[P-NV-20-5] 重度の起立性低血圧を呈する急性自律性感覚性ニューロパチーに対し,Bio stepⓇを用いた理学療法が有効であった1例
Keywords:急性自律性感覚性ニューロパチー, 起立性低血圧, 有酸素運動
【はじめに,目的】急性自律性感覚性ニューロパチー(AASN)は自律・後根神経節を標的とする自己免疫性急性ニューロパチーである。神経症状の回復は不良とされ(桑原。2012),リハビリテーションに関する報告は稀である。今回われわれは重度の起立性低血圧(OH)を呈し,Bio stepⓇを用いた有酸素運動を中心とする理学療法が有効であった1例を経験したので報告する。
【方法】症例は20歳代女性。平成24年4月,発熱後に眼前暗黒感出現し,歩行困難となり前医へ搬送された。入院時,明らかな筋力低下はなくhead up tilt testで収縮期血圧150→50 mmHgと低下し,意識消失を伴う著名なOHがみられた。AASNと診断され,ステロイドパルス療法と免疫グロブリン大量靜注療法が施工され,同6月にリハビリテーション目的で当院へ転院された。身長163cm,体重35kg(発症前52kg),BMI:13.2kg/m2と著明なるいそうを呈し,FIM(Functional. Independence. Measure)は49点,全介助状態で,OHの他に胃腸障害,発汗異常などの自律神経障害がみられた。Tilt tableを用いたヘッドアップおよび歩行練習を開始したが,著明なOHで反応性頻脈が出現せず,プログラムの継続が困難だった。そのため,セラバンドを用いた下腿三頭筋の筋力強化とBIODEX社製Bio stepⓇを用いた有酸素運動を中心とするプログラムへ変更した。
【結果】発症1年後,反応性頻脈が出現し自力歩行も20m可能となり,FIMは85点とADLの改善がみられた。発症3年後には体重42kgと増加し,一人での外出も可能となった。発症4年後,立位時収縮期血圧は80mmHgでOH残存していたが,仕事復帰が可能になった。
【結論】諸家らの報告によると,ギランバレー症候群によるOHに対して,足関節のROMex,下肢・体幹筋力の維持が効果ある。筋収縮に伴う筋肉のポンプ作用により,立位時には下肢に貯留した血液が強制的に心臓方向へ駆出される。自律神経の再構築に有酸素運動が有用とされている。本症例では著明な体重減少のため筋量が減少し,下肢・体幹筋などの筋収縮を利用した筋ポンプ作用だけでは重度なOHに対応できず,自転車エルゴメーターや歩行などによる有酸素運動は実施困難であったが,Bio stepⓇは筋ポンプ作用を促進する有酸素運動で,座位姿勢で対応できるため,安全に5分以上の運動が可能であった。筋力増強とともに体重が増加し,継続した有酸素運動が,自律神経障害の回復に有用であった可能性があると考えられる。
【方法】症例は20歳代女性。平成24年4月,発熱後に眼前暗黒感出現し,歩行困難となり前医へ搬送された。入院時,明らかな筋力低下はなくhead up tilt testで収縮期血圧150→50 mmHgと低下し,意識消失を伴う著名なOHがみられた。AASNと診断され,ステロイドパルス療法と免疫グロブリン大量靜注療法が施工され,同6月にリハビリテーション目的で当院へ転院された。身長163cm,体重35kg(発症前52kg),BMI:13.2kg/m2と著明なるいそうを呈し,FIM(Functional. Independence. Measure)は49点,全介助状態で,OHの他に胃腸障害,発汗異常などの自律神経障害がみられた。Tilt tableを用いたヘッドアップおよび歩行練習を開始したが,著明なOHで反応性頻脈が出現せず,プログラムの継続が困難だった。そのため,セラバンドを用いた下腿三頭筋の筋力強化とBIODEX社製Bio stepⓇを用いた有酸素運動を中心とするプログラムへ変更した。
【結果】発症1年後,反応性頻脈が出現し自力歩行も20m可能となり,FIMは85点とADLの改善がみられた。発症3年後には体重42kgと増加し,一人での外出も可能となった。発症4年後,立位時収縮期血圧は80mmHgでOH残存していたが,仕事復帰が可能になった。
【結論】諸家らの報告によると,ギランバレー症候群によるOHに対して,足関節のROMex,下肢・体幹筋力の維持が効果ある。筋収縮に伴う筋肉のポンプ作用により,立位時には下肢に貯留した血液が強制的に心臓方向へ駆出される。自律神経の再構築に有酸素運動が有用とされている。本症例では著明な体重減少のため筋量が減少し,下肢・体幹筋などの筋収縮を利用した筋ポンプ作用だけでは重度なOHに対応できず,自転車エルゴメーターや歩行などによる有酸素運動は実施困難であったが,Bio stepⓇは筋ポンプ作用を促進する有酸素運動で,座位姿勢で対応できるため,安全に5分以上の運動が可能であった。筋力増強とともに体重が増加し,継続した有酸素運動が,自律神経障害の回復に有用であった可能性があると考えられる。