[P-SN-09-3] 選択的脊髄後根切断術と理学療法の効果
―痙直型脳性麻痺2症例のCOPM改善から―
Keywords:脳性麻痺, 選択的脊髄後根切断術, カナダ作業遂行測定
【はじめに・目的】脳性麻痺児のリハビリテーションにおいて痙縮治療は国際的にも推奨されており,本邦においても2000年代に入り選択肢が拡大している。理学療法士は急性期から生活期にかけて長期的継続的に脳性麻痺児とその家族に関わっており,各治療の適応判断や効果判定を求められている。これまで我々は粗大運動能力評価尺度(Gross Motor Functional Measure:以下GMFM)や関節可動域測定(ROM),Modified Tardieu scale(MTS)などを使用して調査してきたが,選択的脊髄後根切断術(Selective Dorsal rhizotomy:以下SDR)前後の短期的な活動・参加についての変化を捉えられていなかった。カナダ作業遂行測定(Canadian Occupational Performance Measure:以下COPM)は作業遂行に対する本人・家族の捉え方を数値化する評価で,短期入院の効果判定に有用性を示唆する報告もある。今回,COPMを使用しSDR術前後の効果判定を行ったので考察を加えて報告する。
【方法】対象は当センターにてSDRを施術し,就学まで継続的に週1回以上の理学療法を受けることができる歩行可能な痙直型両側性麻痺の2例とした。評価にはCOPMを使用し,課題設定は対象者家族による代弁を参考に決定した。またGMFM-66およびGMFM 66-percentile(以下Percentile)を用いた運動能力の評価を同一の理学療法士が実施した。
【結果】COPMの遂行度・満足度は,臨床的に重要な差とされる2ポイント以上の改善を術後6ヶ月以内の短期間に認め,術後2年以降もそのスコアを維持していた。GMFM-66スコア,percentileともに向上していた。
症例1GMFCSレベルI,手術時年齢3y9m,平均切断率71%
COPM遂行度/満足度平均:術前3.25/3.25→術後3ヶ月6.0/6.0。GMFM-66スコア/percentile:術前69/45→術後2年79/50
症例2GMFCSレベル術前III→術後II,手術時年齢4y9m,平均切断率71%
COPM遂行度/満足度平均:術前2/2→術後6ヶ月6/6。GMFM-66スコア/percentile:術前63/80→術後1年72/88。
【結論】脳性麻痺の痙縮治療の効果を客観的な指標を用いて判断した。上記結果から,SDR及び理学療法は活動・参加に関する課題の達成に効果があった。COPMを用いたことで課題指向型練習の効果が反映され,術後短期間での改善を家族へ提示することができた。評価間隔としてはCOPMの改善時期が異なったことから,目標達成するまでは少なくとも3カ月毎の評価が必要であることが示唆された。今後は歩容の変化についても評価し,適応判断に役立てていきたい。
【方法】対象は当センターにてSDRを施術し,就学まで継続的に週1回以上の理学療法を受けることができる歩行可能な痙直型両側性麻痺の2例とした。評価にはCOPMを使用し,課題設定は対象者家族による代弁を参考に決定した。またGMFM-66およびGMFM 66-percentile(以下Percentile)を用いた運動能力の評価を同一の理学療法士が実施した。
【結果】COPMの遂行度・満足度は,臨床的に重要な差とされる2ポイント以上の改善を術後6ヶ月以内の短期間に認め,術後2年以降もそのスコアを維持していた。GMFM-66スコア,percentileともに向上していた。
症例1GMFCSレベルI,手術時年齢3y9m,平均切断率71%
COPM遂行度/満足度平均:術前3.25/3.25→術後3ヶ月6.0/6.0。GMFM-66スコア/percentile:術前69/45→術後2年79/50
症例2GMFCSレベル術前III→術後II,手術時年齢4y9m,平均切断率71%
COPM遂行度/満足度平均:術前2/2→術後6ヶ月6/6。GMFM-66スコア/percentile:術前63/80→術後1年72/88。
【結論】脳性麻痺の痙縮治療の効果を客観的な指標を用いて判断した。上記結果から,SDR及び理学療法は活動・参加に関する課題の達成に効果があった。COPMを用いたことで課題指向型練習の効果が反映され,術後短期間での改善を家族へ提示することができた。評価間隔としてはCOPMの改善時期が異なったことから,目標達成するまでは少なくとも3カ月毎の評価が必要であることが示唆された。今後は歩容の変化についても評価し,適応判断に役立てていきたい。