[P-NV-09-5] 脊髄小脳変性症(SCD)における入院リハビリ効果と評価スケールの検討
Keywords:脊髄小脳変性症, リハビリテーション, SARA
【はじめに,目的】SCDにおいて,リハビリの有効性を示す多くの報告がなされている。一方,SCDにおけるリハビリの目的は,病型,年齢,進行度,社会的背景によりさまざまであり,多様化してきている。そこで,SCD患者個人にとって,より効果的なリハビリをおこなうための重要な構成要素を明らかにするとともに,評価スケールについての課題を明らかにする。【方法】X年1月からX+2年4月までの期間に当院で入院リハビリを施行したSCD患者連続65例のうち,小脳症状を主とし他疾患による運動機能障害を合併した症例を除いた42例(MSA-C:12例,CCA:7例,SCA3:10例,SCA6:4例,SCA31:5例,SCA(不明):4例)を対象とし,まず,SCD全体,病型毎におけるリハビリ効果を,Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(SARA),Functional Independence Measure(FIM)を用い評価した。次に,入院リハビリ効果を鋭敏に反映する評価スケールについて検討した。【結果】1)SCD全体においてSARA値(P<0.0001),FIM値(P<0.0001)において有意な改善が認められた。また,入院中のFIM値の改善と関連が最も強かった構成要素は入院時SARA値で,以下,入院時FIM値,罹患期間,認知機能,年齢の順であった。2)MSA-Cの症例においてもFIM値が有意に改善(P=0.0039)を示した。SCD全体について,入院時FIM120点以下の症例においては,有意なリハビリ効果(FIM値の改善)(P<0.0001)を認めたが,FIM120点以上の症例においては,認めなかった(P=0.25)。【結論】1)SCDにおいてリハビリは大変有効であり,また発症早期からのリハビリが重要であると考えられた。2)MSA-Cにおいても入院リハビリが有効である可能性が示唆された。3)一方,リハビリ評価スケールはFIMやSARAのみで評価するのには限界があり,病型,罹患機関,社会的背景を考慮したうえで,より患者のhopeにあった,社会面,生活の質の評価を併用することが重要であると考えられた。