The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

Presentation information

日本神経理学療法学会 » ポスター発表

[P-NV-17] ポスター(神経)P17

Sat. May 13, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本神経理学療法学会

[P-NV-17-4] 65歳未満の重症脳卒中患者における自宅退院時の歩行能力に関与する要因
急性期病院での検討

橋本 有司, 齊藤 佑太, 伊藤 希, 川渕 正敬, 國澤 雅裕 (近森病院理学療法科)

Keywords:脳卒中, 歩行能力, 予後予測

【はじめに,目的】脳卒中患者において,発症早期より歩行の予後予測をすることは,今後の方針決定やリハビリテーションの計画はもちろん,在院日数の短縮にも有用である。脳卒中患者の歩行の予後には,年齢が関与するという報告は多くあるものの,臨床では若年層,その中でも重症例においては退院時の歩行能力の予測に難渋する場面も多い。そこで,急性期病院での情報から65歳未満の脳卒中患者における回復期病院退院時の歩行能力に関与する因子を調査し,予後予測の一助とすることを目的とした。



【方法】対象は,2012年6月から2016年6月までに当院の急性期病院に脳卒中で入院し,併設する回復期リハビリテーション病棟に転院となった患者の内,65歳未満の脳卒中患者(くも膜下出血は除外)で,上野らの先行研究を基に,発症時のNational Institute of Health Stroke Scale score(以下,NIHSS)15点以上の重症患者15名とした。方法は,カルテより後方視的に,急性期病院における初回評価時・リハビリ開始7日目(以下,7日目)・急性期病院退院時(以下,退院時)それぞれのJapan Coma Scale(以下,JCS),下肢Brunnstrom stage(以下,BRS),起居・座位・歩行能力,高次脳機能障害の有無,発症から歩行開始までの期間の項目について調査した。回復期リハビリテーション病棟を退院時の歩行FIM得点が6~7点の者を自立群,1~5点の者を介助群として比較した。統計解析は自立群と介助群の2群間でMann WhitneyのU検定,χ2検定を用い比較検討を行った。有意水準は5%未満とした。


【結果】自立群は10例,介助群は5例であった。NIHSSや年齢,性別,初回評価時のすべての項目で有意差を認めなかった。7日目の項目では(自立群/介助群),JCS(1桁:10例/1桁:2例,2桁:3例),下肢BRS(II:1例,III:1例,IV:1例,V:7例/II:4例,III:1例),座位能力(自立:2例,監視:6例,中等度介助:1例,未実施:1例/中等度介助:2例,重介助:1例,全介助:1例,未実施:1例),歩行能力(監視:5例,軽介助:2例,重介助:3例/未実施:5例)で有意差を認めた。また歩行開始までの期間(9.4±7.7日/29.8±25.2日)でも有意差を認めた。退院時の項目では下肢BRS,起居・座位・歩行能力で有意差を認めた。


【結論】本研究の結果,65歳未満の症例では重症例でも過半数が回復期病院退院時に歩行は自立していた。歩行を自立した者としていない者で比較すると,初回評価の機能面や動作能力面では相違を認めなかったが,7日目の評価では多くの項目で相違があり,発症後早期に機能が回復した症例は,その後の歩行能力は高くなる可能性が示された。