The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本運動器理学療法学会 » ポスター発表

[P-MT-47] ポスター(運動器)P47

Sun. May 14, 2017 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本運動器理学療法学会

[P-MT-47-5] 当院における前十字靱帯再建術の動向
―再手術に着目して―

松本 拓也, 石田 修平, 馬庭 壯吉 (島根大学医学部附属病院)

Keywords:前十字靱帯損傷, 再手術, 受傷機転

【はじめに・目的】前十字靱帯(以下ACL)損傷はスポーツ現場においてよく観察される外傷の一つである。現在,日本でのACL損傷の発生件数について越智らは3~4万件/年発生していると述べており,その多くの症例でACL再建術(以下ACLR)が施行されている。ACLRの目的は関節内合併症の予防,元の活動レベルへの復帰などが挙げられる。しかし一度ACLRを施行するとスポーツからの長期の離脱を余儀なくされる。スポーツ復帰をしても十分にパフォーマンスを発揮できないものや再断裂・再手術に至るものも少なくない。今回,当院でのACLRの動向について調査し,再手術者の属性などを知ることで,今後のACLR前後のリハビリテーションの内容を検討することを目的とした。


【方法】対象は2010年4月1日から2014年3月31日の期間,ACLRを施行した242名とした。242名中,期間内に再手術に至った群を再手術群,初回の手術のみの群を非再手術群とした。対象患者の情報をカルテより後方視的に抽出した。基本属性として,年齢,性別,Body Mass Index(以下BMI),再手術群に関しては,再手術側,受傷機転,初回手術から再受傷までの日数も調査した。年齢,BMIは再手術群と非再手術群の性別で群分けし,t検定を行った。有意水準は5%とした。


【結果】242名中15名(6.4%)が5年間に再断裂し再手術に至った。15名のうち2名(13%)は3回の手術を実施していた。再手術群の内訳は男性7名(18.2±3.0歳),女性8名(18.6±5.5歳)であった。非再手術群の内訳は男性125名(29.1±12.3歳),女性102名(27.32±12.95歳)であった。また年齢に関しては男女ともに再手術群で有意に若年者が多くみられた(p<0.05)。BMIは再手術群の男性は21.4±2.6 kg/m2,再手術群の女性は22.3±2.9 kg/m2であった。非再手術群の男性は24.5±3.9kg/m2,非再手術群の女性は26.5±9.1 kg/m2であった。男性においては再手術群と非再手術群のBMIの間に有意な差を認めた(p<0.05)。再手術率は男性で5.6%,女性で7.8%であった。再手術群の中で同側再手術が10名(66%),対側手術が5名(33%)であった。再受傷時の受傷機転としては15名中11名(73%)がスポーツ活動中の受傷となった。また同側再手術者10名の初回手術から再受傷までの平均日数は393±193日であり,当院でスポーツ復帰が許可される9ヶ月を経過していた者が6名,経過していなかった者が4名であった。


【結論】再手術率はわずかに女性に多い傾向にあった。再手術群において,若年者が多く,また再手術群の男性においてはBMIが有意に低く,やせ形の体型の方に再手術が多かった。再受傷時の受傷機転は初回受傷時と同様の受傷機転をきたしている者が多い傾向にあった。