[P-MT-51-2] 人工膝関節置換術患者における術前後自己効力感と入院中の自主運動実施時間,退院時歩行機能との関連
―共分散構造分析による検討―
Keywords:人工膝関節置換術, 自己効力感, 入院中自主運動
【はじめに】
人工膝関節術後患者において,術前膝伸展筋力や自己効力感が退院時歩行機能に影響すると報告され,術前リハビリテーション,患者指導の必要性が報告されている。また,入院中の活動量や退院時の自己効力感も退院時歩行機能に関連することが報告されている。当院においても,術後早期から病棟での自主運動や歩行練習を指導しており,自主運動を実施する症例は退院時歩行機能が比較的良好であることを経験する。
【目的】
本研究では,術前・退院時の自己効力感と入院中の自主運動実施時間,退院時歩行機能との関連から,入院期間中にアプローチするべきポイントについて検討することを目的とした。
【方法】
対象は片側人工膝関節置換術を施行された36名(年齢(平均±標準偏差)72.8±8.5歳,BMI25.1±4.1kg/m2)とした。評価項目は膝関節可動域,膝伸展筋力,人工関節置換術の術後リハに対する自己効力感(Self-efficacy for Rehabilitation outcome Scale;以下,SER)と歩行機能(Timed UP and GO test;以下,TUG)とし,評価は術前と退院時に実施した。また,術後,病棟における自主運動(self-ex)は1)ROM-ex,2)Quad-setting,3)足関節底背屈exとし,連続5分以上の自主的な運動と定義した。Self-ex実施時間を自己記載式にて聴取し,入院期間中の一日平均自主運動時間が10分以上か否かで対象を群分けした。最終アウトカムを退院時TUGとして,術前の自己効力感が高い症例ほどSelf-exを実施し,退院時TUGに影響すると仮説を立て,術前・退院時の身体機能と自己効力感,Self-ex実施時間の関連性について共分散構造分析により検討した。
【結果】
対象者の入院期間(平均±標準偏差)は18.5±2.9日,自主運動実施時間は平均13.6±10.6分/日であった。Self-ex10分/日以上群(20名)と未満群(16名)において,年齢(68.7±8.5歳,77.8±5.8歳)と退院時SER(87.2+16.5点,72.9+18.0点)で有意差が認められた。共分散構造分析の結果,術前筋力と退院時SERが退院時TUGに直接的に関与していた。退院時SERの改善に関連するのは術前SERと10分/日以上のself-exの実施であった。また,術前SERとSelf-exの関連は認められなかった。
【結論】
Self-exは独立して退院時SERに関与していたことから,術後入院中にSelf-exを指導し,実践させることで退院時SERが改善し,退院時TUG改善に繋がることが示唆された。TKA患者に対し,一日10分程度の運動継続を促し,入院中から運動の習慣化を図ることが退院後の活動量等に有効に作用するのか否かについては,今後の縦断的な調査が必要と考える。
人工膝関節術後患者において,術前膝伸展筋力や自己効力感が退院時歩行機能に影響すると報告され,術前リハビリテーション,患者指導の必要性が報告されている。また,入院中の活動量や退院時の自己効力感も退院時歩行機能に関連することが報告されている。当院においても,術後早期から病棟での自主運動や歩行練習を指導しており,自主運動を実施する症例は退院時歩行機能が比較的良好であることを経験する。
【目的】
本研究では,術前・退院時の自己効力感と入院中の自主運動実施時間,退院時歩行機能との関連から,入院期間中にアプローチするべきポイントについて検討することを目的とした。
【方法】
対象は片側人工膝関節置換術を施行された36名(年齢(平均±標準偏差)72.8±8.5歳,BMI25.1±4.1kg/m2)とした。評価項目は膝関節可動域,膝伸展筋力,人工関節置換術の術後リハに対する自己効力感(Self-efficacy for Rehabilitation outcome Scale;以下,SER)と歩行機能(Timed UP and GO test;以下,TUG)とし,評価は術前と退院時に実施した。また,術後,病棟における自主運動(self-ex)は1)ROM-ex,2)Quad-setting,3)足関節底背屈exとし,連続5分以上の自主的な運動と定義した。Self-ex実施時間を自己記載式にて聴取し,入院期間中の一日平均自主運動時間が10分以上か否かで対象を群分けした。最終アウトカムを退院時TUGとして,術前の自己効力感が高い症例ほどSelf-exを実施し,退院時TUGに影響すると仮説を立て,術前・退院時の身体機能と自己効力感,Self-ex実施時間の関連性について共分散構造分析により検討した。
【結果】
対象者の入院期間(平均±標準偏差)は18.5±2.9日,自主運動実施時間は平均13.6±10.6分/日であった。Self-ex10分/日以上群(20名)と未満群(16名)において,年齢(68.7±8.5歳,77.8±5.8歳)と退院時SER(87.2+16.5点,72.9+18.0点)で有意差が認められた。共分散構造分析の結果,術前筋力と退院時SERが退院時TUGに直接的に関与していた。退院時SERの改善に関連するのは術前SERと10分/日以上のself-exの実施であった。また,術前SERとSelf-exの関連は認められなかった。
【結論】
Self-exは独立して退院時SERに関与していたことから,術後入院中にSelf-exを指導し,実践させることで退院時SERが改善し,退院時TUG改善に繋がることが示唆された。TKA患者に対し,一日10分程度の運動継続を促し,入院中から運動の習慣化を図ることが退院後の活動量等に有効に作用するのか否かについては,今後の縦断的な調査が必要と考える。