[P-MT-49-3] ヒラメ筋の付着がMedial Tibial Stress Syndromeによる疼痛発生に関与するか?
―超音波画像診断装置を用いた解剖学的検討―
Keywords:Medial Tibial Stress Syndrome, ヒラメ筋, 超音波診断装置
【はじめに,目的】ランニング障害の一つである脛骨後内側縁に痛みを生じるMedial Tibial Stress Syndrome(MTSS)は発生率や再発率が高く,男性よりも女性で好発することが報告されている。先行研究において,MTSSにおける疼痛好発部位とされている脛骨中下1/3の部位には長趾屈筋とヒラメ筋が付着しており,特に女性においては男性よりも疼痛好発部位にヒラメ筋が有意に大きな割合で付着していることが報告されている。そのため,このヒラメ筋の付着割合の多さが女性でMTSS発生が多い理由の一つである可能性がある。しかし,実際のMTSSの発生とヒラメ筋の付着の関係性については明らかではない。そこで本研究では,MTSS疼痛好発部位にヒラメ筋の付着の有無がMTSS発生に関連するかを明らかにすることで,解剖学的特徴がMTSS発生に関連するかを明らかにすることを目的とした。
【方法】対象は若年男性25名(平均20.2±2.1歳,170.7±4.4 cm,64.0±7.6 kg)と若年女性25名(平均20.9±3.1歳,156.7±6.0 cm,51.9±6.3 kg)の合計50名100脚とした。方法は先行研究に従って,脛骨長(内果下端(0%)~脛骨内側関節面(100%))をデジタルノギス(Mitutoyo Corp社製)を使用して計測し,疼痛発生部位である脛骨内側縁中下1/3の部位(内果下端から33%~50%)を特定した。次に超音波診断装置(東芝メディカルシステムズ社製Aplio 500)を用いて,疼痛発生部位における脛骨内側縁へヒラメ筋の付着の有無を確認した。またYateらの先行研究を参考に,過去のMTSSの既往については問診により聴取した。対象のうちMTSS既往脚は男性で14脚(28%),女性で16脚(32%)であった。統計的処理は,疼痛発生部位におけるヒラメ筋の付着の割合の男女差を検討するためにX2乗検定を用いて検討した。また,MTSS既往歴とヒラメ筋の付着率の関係性を検討するため,男性および女性においてMTSS既往脚と非既往脚におけるヒラメ筋の付着の有無の割合の比較をX2乗検定を用いて検討した。
【結果】MTSSの好発部位におけるヒラメ筋の付着割合は,男性は50脚中7脚(14%)であるのに対して女性では50脚中24脚(48%)であった。統計処理の結果,ヒラメ筋の付着率は女性の方が男性と比較して有意に高い割合を示した。また男性においてMTSS既往脚では14脚中2脚(14.3%),非既往脚では36脚中5脚(13.9%),女性においてはMTSS既往脚では16脚中8脚(50%),非既往脚では34脚中16脚(47.1%)であった。統計処理の結果,男女ともにMTSS既往脚と非既往脚ではヒラメ筋の付着率に有意な差は認められなかった。
【結論】本研究結果より,先行研究と同様に男性と比較して女性の方がMTSSの好発部位である脛骨内側縁中下1/3の部位にヒラメ筋が付着する割合が大きいことが明らかになった。しかし,MTSS既往脚と非既往脚には有意な差が認められなかったことから,ヒラメ筋の解剖学的特徴はMTSS発生に影響を及ぼさない可能性が示唆された。
【方法】対象は若年男性25名(平均20.2±2.1歳,170.7±4.4 cm,64.0±7.6 kg)と若年女性25名(平均20.9±3.1歳,156.7±6.0 cm,51.9±6.3 kg)の合計50名100脚とした。方法は先行研究に従って,脛骨長(内果下端(0%)~脛骨内側関節面(100%))をデジタルノギス(Mitutoyo Corp社製)を使用して計測し,疼痛発生部位である脛骨内側縁中下1/3の部位(内果下端から33%~50%)を特定した。次に超音波診断装置(東芝メディカルシステムズ社製Aplio 500)を用いて,疼痛発生部位における脛骨内側縁へヒラメ筋の付着の有無を確認した。またYateらの先行研究を参考に,過去のMTSSの既往については問診により聴取した。対象のうちMTSS既往脚は男性で14脚(28%),女性で16脚(32%)であった。統計的処理は,疼痛発生部位におけるヒラメ筋の付着の割合の男女差を検討するためにX2乗検定を用いて検討した。また,MTSS既往歴とヒラメ筋の付着率の関係性を検討するため,男性および女性においてMTSS既往脚と非既往脚におけるヒラメ筋の付着の有無の割合の比較をX2乗検定を用いて検討した。
【結果】MTSSの好発部位におけるヒラメ筋の付着割合は,男性は50脚中7脚(14%)であるのに対して女性では50脚中24脚(48%)であった。統計処理の結果,ヒラメ筋の付着率は女性の方が男性と比較して有意に高い割合を示した。また男性においてMTSS既往脚では14脚中2脚(14.3%),非既往脚では36脚中5脚(13.9%),女性においてはMTSS既往脚では16脚中8脚(50%),非既往脚では34脚中16脚(47.1%)であった。統計処理の結果,男女ともにMTSS既往脚と非既往脚ではヒラメ筋の付着率に有意な差は認められなかった。
【結論】本研究結果より,先行研究と同様に男性と比較して女性の方がMTSSの好発部位である脛骨内側縁中下1/3の部位にヒラメ筋が付着する割合が大きいことが明らかになった。しかし,MTSS既往脚と非既往脚には有意な差が認められなかったことから,ヒラメ筋の解剖学的特徴はMTSS発生に影響を及ぼさない可能性が示唆された。