[P-SN-09-4] 脳性麻痺患者における上肢の器用さの評価
Box and Block Testの特徴
Keywords:脳性麻痺, 器用さ, Box and Block Test
【はじめに,目的】脳性麻痺の半数以上に何らかの上肢機能障害があるといわれている。脳性麻痺の上肢の評価法は少なく,測定に時間がかかるものも多い。上肢の器用さの評価法にBox and Block Test(BBT)がある。BBTは,2.5cm角の木製ブロックを隣り合った箱から箱へ1分間でいくつ移動できるかを測定する。現在では脳卒中患者の効果判定に用いられているが,脳性麻痺患者に対する報告や他の上肢の評価との関係についての報告は少ない。そこで本研究では,脳性麻痺患者に対する上肢機能検査として,BBTの特徴を明らかにすることを目的とした。
【方法】東京,神奈川の4つの小児施設にて募集を募った。対象の取り込み基準は1.5歳~22歳,2.痙直型脳性麻痺,3.粗大運動能力分類システム(Gross Motor Function Classification System;GMFCS)レベルI~IV,4.簡単な指示に従える者とした。除外基準は1.1年以内に上肢の整形外科手術を受けた者,2.半年以内に上肢筋へボトックス注射を受けた者とした。基準を満たした53名の内,Manual Ability Classification System(MACS)レベルIVだった4名を除外し,同意を得られた49名(平均年齢14.0歳,5~22歳,GMFCSレベルI:16名,レベルII:16名,レベルIII:8名,レベルIV:9名)に実施した。測定項目はMACS,BBT,握力,Pediatric Evaluation of Disability Inventory(PEDI)のセルフケア領域とした。BBTの測定は右左の順に1回ずつ測定した。MACSレベルごとに各パラメーターの比較を一元配置分散分析および多重比較検定にて行った。MACSレベルごとに利き手と非利き手のBBT,握力を対応のないt検定にて比較した。BBTと握力,PEDIとの相関をPersonの相関係数にて検討した。なお,統計処理にはIBM SPSS Statistics Ver.19を使用し,有意水準を5%とした。
【結果】対象は痙直型片麻痺が10名,両麻痺が31名,四肢麻痺が8名だった。MACSはレベルI,II,IIIの順に26名,14名,9名だった。利き手BBTは平均で50個,35個,24個,非利き手BBTは平均で41個,25個,16個だった。BBTは利き手,非利き手共にMACSレベルIがレベルII,IIIより有意に高かった。握力は利き手,非利き手共にレベルIがレベルIIIより高かった。PEDIの機能的スキル,介助者尺度はレベルI,IIがレベルIIIより高かった。BBTと握力は全てのMACSレベルで,利き手の値が非利き手より高かった。BBTと全ての項目に有意な相関関係が確認された。利き手のBBTと握力の相関係数が0.54だったのに対し,非利き手では0.74だった。また,利き手BBTとPEDIの相関係数が0.71~0.75だったのに対し,非利き手BBTとPEDIの相関係数は0.49~0.60だった。
【結論】BBTは利き手,非利き手で差があり,握力やPEDIとの間に相関関係が確認されたことから,脳性麻痺患者における上肢機能検査のとしての有用性が示された。利き手のBBTは非利き手と比べてPEDIの相関が高かったことから,上肢機能が生活機能を反映する可能性が示唆された。
【方法】東京,神奈川の4つの小児施設にて募集を募った。対象の取り込み基準は1.5歳~22歳,2.痙直型脳性麻痺,3.粗大運動能力分類システム(Gross Motor Function Classification System;GMFCS)レベルI~IV,4.簡単な指示に従える者とした。除外基準は1.1年以内に上肢の整形外科手術を受けた者,2.半年以内に上肢筋へボトックス注射を受けた者とした。基準を満たした53名の内,Manual Ability Classification System(MACS)レベルIVだった4名を除外し,同意を得られた49名(平均年齢14.0歳,5~22歳,GMFCSレベルI:16名,レベルII:16名,レベルIII:8名,レベルIV:9名)に実施した。測定項目はMACS,BBT,握力,Pediatric Evaluation of Disability Inventory(PEDI)のセルフケア領域とした。BBTの測定は右左の順に1回ずつ測定した。MACSレベルごとに各パラメーターの比較を一元配置分散分析および多重比較検定にて行った。MACSレベルごとに利き手と非利き手のBBT,握力を対応のないt検定にて比較した。BBTと握力,PEDIとの相関をPersonの相関係数にて検討した。なお,統計処理にはIBM SPSS Statistics Ver.19を使用し,有意水準を5%とした。
【結果】対象は痙直型片麻痺が10名,両麻痺が31名,四肢麻痺が8名だった。MACSはレベルI,II,IIIの順に26名,14名,9名だった。利き手BBTは平均で50個,35個,24個,非利き手BBTは平均で41個,25個,16個だった。BBTは利き手,非利き手共にMACSレベルIがレベルII,IIIより有意に高かった。握力は利き手,非利き手共にレベルIがレベルIIIより高かった。PEDIの機能的スキル,介助者尺度はレベルI,IIがレベルIIIより高かった。BBTと握力は全てのMACSレベルで,利き手の値が非利き手より高かった。BBTと全ての項目に有意な相関関係が確認された。利き手のBBTと握力の相関係数が0.54だったのに対し,非利き手では0.74だった。また,利き手BBTとPEDIの相関係数が0.71~0.75だったのに対し,非利き手BBTとPEDIの相関係数は0.49~0.60だった。
【結論】BBTは利き手,非利き手で差があり,握力やPEDIとの間に相関関係が確認されたことから,脳性麻痺患者における上肢機能検査のとしての有用性が示された。利き手のBBTは非利き手と比べてPEDIの相関が高かったことから,上肢機能が生活機能を反映する可能性が示唆された。