[P-NV-07-5] 急性期脳血管疾患患者におけるBerg Balance ScaleおよびMini-Balance Evaluation Systems Testについて
キーワード:Mini-Balance Evaluation Systems Test, Berg Balance Scale, 急性期脳血管疾患
【はじめに】
急性期病院において早期に病棟ADLを獲得することは廃用症候群の予防,今後の転帰先を考慮する上でも重要である。病棟内ADLの自立判定基準としてバランス能力の評価であるBerg Balance Scale(以下BBS)がよく用いられている。BBSには天井効果があり,また静的なバランス能力しか評価できないためADLにつながるような包括的なバランス能力を評価する指標としては不十分である。日本語版Mini-Balance Evaluation Systems Test(以下Mini-BESTest)は,予測的姿勢制御,反応的姿勢制御,感覚機能,動的歩行の4つのセクションから構成されており,高い信頼性,妥当性,治療反応性が報告されている。さらには天井効果がなく,歩行完全自立か否かの判別能に関してもMini-BESTestのほうが優れている傾向を示している。BBSとMini-BESTestには高い相関があると言われているが,急性期脳血管疾患において報告は少ない。今回BBSとMini-BESTestを比較したので以下に報告する。
【方法】
対象は2016年6月1日から同年9月まで当院に脳血管疾患で入院した患者17名(男性10名,女性7名)。脳血管疾患の既往がある者,整形疾患を有する者,検査内容が理解できない者を除外した。平均年齢は68±15歳,対象者の内訳は脳梗塞7名,脳出血5名,その他(くも膜下出血,慢性硬膜下血腫など)5名で,身体的特徴はNational Institute of Health Stroke Scale 0~6点が12名,7~14点が4名,15点以上が1名で測定日は平均11±6日だった。評価尺度はBBSおよびMini-BESTestを採用した。BBS,Mini-BESTestともに平均値,項目ごとの難易度(減点のある対象者の割合)を求め,さらにMini-BESTestは各セクションの得点率を求めた。BBSとMini-BESTestの合計点からPearsonの積率相関係数を求めた。
【結果】
BBSの平均値は32.5±19.8点(1~50点),難易度60%以上は両手前方,80%以上は360°方向転換,踏み台昇降,片脚立ち,タンデム立位。Mini-BESTestの平均値は10.8±8.4点(0~22点),難易度50%未満が静止立位(開眼,固い地面),座位から立位,斜面台,各セクションの得点率は,予測的姿勢制御48.0±35.8%,反応的姿勢制御22.5±27.0%,感覚機能54.9±39.4%,動的歩行31.8±28.3%,Mini-BESTestはBBS(r=0.91)と強い相関を認めた。
【結論】
急性期脳血管疾患患者においてBBSとMini-BESTestは慢性期脳卒中患者と同様に高い相関関係を示した。またBBSでは満点者はなく,Mini-BESTestでは無得点者がいたことやBBSにはない要素である反応的姿勢制御と動的歩行の得点率が低い傾向を示した。したがって,急性期においてBBSとMini-BESTest両者を計測することは有用であると思われるが,測定時期を考慮することや症例数を増やし運動機能別比較や疾患別の特徴をみる必要もあると考えられた。
急性期病院において早期に病棟ADLを獲得することは廃用症候群の予防,今後の転帰先を考慮する上でも重要である。病棟内ADLの自立判定基準としてバランス能力の評価であるBerg Balance Scale(以下BBS)がよく用いられている。BBSには天井効果があり,また静的なバランス能力しか評価できないためADLにつながるような包括的なバランス能力を評価する指標としては不十分である。日本語版Mini-Balance Evaluation Systems Test(以下Mini-BESTest)は,予測的姿勢制御,反応的姿勢制御,感覚機能,動的歩行の4つのセクションから構成されており,高い信頼性,妥当性,治療反応性が報告されている。さらには天井効果がなく,歩行完全自立か否かの判別能に関してもMini-BESTestのほうが優れている傾向を示している。BBSとMini-BESTestには高い相関があると言われているが,急性期脳血管疾患において報告は少ない。今回BBSとMini-BESTestを比較したので以下に報告する。
【方法】
対象は2016年6月1日から同年9月まで当院に脳血管疾患で入院した患者17名(男性10名,女性7名)。脳血管疾患の既往がある者,整形疾患を有する者,検査内容が理解できない者を除外した。平均年齢は68±15歳,対象者の内訳は脳梗塞7名,脳出血5名,その他(くも膜下出血,慢性硬膜下血腫など)5名で,身体的特徴はNational Institute of Health Stroke Scale 0~6点が12名,7~14点が4名,15点以上が1名で測定日は平均11±6日だった。評価尺度はBBSおよびMini-BESTestを採用した。BBS,Mini-BESTestともに平均値,項目ごとの難易度(減点のある対象者の割合)を求め,さらにMini-BESTestは各セクションの得点率を求めた。BBSとMini-BESTestの合計点からPearsonの積率相関係数を求めた。
【結果】
BBSの平均値は32.5±19.8点(1~50点),難易度60%以上は両手前方,80%以上は360°方向転換,踏み台昇降,片脚立ち,タンデム立位。Mini-BESTestの平均値は10.8±8.4点(0~22点),難易度50%未満が静止立位(開眼,固い地面),座位から立位,斜面台,各セクションの得点率は,予測的姿勢制御48.0±35.8%,反応的姿勢制御22.5±27.0%,感覚機能54.9±39.4%,動的歩行31.8±28.3%,Mini-BESTestはBBS(r=0.91)と強い相関を認めた。
【結論】
急性期脳血管疾患患者においてBBSとMini-BESTestは慢性期脳卒中患者と同様に高い相関関係を示した。またBBSでは満点者はなく,Mini-BESTestでは無得点者がいたことやBBSにはない要素である反応的姿勢制御と動的歩行の得点率が低い傾向を示した。したがって,急性期においてBBSとMini-BESTest両者を計測することは有用であると思われるが,測定時期を考慮することや症例数を増やし運動機能別比較や疾患別の特徴をみる必要もあると考えられた。