[P-SK-03-4] 理学療法学科学生における装具学習に対する準備状態の学年別調査
Keywords:装具, 準備状態, 学年別
【はじめに,目的】
教育活動にあたり学習者の準備状態を把握し,それに応じて授業を行うことが推奨される。また,理学療法教育において症例基盤型学習が用いられ,複数科目・複数学年に渡り装具に関する教育を実践している。そこで,本研究では各学年の装具に対する理解度や興味といった準備状態を把握することを研究目的としてアンケート調査を実施した。
【方法】
3年制A専門学校に在学中の理学療法学科学生106名にアンケートによる集合調査を実施した(回収率100%)。留年経験のある3名,回答に不備があった11名を除外し,92名を解析した(1年生31名,2年生39名,3年生22名)。調査内容は,①年齢,②性別,③学年,④入学前に装具を知っていたか,⑤調査時に装具を知っていたか,⑥装具の正しい認知(義足・装具・自助具の写真から選択),⑦装具を触ったことがあるか,⑧装具の目的の理解,⑨装具の対象疾患の理解,⑩装具に対する興味等とした。装具の目的・対象疾患の理解については教科書を参考に目的を9項目,対象疾患を10項目記載し,合致すると思われるもの全てを選択させ,選択数が多い方を理解があるとした。統計解析は,学年別に群分けし,名義尺度に対してはχ2独立性の検定(質問④⑤⑥⑦⑩),パラメトリックデータに対しては一元配置分散分析と多重比較を実施した(質問⑧⑨)。次に興味の有無で群分けし,名義尺度に対してχ2独立性の検定(質問④⑤⑥⑦),パラメトリックデータに対しては正規性を確認し,対応のないT検定またはU検定を実施した(質問⑧⑨)。有意水準は5%未満とした。
【結果】
平均年齢は19.9歳。男性47名,女性45名。学年別に検討した結果,調査時に装具を知っていたものは100%であったが,正しく認識できたものは1年生87%,2年生87%,3年生100%で学年との有意な関係はなかった。装具を触ったことがあると答えたものは1年生32%,2年生97%,3年生100%で学年との有意な関係が見られた(連関係数0.73)。装具の目的について,平均正当数は1年生3.8個,2年生6.5個,3年生8.4個,装具の対象疾患の平均正当数は1年生3.7個,2年生5.3個,3年生7.9個で,目的・対象疾患共に一元配置分散分析で有意差を示し,多重比較の結果,全ての群間で有意差を示した。装具への興味について,あると答えた割合は1年生72%,2年生95%,3年生96%で学年と有意な関係を示した(連関係数0.32)。興味の有無で2群比較を行った結果,目的正当数と対象疾患正当数において興味あり群が有意に多かった。
【結論】
1・2年生では名称は知っているが実際の物品について曖昧な学生が含まれていた。装具に触れる経験は1年生と2年生の間に増加していた。目的や対象疾患の理解は,装具に興味がある方で理解が深く,学年を追うごとに理解が深まっていた。
教育活動にあたり学習者の準備状態を把握し,それに応じて授業を行うことが推奨される。また,理学療法教育において症例基盤型学習が用いられ,複数科目・複数学年に渡り装具に関する教育を実践している。そこで,本研究では各学年の装具に対する理解度や興味といった準備状態を把握することを研究目的としてアンケート調査を実施した。
【方法】
3年制A専門学校に在学中の理学療法学科学生106名にアンケートによる集合調査を実施した(回収率100%)。留年経験のある3名,回答に不備があった11名を除外し,92名を解析した(1年生31名,2年生39名,3年生22名)。調査内容は,①年齢,②性別,③学年,④入学前に装具を知っていたか,⑤調査時に装具を知っていたか,⑥装具の正しい認知(義足・装具・自助具の写真から選択),⑦装具を触ったことがあるか,⑧装具の目的の理解,⑨装具の対象疾患の理解,⑩装具に対する興味等とした。装具の目的・対象疾患の理解については教科書を参考に目的を9項目,対象疾患を10項目記載し,合致すると思われるもの全てを選択させ,選択数が多い方を理解があるとした。統計解析は,学年別に群分けし,名義尺度に対してはχ2独立性の検定(質問④⑤⑥⑦⑩),パラメトリックデータに対しては一元配置分散分析と多重比較を実施した(質問⑧⑨)。次に興味の有無で群分けし,名義尺度に対してχ2独立性の検定(質問④⑤⑥⑦),パラメトリックデータに対しては正規性を確認し,対応のないT検定またはU検定を実施した(質問⑧⑨)。有意水準は5%未満とした。
【結果】
平均年齢は19.9歳。男性47名,女性45名。学年別に検討した結果,調査時に装具を知っていたものは100%であったが,正しく認識できたものは1年生87%,2年生87%,3年生100%で学年との有意な関係はなかった。装具を触ったことがあると答えたものは1年生32%,2年生97%,3年生100%で学年との有意な関係が見られた(連関係数0.73)。装具の目的について,平均正当数は1年生3.8個,2年生6.5個,3年生8.4個,装具の対象疾患の平均正当数は1年生3.7個,2年生5.3個,3年生7.9個で,目的・対象疾患共に一元配置分散分析で有意差を示し,多重比較の結果,全ての群間で有意差を示した。装具への興味について,あると答えた割合は1年生72%,2年生95%,3年生96%で学年と有意な関係を示した(連関係数0.32)。興味の有無で2群比較を行った結果,目的正当数と対象疾患正当数において興味あり群が有意に多かった。
【結論】
1・2年生では名称は知っているが実際の物品について曖昧な学生が含まれていた。装具に触れる経験は1年生と2年生の間に増加していた。目的や対象疾患の理解は,装具に興味がある方で理解が深く,学年を追うごとに理解が深まっていた。