[P-RS-02-2] VATS患者の術後早期の運動耐用能と関連因子について
Keywords:肺切除, 周術期, 運動耐用能
【はじめに,目的】
周術期における肺切除患者の報告はいくつか認められるが,近年多くなってきている胸腔鏡補助下肺切除術(以下,VATS)の報告は少ない。また,運動耐用能は重要な予後規定因子の一つとされているが,VATS患者における術後早期の運動耐用能に影響する関連因子は明らかでない。そこで,当院におけるVATS患者の運動耐用能と関連因子について調査した。
【方法】当院において肺腫瘍によってVATSを施行された21例(男性7例,女性14例,平均年齢71.4±5.6歳)を対象とした。術前に歩行が自立していなかった症例,評価項目に不備があった症例は除外した。切除部位は葉切除,区域切除および部分切除である。全例,術前後の理学療法が施行された。術前の理学療法は手術の2日前に開始,術後の理学療法は手術翌日からおおむね1週間施行された。評価項目は術後の合併症の有無,術後の歩行開始期間,術後の歩行自立期間,術後の理学療法日数,術後の入院期間,術前の肺機能(1秒率,%VC),手術時間,出血量,術後7日目の安静時および運動時の創部痛(NRS),術前と術後7日目の6分間歩行距離(以下,6MD)とした。6MDは,ATSのガイドラインに準じて測定した。統計解析は術前と術後7日目の6MDの比較はT検定を用い,術前と術後7日目の6MDとの関連性については,PearsonおよびSpearmanの相関係数を用いた。有意水準は5%未満とした。
【結果】術後の合併症は無気肺が2例,せん妄が2例だった。術後の歩行開始期間は平均2.0日,歩行自立期間は平均3.4日,理学療法日数は平均7.8日,入院期間は平均10.1日だった。術前の1秒率は平均75.2%,%VCは平均103.8%,手術時間は平均226分,出血量は平均84g,安静時痛(NRS)は平均0.9,運動時痛(NRS)は平均2.1だった。術前の6MDは平均368mで,術後7日目の6MDは平均323mで術後有意に低下していた(回復率88%)。また,術前6MDと年齢(r=-0.566)において有意な相関が認められ,術後6MDと年齢(r=-0.498),運動時痛(r=0.502),出血量(r=-0.509),術前6MD(r=0.740)において有意な相関が認められた。その他の項目においては,有意な相関は認められなかった。
【結論】低侵襲であるVATS患者においても,術後7日目の時点の運動耐用能は術前より低下していることが示唆された。術前と術後7日目の運動耐用能には年齢が影響しており,特に高齢者において術前後のさらなる運動療法の必要性が考えられる。また,手術侵襲に伴う創部痛の減少が術後早期の運動耐用能を高める上で重要だと考える。
周術期における肺切除患者の報告はいくつか認められるが,近年多くなってきている胸腔鏡補助下肺切除術(以下,VATS)の報告は少ない。また,運動耐用能は重要な予後規定因子の一つとされているが,VATS患者における術後早期の運動耐用能に影響する関連因子は明らかでない。そこで,当院におけるVATS患者の運動耐用能と関連因子について調査した。
【方法】当院において肺腫瘍によってVATSを施行された21例(男性7例,女性14例,平均年齢71.4±5.6歳)を対象とした。術前に歩行が自立していなかった症例,評価項目に不備があった症例は除外した。切除部位は葉切除,区域切除および部分切除である。全例,術前後の理学療法が施行された。術前の理学療法は手術の2日前に開始,術後の理学療法は手術翌日からおおむね1週間施行された。評価項目は術後の合併症の有無,術後の歩行開始期間,術後の歩行自立期間,術後の理学療法日数,術後の入院期間,術前の肺機能(1秒率,%VC),手術時間,出血量,術後7日目の安静時および運動時の創部痛(NRS),術前と術後7日目の6分間歩行距離(以下,6MD)とした。6MDは,ATSのガイドラインに準じて測定した。統計解析は術前と術後7日目の6MDの比較はT検定を用い,術前と術後7日目の6MDとの関連性については,PearsonおよびSpearmanの相関係数を用いた。有意水準は5%未満とした。
【結果】術後の合併症は無気肺が2例,せん妄が2例だった。術後の歩行開始期間は平均2.0日,歩行自立期間は平均3.4日,理学療法日数は平均7.8日,入院期間は平均10.1日だった。術前の1秒率は平均75.2%,%VCは平均103.8%,手術時間は平均226分,出血量は平均84g,安静時痛(NRS)は平均0.9,運動時痛(NRS)は平均2.1だった。術前の6MDは平均368mで,術後7日目の6MDは平均323mで術後有意に低下していた(回復率88%)。また,術前6MDと年齢(r=-0.566)において有意な相関が認められ,術後6MDと年齢(r=-0.498),運動時痛(r=0.502),出血量(r=-0.509),術前6MD(r=0.740)において有意な相関が認められた。その他の項目においては,有意な相関は認められなかった。
【結論】低侵襲であるVATS患者においても,術後7日目の時点の運動耐用能は術前より低下していることが示唆された。術前と術後7日目の運動耐用能には年齢が影響しており,特に高齢者において術前後のさらなる運動療法の必要性が考えられる。また,手術侵襲に伴う創部痛の減少が術後早期の運動耐用能を高める上で重要だと考える。