[P-SK-02-5] 足首アシスト装置の臨床的有効性の検討
脳梗塞片麻痺患者1症例の報告
Keywords:足首アシスト装置, 脳梗塞片麻痺, 介入前後の効果
【はじめに,目的】
株式会社安川電機製「足首アシスト装置」は足の装具部と腰に付けるコントローラー部で構成されており,装具部の足圧センサからの情報を元に,歩行時の足関節底背屈運動をモーターでアシストする歩行練習用の短下肢装具で,2015年10月より当院で試験導入している。歩行時の足関節の動き,タイミング,方向をアシストすることで,自然な歩行パターンが再学習され,歩行能力改善に繋がることが期待される。本研究では回復期病棟に入院する脳梗塞片麻痺患者1症例に対し,足首アシスト装置(以下,装置)を使用した歩行練習を実施し,介入前後の効果を検討した。
【方法】
症例は60代後半男性,アテローム血栓性脳梗塞により右片麻痺を呈した患者で,発症39病日目に当院へ転院した。入院初期の歩行能力はプラスチック短下肢装具(以下,PAFO)使用で平行棒内歩行監視,装置介入前はPAFO使用で独歩軽介助であった。
介入は発症73病日目から開始し,通常の歩行練習と併用して装置装着での15分間の歩行練習を5日間実施した。
評価項目は機能評価(右足背屈ROM,右下肢Modified Ashworth Scale[MAS]・Brunnstrom Recovery Stage[BRS]),歩行能力,10m歩行(至適・最大速度),歩行動画解析(歩幅・立脚中期の左右の片脚支持時間,歩容)とした。動画解析は動画解析ソフトDartfish Softwareを使用し,評価は①介入前②介入後の計2回実施した。
【結果】
機能面では右足背屈他動ROM(①-5°②3°),右下肢MAS(①右下腿三頭筋1+,その他1②同結果),BRS(①右下肢IV~V②同結果)であった。歩行能力(①PAFO使用独歩軽介助②PAFO使用独歩見守り),10m歩行では至適速度は時間が①26.8秒②17.5秒,歩数は①37歩②28歩,最大速度は時間が①12.9秒②10.0秒,歩数は①25歩②21歩となった。
歩行動画解析では歩幅[m](麻痺側:①0.19②0.30,非麻痺側:①0.22②0.46),立脚中期の左右の片脚支持時間[秒](麻痺側:①0.36②0.39,非麻痺側:①0.53②0.47)であった。
歩容は介入前が右PSWでクリアランス低下から足部つまずき,右ICは足底接地であったが,介入後には右PSWでのクリアランスが改善して足部つまずき軽減,右ICは踵接地となった。
【結論】
本研究では発症から73病日経過した片麻痺患者に装置を使用した歩行練習を実施し,5日間の介入効果を検証した。介入前後において右足背屈ROM,歩行能力,10m歩行での時間・歩数,歩行動画解析での歩幅が改善し,立脚中期の左右の片脚支持時間はより左右対称化した。歩容は右PSWでのクリアランスが改善して足部つまずきが低減,右ICでは踵接地となり,ヒールロッカー機能が作用したことで立脚期での前方への推進力が向上した。
装置使用での歩行練習により足関節の動きやタイミングを反復することで,自然な歩行パターンの運動学習が促されたと考えられる。
株式会社安川電機製「足首アシスト装置」は足の装具部と腰に付けるコントローラー部で構成されており,装具部の足圧センサからの情報を元に,歩行時の足関節底背屈運動をモーターでアシストする歩行練習用の短下肢装具で,2015年10月より当院で試験導入している。歩行時の足関節の動き,タイミング,方向をアシストすることで,自然な歩行パターンが再学習され,歩行能力改善に繋がることが期待される。本研究では回復期病棟に入院する脳梗塞片麻痺患者1症例に対し,足首アシスト装置(以下,装置)を使用した歩行練習を実施し,介入前後の効果を検討した。
【方法】
症例は60代後半男性,アテローム血栓性脳梗塞により右片麻痺を呈した患者で,発症39病日目に当院へ転院した。入院初期の歩行能力はプラスチック短下肢装具(以下,PAFO)使用で平行棒内歩行監視,装置介入前はPAFO使用で独歩軽介助であった。
介入は発症73病日目から開始し,通常の歩行練習と併用して装置装着での15分間の歩行練習を5日間実施した。
評価項目は機能評価(右足背屈ROM,右下肢Modified Ashworth Scale[MAS]・Brunnstrom Recovery Stage[BRS]),歩行能力,10m歩行(至適・最大速度),歩行動画解析(歩幅・立脚中期の左右の片脚支持時間,歩容)とした。動画解析は動画解析ソフトDartfish Softwareを使用し,評価は①介入前②介入後の計2回実施した。
【結果】
機能面では右足背屈他動ROM(①-5°②3°),右下肢MAS(①右下腿三頭筋1+,その他1②同結果),BRS(①右下肢IV~V②同結果)であった。歩行能力(①PAFO使用独歩軽介助②PAFO使用独歩見守り),10m歩行では至適速度は時間が①26.8秒②17.5秒,歩数は①37歩②28歩,最大速度は時間が①12.9秒②10.0秒,歩数は①25歩②21歩となった。
歩行動画解析では歩幅[m](麻痺側:①0.19②0.30,非麻痺側:①0.22②0.46),立脚中期の左右の片脚支持時間[秒](麻痺側:①0.36②0.39,非麻痺側:①0.53②0.47)であった。
歩容は介入前が右PSWでクリアランス低下から足部つまずき,右ICは足底接地であったが,介入後には右PSWでのクリアランスが改善して足部つまずき軽減,右ICは踵接地となった。
【結論】
本研究では発症から73病日経過した片麻痺患者に装置を使用した歩行練習を実施し,5日間の介入効果を検証した。介入前後において右足背屈ROM,歩行能力,10m歩行での時間・歩数,歩行動画解析での歩幅が改善し,立脚中期の左右の片脚支持時間はより左右対称化した。歩容は右PSWでのクリアランスが改善して足部つまずきが低減,右ICでは踵接地となり,ヒールロッカー機能が作用したことで立脚期での前方への推進力が向上した。
装置使用での歩行練習により足関節の動きやタイミングを反復することで,自然な歩行パターンの運動学習が促されたと考えられる。