第52回日本理学療法学術大会

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日本呼吸理学療法学会 » ポスター発表

[P-RS-04] ポスター(呼吸)P04

2017年5月13日(土) 12:50 〜 13:50 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本呼吸理学療法学会

[P-RS-04-5] がん周術期におけるQC活動を通じたサポートチームの設立
外科,リハビリテーション科,歯科口腔外科,看護部で連携したチームStrong

髙橋 忠志1, 尾身 諭1, 菊池 謙一1, 泉 圭之介1, 岩佐 美保子1, 尾花 正義1, 太田 岳洋2, 加藤 孝章2, 長谷川 士朗3, 柚木 泰広3, 及川 千穂4, 北澤 浩美4, 高林 重子4, 富塚 美希4, 長井 ノブ子4 (1.東京都保健医療公社荏原病院リハビリテーション科, 2.東京都保健医療公社荏原病院外科, 3.東京都保健医療公社荏原病院歯科口腔外科, 4.東京都保健医療公社荏原病院看護部)

キーワード:がん, 周術期, チーム医療

【はじめに,目的】テーマ別改善運動(以下,QC)は自らの職場に身近な問題の解決に取り組む自主的な活動として,各部門または複数の部門でサークルを結成,テーマを選定し,改善運動を行う取組である。そして,QC活動の目的は職員の意識改革や職場の活性化を促すことにより,患者が快く治療に専念でき,安心で納得できる医療を受けられる環境を実現することである。がん周術期において,術前の看護ケアが患者の不安を取り除き,術前後の口腔ケアが肺炎予防に有効なこと,術前からの呼吸リハビリテーション(以下,リハ)や術後の早期離床が術後呼吸器合併症の予防に有効で,ADL・QOLの回復に大きな影響を及ぼすことは様々な先行研究で認められている。今回,QC活動を通じて,がん患者に対する外来からの周術期サポートを外科,リハ科,歯科口腔外科(以下,歯科),看護部で連携したチーム医療で行ったことによる変化を報告する。



【方法】QC活動は2016年6月より運用開始。外来での呼吸リハは肺癌,食道癌,胃癌,胆肝膵臓癌,大腸癌,咽頭喉頭癌とした。チーム内での流れは,以下の通りである。まず,外科にて癌と診断され,手術が決定すると,説明外来の看護師が介入を行う。説明外来では入院後の療養生活の流れや深部静脈血栓症などの合併症の説明が行われ,入院前の歯科とリハ科受診の説明と同意が行われる。同意が得られた場合,歯科にて口腔ケア,リハ科では呼吸リハを実施する。入院後は手術前に歯科にて口腔ケア,リハ科では呼吸リハの実施状況の確認を行う。手術後は原則,翌日よりリハを開始し,早期離床に努めた。呼吸リハの内容は腹式呼吸や口すぼめ呼吸,インセンティブスパイロメトリーの呼吸練習とレジスタンストレーニング,有酸素運動の指導を行っている。さらに,院内にQC活動を周知するためチーム名をStrong(Surgery support Team of Rehabilitation and Oral surgery, Nursing care Group)とした。QC活動の効果を検証するために,2016年2月~同5月(QC前群)と2016年6月~同10月(QC後群)で術前からのリハ介入件数,呼吸器合併症発生件数などを調査し,比較を行った。



【結果】外科における癌手術はQC前群:QC後群で47名:31名。術前からのリハ介入患者数は1名:31名,術後介入患者数は9名:31名。胸部X線画像評価における術後呼吸器合併症(肺炎,無気肺,胸水貯留,ARDS)は12件:5件であった。



【結論】今回,周術期がん患者に対して外来からの口腔ケア,呼吸リハ,看護ケアのチームを構築した。チームを構築し,院内に周知することによって,外来からのリハ介入件数が増加したと考えられる。さらに,がんリハガイドラインにおいて,術前からの呼吸リハは術後の呼吸器合併症が減少するとされており,その効果もみられている。今後,症例を増やし,在院日数やADL・QOL回復状況においても検討していく必要がある。