The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

Presentation information

日本小児理学療法学会 » ポスター発表

[P-SN-02] ポスター(小児)P02

Fri. May 12, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本小児理学療法学会

[P-SN-02-5] 不登校(肢体不自由児)の相談を通して見えてきたこと―思春期を支える支援について―

飯野 芳枝 (川崎市障害者更生相談所発達相談支援担当)

Keywords:不登校, 歩行可能, 学齢期

【はじめに,目的】理学療法士(以下,PT)が学齢期の児童を支援する際,家庭との連携に加えて学校との連携が重要である。しかし歩行可能で地域の小・中学校に在籍している肢体不自由児の場合,学年が上がるとPTの支援・学校との連携が減る傾向にある。特にPTが中学校と連携を図ることは少ない。川崎市では平成23年4月に児童相談所にPTが配置されたため,そこで働く機会を得た。PTが担当した不登校の相談で目の当たりにしたのは,幼児期から療育センターでPTの支援を受けてきた親子が不登校・親子の不調和で苦しんでいる姿であった。相談事例を通して歩行可能な肢体不自由児の学齢期におけるPTの支援について考察する。

【方法】対象は児童相談所で不登校の相談をした肢体不自由児2名。2名共に小・中学校は地域の学校(自分の学区校)に在籍した。先天的な肢体不自由で歩行可能,1人で外出可能である。児童相談所での相談内容から,不登校になった時期・要因,親子の不調和に至る要因を明らかにする。また本人に聴き取った内容から,本人が求める学齢期の支援を示す。

【結果】2名共に小学校高学年で友達との能力(特に運動面)の違いが歴然となった。更に,学習面でも難しさが生じた。友達・担任に理解が得られず,集団の中で疎外感を強めた。中学生で更に自信を失い,2名共に中学2年生から不登校となった。自己否定感が強く,家庭では保護者に不満をぶつけ,口論が絶えず,親子の不調和に至った。現在は2名共に保護者と適度な距離を保ち生活し,就労に関する支援を受けている。中学生の頃に欲しかった支援は,自分の話を聞いてわかってもらえる人と場所であった。

【結論】地域の小・中学校に在籍している肢体不自由児の生活のしづらさは小学校高学年から中学生で際立つ。運動面・学習面で肢体不自由児の特性が担任や保護者に理解されづらいことも関連していると考える。この時期(思春期)こそ,PTが家庭や学校と連携を図ることが重要である。本人の成功体験に繋がる活動をPTは学校に提示したい。そのためにも歩行可能な肢体不自由児も歩行・足部の評価等で思春期にPTの支援に繋がっていることが理想である。

対象者の「頑張りたいけど頑張れない」,「生きているのがつらい」,「肢体不自由の自分が嫌い」という言葉を受け止め,今後も支援者と連携を図り,学齢期(特に思春期)の児童を支える取り組みをしていきたい。