[P-NV-24-4] 回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳血管障害患者を対象とした車椅子移乗自立判断のための身体機能テストのカットオフ値の検討
キーワード:移乗動作, 脳血管障害, カットオフ値
【はじめに,目的】回復期リハビリテーション病棟に入院している脳血管障害患者は車椅子からの移乗動作時に転倒が多いといわれている。移乗自立後の転倒を最小限にするために移乗自立の判断は根拠をもって行う必要があるが,身体機能における判断基準を示す報告は少ない。本研究の目的は,脳血管障害患者に対して車椅子移乗における自立判断のためのカットオフ値を得ることである。
【方法】対象は回復期リハビリテーション病棟に入院していた脳血管障害患者のうち移乗自立し入院中未転倒であった自立群29名(年齢70.1±10.9歳),非自立群24名(年齢82.5±7.0歳)であった。認知機能として改訂長谷川式簡易知能評価スケール(以下HDS-R)を,身体機能はBrunnstrom stage,感覚障害,非麻痺側の大腿四頭筋筋力,非麻痺側および麻痺側の立ち直り反応,支持物を使用した30秒椅子立ち上がりテスト(以下CS-30テスト)を測定した。感覚障害,大腿四頭筋筋力はStroke Impairment Assessment Setに基づいて評価した。統計処理は各項目の群間比較をMann-WhitneyのU検定,Welchのt検定,影響を与える因子の抽出にロジスティック回帰分析,カットオフ値を検討するためROC曲線を用いて検討し,有意水準は5%未満とした。
【結果】自立群は非自立群に比べ,有意に年齢が若く,HDS-R,位置覚,大腿四頭筋筋力,立ち直り反応,CS-30テストにおいて有意に高値であった。移乗自立度を従属変数とし,独立変数を年齢,HDS-R,前記の身体機能の4項目を選択した結果,HDS-RとCS-30テストが有意な変数として抽出された。独立変数の選出には影響し合う因子を考慮して行った。移乗自立のためのCS-30テストのカットオフ値は6回で感度0.79,特異度0.79であった。
【結論】移乗自立群は非自立群と比べ位置覚や筋力,立ち直り反応,立ち上がり能力といった身体機能が高いことがわかった。Brunnstrom stageにおいては差が認められなかったことから運動麻痺の程度が移乗自立へ与える影響は少ないと考えられる。移乗自立を判断する上で最も影響を与える身体機能は立ち上がり能力であり,そのカットオフ値は6回であった。回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳血管障害患者を対象として車椅子移乗の自立判断をする際には今回のカットオフ値を活用することで良好な判断ができる可能性が示唆された。このことにより早期の日常生活活動量の拡大が図れ,移乗自立後の転倒を未然に防ぐことが可能と考えられる。今後,今回のカットオフ値を利用した後に転倒の有無を検討することでより精度を高める必要がある。
【方法】対象は回復期リハビリテーション病棟に入院していた脳血管障害患者のうち移乗自立し入院中未転倒であった自立群29名(年齢70.1±10.9歳),非自立群24名(年齢82.5±7.0歳)であった。認知機能として改訂長谷川式簡易知能評価スケール(以下HDS-R)を,身体機能はBrunnstrom stage,感覚障害,非麻痺側の大腿四頭筋筋力,非麻痺側および麻痺側の立ち直り反応,支持物を使用した30秒椅子立ち上がりテスト(以下CS-30テスト)を測定した。感覚障害,大腿四頭筋筋力はStroke Impairment Assessment Setに基づいて評価した。統計処理は各項目の群間比較をMann-WhitneyのU検定,Welchのt検定,影響を与える因子の抽出にロジスティック回帰分析,カットオフ値を検討するためROC曲線を用いて検討し,有意水準は5%未満とした。
【結果】自立群は非自立群に比べ,有意に年齢が若く,HDS-R,位置覚,大腿四頭筋筋力,立ち直り反応,CS-30テストにおいて有意に高値であった。移乗自立度を従属変数とし,独立変数を年齢,HDS-R,前記の身体機能の4項目を選択した結果,HDS-RとCS-30テストが有意な変数として抽出された。独立変数の選出には影響し合う因子を考慮して行った。移乗自立のためのCS-30テストのカットオフ値は6回で感度0.79,特異度0.79であった。
【結論】移乗自立群は非自立群と比べ位置覚や筋力,立ち直り反応,立ち上がり能力といった身体機能が高いことがわかった。Brunnstrom stageにおいては差が認められなかったことから運動麻痺の程度が移乗自立へ与える影響は少ないと考えられる。移乗自立を判断する上で最も影響を与える身体機能は立ち上がり能力であり,そのカットオフ値は6回であった。回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳血管障害患者を対象として車椅子移乗の自立判断をする際には今回のカットオフ値を活用することで良好な判断ができる可能性が示唆された。このことにより早期の日常生活活動量の拡大が図れ,移乗自立後の転倒を未然に防ぐことが可能と考えられる。今後,今回のカットオフ値を利用した後に転倒の有無を検討することでより精度を高める必要がある。