第52回日本理学療法学術大会

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[P-NV-08] ポスター(神経)P08

2017年5月12日(金) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本神経理学療法学会

[P-NV-08-4] 当院回復期リハビリテーション病棟入院時FIM総得点が26~50点の脳卒中患者の転帰の傾向

金子 巧1 (1.新潟リハビリテーション病院リハビリテーション部, 2.新潟医療福祉大学大学院医療福祉学研究科)

キーワード:回復期, 脳卒中, FIM

【はじめに,目的】

リハビリテーション(以下,リハ)医療において,初期に予後を予測することは,目標やプログラムの設定,プロセスの管理,それらによる医療の質の向上,退院先の調整などにおいて不可欠な作業である。当院回復期リハ病棟における脳卒中患者の入院時FIM総得点を5群(①25点以下,②26~50点,③51~75点,④76~100点,⑤101点以上)に分け各群の傾向を検討した結果26点~50点の群で自宅復帰率が60%となった。そこで本研究では当院回復期リハ病棟における脳卒中患者を中心に入院時FIM総得点の26~50点の退院時の転帰先の傾向を後方視的に調査することを目的とした。



【方法】

対象は平成23年4月から平成28年3月までに当院回復期リハ病棟に入院した脳卒中患者530例のうち入院時FIM総得点が26~50点に該当する124例を対象とした。自宅へ退院したものを自宅群,自宅以外であったものを非自宅群に分類した。検討項目は年齢,性別,麻痺側,在院日数,同居人数,FIM総得点(入院時,1ヵ月後,2カ月後,退院時),FIM運動項目(入院時,1ヵ月後,2カ月後,退院時),FIM認知項目(入院時,1ヵ月後,2カ月後,退院時),FIM利得(退院時FIM総得点-入院時FIM総得点)とした。各項目を自宅群と非自宅群の2群間でMann-WhitenyのU検定及びカイ二乗検定を用いて検討した(p<0.05)。次に自宅群,非自宅群の間で有意差のあった項目を独立変数とし,転帰先が自宅か,自宅以外かを目的変数としてロジスティック回帰分析を行った。



【結果】

年齢,性別において,自宅群は平均年齢67.1±12.7歳,男性46名女性30名,非自宅群は平均年齢71.0±12.0歳,男性23名女性25名となり,2群間で有意差は認めなかった。ロジスティック回帰分析においては,2カ月後運動項目(オッズ比:1.4),退院時FIM総得点(オッズ比:1.5)が自宅復帰に有意な関連性がみられた。



【結論】

入院時の26~50点とFIM総合得点が低い患者に関して,自宅復帰を考慮する際FIMの運動項目の推移が1つの指標であることが示唆された。今回2群間で在院日数に有意差を認めなかったものの,自宅群で入院期間が長い傾向がみられた。FIM総合得点が低い患者は最終移動手段が車いすになることが多いため,入院から2カ月後のFIM運動項目の得点から転帰先を考慮し,住宅改修など退院の調整をしていくことが医療の質を高めていくことにつながると考える。