有無では有意差が見られた(P<0.01)。上記の結果より手術回避群ではKL分類が低く,大腿脛骨角が小さく,骨髄浮腫・ACL損傷・リハ実施の有無に関係あることが示唆された。
【結論】
当院にて,膝OAまたは骨壊死と診断され,関節リウマチなどの自己免疫疾患を合併している例を除外した患者のうち6割程度の割合で人工関節置換術,高位脛骨骨切り術を回避できている。手術を回避した例は,手術適応となった例に比べ,骨壊死の有無には関係が見られなかったが,KL分類が低く,大腿脛骨角が小さく,骨髄浮腫・ACL損傷が無い場合,そしてリハを実施していた例が多いことが分かった。本検証より,膝OAまたは骨壊死と診断された例について,レントゲンよりKL分類・大腿脛骨角,MRIより骨髄浮腫・ACL損傷の有無を確認することで,保存療法が有効であるか予測することが可能であると示唆された。
自由が丘整形外科はセカンドオピニオン目的で来院される変形性膝関節症(以下,膝OA)の患者が多い。前医にて手術を勧められたが保存療法を希望し来院される方である。
OARSIのガイドラインでは,非薬物療法と薬物療法の併用によって十分な疼痛緩和と機能改善が得られない膝OAの場合手術を考慮するとされている。このように手術適応には明確な定義がある訳ではなく,当院においては膝OAの重症度が高い例,保存療法(ステロイド注射,理学療法,生活指導)無効例,年齢に対し機能障害が高度な例を手術適応としている。
そこで当院を受診し,手術を回避できた例と手術適応にて他院紹介となった例における割合と,保存療法が有効な膝OAの画像診断学的特徴の検討を行うことで膝OAの保存療法が有効である因子を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は2014年1月から2016年8月までの間に当院にて,膝OAまたは骨壊死の診断がついた例のうち,自己免疫疾患を合併している例を除き,医師より手術(人工関節置換術,高位脛骨骨切り術)目的で他院へ紹介した88人122膝(男:女=17:61,年齢67.51±9.83歳,身長1.58±0.08m,体重61.51±12.24kg,BMI24.21±4.43)(手術適応群)と当院にて保存療法を実施し手術を回避できている人のうち,無作為に148人202膝(男:女=23:125,年齢63.97±10.24歳,身長1.58±0.08m,体重56.84±9.59kg,BMI22.83±3.05)(手術回避群)を対象とした。
画像所見にて,レントゲン上より重症度として,kellgren-lawrenceの分類(以下KL分類),大腿脛骨角,MRI上より骨髄浮腫・骨壊死・ACL損傷・リハ実施の有無を抽出し,手術適応群と手術回避群で比較することで保存療法が有効である因子の検討をした。統計学的解析はそれぞれ対応のないt検定,χ2検定にて処理し,有意水準は5%とした。
【結果】
膝OAまたは骨壊死の診断がついた全例(関節リウマチなどの自己免疫疾患を合併している例除外)のうち,手術を回避した例の割合は62.7%であった。
骨壊死の有無では有意差がなかったが,KL分類,大腿脛骨角,骨髄浮腫・ACL損傷・リハ実施の有無では有意差が見られた(P<0.01)。上記の結果より手術回避群ではKL分類が低く,大腿脛骨角が小さく,骨髄浮腫・ACL損傷・リハ実施の有無に関係あることが示唆された。
【結論】
当院にて,膝OAまたは骨壊死と診断され,関節リウマチなどの自己免疫疾患を合併している例を除外した患者のうち6割程度の割合で人工関節置換術,高位脛骨骨切り術を回避できている。手術を回避した例は,手術適応となった例に比べ,骨壊死の有無には関係が見られなかったが,KL分類が低く,大腿脛骨角が小さく,骨髄浮腫・ACL損傷が無い場合,そしてリハを実施していた例が多いことが分かった。本検証より,膝OAまたは骨壊死と診断された例について,レントゲンよりKL分類・大腿脛骨角,MRIより骨髄浮腫・ACL損傷の有無を確認することで,保存療法が有効であるか予測することが可能であると示唆された。